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『君だけ』
li視点
目ぇ覚ましたら、やっぱりロゼがおる。
シーツの皺ん中で煙草を指に挟んで、窓の外ば眺めとる。
あの横顔ば見よったら、なんか胸ん奥がざわざわする。安心するような、怖いような……言葉にできん気持ちが渦巻いとる。
li ……また吸いよると?
寝ぼけ声で言ったら、ロゼは振り返って小さく笑った。
その笑顔に、心臓がドクンって鳴る。俺は慌てて布団の中に潜った。
rz お前が寝顔さらしてたからな。……起こさないようにしてただけ
li ふーん……優しいねぇ、ロゼは
冗談みたいに言ったけど、本当は分かっとる。
ロゼは優しい。俺が寂しいって言ったら、必ず来てくれるし、欲しいって言ったら応えてくれる。
でもそれが「愛情」やないってことくらい、俺自身が一番分かっとる。
セフレ。
都合のいい相手。
俺らの関係は、それ以上でもそれ以下でもない――はずやのに。
li なぁロゼ……ほんとは、俺が勝手に縋っとるだけやろ?
口にした瞬間、胸がギュッて痛んだ。
言いたくなかった言葉やけど、抑えられんやった。
ロゼは黙って煙草を消して、ゆっくりとベッドに近づいてくる。
rz ……縋ってるのは、俺の方かもしれないな
そんなこと言うけん、また揺さぶられる。
俺はただの体だけの関係やと思い込んどったのに、時々ロゼはこうして甘い言葉を落としてくる。
信じたら壊れる。信じられんでも壊れる。どっちにしても逃げ道なんてない。
li ロゼ……俺、もうどうしたらいいか分からん
情けない声が漏れた。
受け身の俺は、ただ抱かれるばかりで、いつも「欲しい」と願ってしまう。
その度に、俺は俺自身が惨めに見えてくる。けど、やめられん。
ロゼの指が、俺の頬を撫でた。
優しくて、苦しくて、泣きそうになった。
rz …お前が欲しいんだよ、らいと
耳に落ちたその声に、息が詰まる。
欲しい、って言われると、俺は簡単に壊される。
それでも……壊されたいって思ってしまう。
――俺はもう、ロゼなしじゃ生きられん。
ただのセフレやなくてもいい。名前なんてどうでもいい。
この人の傍にいられるなら、俺はそれで十分やけん。
体だけじゃ足りない、心まで絡まってしまった俺たちを、誰も引き離せない。