番外編 ~ 初恋 ~
俺と莉奈ちゃんが初めて出会ったのは、小学5年生の頃。
俺達はまだ幼くて、俺は付き合うとかそうゆう感情はわからなかった。
「おい!莉奈!!」
莉奈ちゃんは、整った顔をしていて凄くモテていて妬みや嫉妬も酷かった。
「なに?」
「あんた、私の彼氏とったでしょ!?」
「はぁ?」
周りは口を開けばこんな会話。
でも莉奈ちゃんは負けじと言い返していた。
「あっちから寄ってきたんでしょ?」
「なんですって!?」
小学生の言い合いではないほどに、言い合いは酷く醜かった。
「このッ!!」
「やめてよ」
「お気に入りの服なんだけど」
莉奈ちゃんはいつも強気で、俺はそんな莉奈ちゃんをかっこいいなって思ってた。
でも、俺に恋心が生まれることはなかった。
「蘇芳くんもそう思わない!?」
突然、名前も知らない女子にきかれた。
「え?」
「莉奈、最低だと思わない!?」
「んー、」
これはなんて言ったらいいのかな。
場の空気に合わせる為に最低といったほうがいいのか、庇った方がいいのか。
「、!」
俺が莉奈ちゃんの顔を見た時、莉奈ちゃんは綺麗な顔を歪めていた。
「んー、笑」
「俺は最低とは思わないかな」
「え?」
莉奈ちゃんのそんな一言を俺は見逃さなかった。
「莉奈ちゃんが可愛すぎるから、彼氏くんが莉奈ちゃんを好きになるんじゃないの?」
「で、でも!!」
「俺はすぐ人を判断する君の心が汚いと思うよ」
「ッ!!///」
女の子は顔を真っ赤にして、怒ってどっかいっちゃったんだっけ。
「あ、あの…」
「ん?どうしたの?」
「…さっきは…ありがとう」
「全然大丈夫だよ」
莉奈ちゃんと初めて話せたことに喜びを感じてる自分がいた。
莉奈ちゃんは、勉強もできて運動神経もいい。
顔も整ってるし、モテないって言う方がおかしいほど、凄くモテてた。
でも、その感情が莉奈ちゃんを苦しめていたことに俺は気づけなかった。
俺は気づけば莉奈ちゃんとほぼ毎日話すほど距離が縮まった。
「ねぇ、蘇芳」
「ここの問題、教えてくれない?」
「いいよ」
「ここはーーーー」
「ありがとう」
「莉奈ってさ~、蘇芳くんのこと狙ってるんじゃないの?笑」
でた、また妬みや嫉妬の声。
「……」
「莉奈ちゃん?、」
いつも言い返してる莉奈ちゃんが言い返さない。
「あっ、もしかして図星?笑」
「あんた、私に嫉妬してんの?笑」
「は?」
「あ、そっか~笑」
「私が可愛すぎるから嫉妬してるんだ~笑 ごめんね~?気づけなくて!」
「は、はぁ!?」
この時の莉奈ちゃんは、いつもの莉奈ちゃんではなくて悲しそうに瞳を揺らしていた。
「莉奈ちゃん?大丈夫?」
「うん、全然へーき」
俺には無理に笑ってるように見えた。
それは俺の気のせい?
「なぁ!蘇芳!知ってるか?」
昼休み、男友達とつるんでるときに言われたその言葉。
「なに?」
「莉奈ってな、蘇芳のこと好きらしいぜ!」
「…え?」
「…莉奈…ちゃん、」
「……ッ!!」
莉奈ちゃんは泣きそうな顔をしながら、どこかに走って行ってしまった。
「莉奈ちゃん!」
俺は莉奈ちゃんのあとを追いかけた。
莉奈ver.
最悪だ。
蘇芳にきかれた。
何でバレたの?私、そんな分かりやすかった?
もう今なら死ねそう。
やだ。
嫌われたくない。
絶対、蘇芳に引かれた。
「ここにいた」
ドカの方を見ると、蘇芳が立っていた。
「やっ、!」
私はとっさに身構えてしまっていた。
「…す、お、、」
「大丈夫だよ、莉奈ちゃん。落ち着いて?」
いつもの優しい声に私は少しだけ落ち着いた。
でも、蘇芳に嫌われているかもしれない恐怖で上手く喋れなかった。
「そ、そのっ、あの……ッ」
「うん。どうしたの?」
いつもの優しい声、だけど…その優しい瞳や声が他の子となると思うと怖くて仕方がない。
「怖がらないで、ゆっくり深呼吸して」
「ヒュッヒュッハァ、」
「うん、上手だよ」
私の事嫌いなら、そんなふうに優しくしないで
「落ち着いた?」
「うん、」
やだ、
これ以上好きにさせないで。
後から辛くなる恋なんてもうやなの。
「ねぇ、莉奈ちゃん」
「ッ、」
「俺の事好きって本当?」
聞かれてた
やだ
嫌われたくない
「答えて欲しい」
「…うん、」
もう、全てが嫌になる。もうやだ。
「俺も好きだよ」
「…え?」
今、なんて……
「莉奈ちゃんの全部が好き」
「俺と付き合って欲しい」
「……」
「ダメかな?」
「いいに…決まってるッ」
私はその瞬間、泣き崩れた。
蘇芳が私の事好きだなんて、知らなかった。
これは夢?そうだとしたら最悪。
「これからよろしくね、莉奈ちゃん」
「うん、!」
私の中の光が、もう一度戻ったような気がした。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!