絵は描けねぇが小説でお祝いするぜ耀さん。…あ、菊耀です。多分他のキャラ出てこないです。菊さんサイドです。
耀さんの誕生日に欲しいものがわからなすぎて途方に暮れる菊さんのお話。
今年も今年で非常に難しい難題が私を襲う。そう、耀さんの誕生日プレゼント。毎年パンダのぬいぐるみやら可愛いぬいぐるみしか送ってこなかった私もそろそろ罪悪感を感じていた。
だって、今年も同じ部類のものを送れば耀さんのことを「可愛いもので満足するちょろい人」と認識していると思われかねない。それは私も寝耳に水だ。だからこそ、今年のプレゼント選びはとても大事なのだ。
菊(そうは言っても…今まで可愛いものしか送ってこなかったのも事実ですしね…)
そうだ。こう意気込んだはいいものの何を送ろうとか何にも考えていないじゃないか。耀さんの喜びそうなもの…脳内の検索エンジンに問いかけてもぬいぐるみしか浮かんでこず…
菊(こうなったら…一度反応を考えるのは後にしよう)
悶々と考えていても時間の無駄。そう気持ちを切り替え、その辺にあった花屋に足が吸い込まれていく。
「いらっしゃいませ」
その声で正気に戻ったが、今更引き返すのも変人にみられそうだし…、ちょうどいい。花束でも買って渡そうか。今までは郵送でよかったけどこれは直接持っていかないと、萎れてしまう。
確か耀さんは今も、仕事の都合上日本に滞在していたはず。メッセージを一つ送り、彼に合いそうな花をいくつか選んで花束にしてもらった。割と代金は高かったが、これも必要な出費だ。今仕方あるまい。
耀「菊!やっと来たあるか、…って、その花束は?」
出迎えた耀さんは首をかしげながらまじまじと花束を見つめている。
菊「あー…誕生日、プレゼントです」
今思えば去年がぬいぐるみで今年が花束って飛躍しすぎな気もした。そっと差し出した花束を、耀さんはいかにも宝物のように抱き上げて、優しい笑顔を零す。
耀「菊、謝謝!我、感激したあるよ、さ!早く上がるある、こんなたいそうなプレゼントもらったからにはお礼もしてぇある」
その喜びようを見て、プレゼントをこれにしてよかった、と心の底から思った。
菊「喜んでいただけたようですね」
耀「この花たち、我の好きな花いっぱいある、菊のことだからどうせ我に合いそうな花とか思って選んだあるね?」
今日初めて年上は侮れないと思った。生意気な笑顔を見せる耀さんが目に入り、私の誕生日プレゼントを超絶フライングでもらったような心地がした。
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