テラーノベル
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俺は、情けなくだらしなく哀れな男でした。
俺がYouTubeを始める前、ただのクイズプレイヤーだった時。自分の家までの帰宅中に雨が降ってきた。
「はぁっ…、…五月雨か……」
誰にも聞こえないような小さな声で呟く。
五月雨。俗に言う梅雨。雨は上からやって来るのに、俺自身は地を這えど、欲なら青天井。終わりなどない、無限に続く、摩訶不思議な欲望がある。
俺がYouTubeを始めた時、“なにしてんだ”って、世間で言われた。“誰も見ない”って、言われた。批判されていく一方だった。結局、いつからか分かんねぇが、道を踏み外してたんだ。この、茹だる街の酔いの中で。
そう、簡単に言えば、ドブネズミの美しさが際立つほど、俺はクソだったって事さ。
「……あーあ……」
また誰かを好きになる。好きになって、遊ばれて、捨てられて、俺は一番なんかじゃなくて、悲しくなる、苦しくなる。それでも何度も繰り返す。好きになって、遊ばれて、捨てられて、ドンドン、何回も繰り返して情けなくて、死にたくなる。でも、分かっちゃいるけど…。
「…やめらんねぇっ……」
この背徳感が好きで、弄ばれてる感じが好きで、どーせ、みんな俺から離れていくのに、俺が勝手に好きになって、近寄って、離れていって…。死にたくなるほど辛いのに、なんっか心地良くて。だから、分かっちゃいるけど、やめらんねぇんだよ…。
“クソだ”って、“ゴミ”だって、“誰もお前なんか好きにならない”って、みんなにボロクソ言われて離れていく。誰か、俺のこの恋を笑ってくれ。笑ってくれなきゃ、死んじゃうなぁ、俺。
みんな、俺が愛した人は、適当で順当な愛情を望むくせに、適当なぬくもりも欲しくてしゃあないんだってさ。本当、笑っちまうよな。
「アナタ、人じゃないんじゃない?!?!」
遂に限界になってそうヒステリックに叫ぶヤツには…。
「いや、誰よりも人なんだぜ?」
…て、笑ってそう言ってやって、毎回ビンタされる。人って行動パターンが同じで本当面白い。まぁ、実際の俺は苦し紛れ、やぶれかぶれに言ってるだけなんだけどな。やっぱり、別れって、嫌らしい。
そう、この経験をした後は毎回、笑えなくなったピエロさえも立ち直るほど、愚か者だったって、自分に言い掛けてる。それくらい、俺は愚か者だから。
「…あーあ」
また過失を故意にする。そして、愛しの人の前で恥を晒す。んで、相手が遂に失望して、涙枯らす。水掛け論は辞め、せっかくなら水割りでー。そう考えながら、相手の台詞を聞き流す。
暫くして、自分が悪かったなって思って、心の傷、消毒しても、痛いの痛いのどーせ俺。だからもう、べらぼうに笑ってくれ。
自分の家に着いて、酒を探す。見つけ次第、片っ端から回収する。一杯目を飲む。酒の種類なんか気にせず、取り敢えず飲む。いっぱい、罪を背負ったのに、それを静かに降ろしに行く。二杯目。頭が多少フワフワし始めた。高く、また希望を望んで。三杯目。もう、頭は大分フラフラ。頭の中の俺が言う。「さん、はい!歌え、俺たちゃ?」
「…しっぱいさ〜く……!」
四杯目を飲みながら、自分の意思とは関係なく声が出る。五杯目。もうすぐで倒れる。分かってても、この罪悪感をなくす為に飲み続ける。あぁ、ご配慮なら大丈夫。今更要らねぇよ。六杯目。脆く、灰になり、全部…。七杯目。また、頭の中の自分が言う。「なぁなぁ!」楽しそーに、俺に話し掛けにくる。けど、次の瞬間には、日が昇っていた。
「……はいっ…」
自分に返事をする。“そこから覚えません。”
「…あーあ……」
また、俺は誰かを好きになる。悲しくなる、苦しくなる。それでも、何度も繰り返す。情けなくて、まだきちんと機能していない体で、また飲みたくなる。
「あーあ」
また平気で嘘をつく。また失望される。と、言う訳で、コイツとの約束の、硬い紐を解く。まだ明るくなりきっていないこの時間に、起きて、勝手に紐を解いて。流石に可哀想だから、横に居るソイツの肌に触れる。ベッドから立ち上がって、飲んだ恥を忘れるために、ここから抜け出す前に、昨日の残りをもう一杯飲み、着替える。コイツに見捨てられても、また新しいのを探せばいい。もちろん、分かっちゃいるけどやめらんねぇ。
さぁ、今俺の目の前に居るお前は、この恋を笑ってくれよ? 何人とも交際して、捨てられまくってる俺を笑ってくれ。そんな事を考えながら着替える。「はぁっ……」と、微かに溜息が出たような気もするが、気にしない。ベッドで横たわってるコイツを見ても、昨日あんだけ言われても、痛いの痛いのどーせ俺。アンタはどーせ痛くないんだからさ。自分の好き勝手に言って、俺がなんも言わなきゃ殴って、なんなんだよマジで…。でも、こんなクソな俺をどうにか、分かってくれ。
「……救ってくれ…」
この部屋を出る前に、ちょっとだけ本音が漏れた。誰も返事なんかしてくれない。だから、寧ろ助かった。
コメント
2件
特にストーリーは無い!!! ただ、伊沢さんがこんな人だったら、いいな〜って…
読了したよ。この主人公の「あーあ」って言葉に、全部の重さが詰まってる気がした。好きになっては捨てられる繰り返しの中で、自分をゴミみたいに言いながらも、実は誰よりも人間らしくて、痛くて、それでもやめられないっていう矛盾がすごく生々しかった。酒を飲みながら「失敗作」って歌うシーン、痛いのに笑っちゃうような諦念とユーモアが混ざってて、胸がギュッてなった。あなたの言葉、ちゃんと受け取ったよ🥀