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📖 番外編:「変なドッキリ」
夕方のキッチン。
フライパンの上でチーズがじゅわっと溶ける音が、静かに響いていた。
○○は少しだけ背伸びをして、お肉をひっくり返す。
焼き色を確認して、小さく満足そうに息をついた。
そのとき——
後ろから、低い声。
冴: 「おい、お前、今日の夜ご飯は?」
一瞬、空気が止まった。
○○の手がピタッと止まり、肩がびくっと揺れる。
ゆっくり振り向く。
○○: 「……ハンバーグ..」
声は小さくて、少し震えていた。
目も、どこか不安そうに揺れている。
その表情を見た瞬間——
冴は、はあ…と深くため息をついた。
冴: 「……最悪」
ぼそっと呟いて、ゆっくり○○に近づく。
○○は少し後ずさるみたいに一歩引いた。
その距離が、余計に胸に刺さる。
冴は手を伸ばして、○○の頬に軽く触れた。
冴: 「……ちゃんと聞け」
少しだけ低い、でもさっきとは全然違う声。
冴: 「もし俺があんな風にお前に話したら、遠慮なくぶん殴れ。」
○○は驚いたように目を見開く。
冴はそのまま、真っ直ぐ見つめて続ける。
冴: 「 もしも俺があんな言い方したらな…」
冴: 「分かったか? 」
少しの沈黙。
○○は戸惑いながら、小さく頷いた。
○○: 「……うん..」
その返事を聞いた瞬間——
冴は一歩踏み込んで、強く抱き寄せた。
○○: 「えっ——」
ぎゅっと、離さないように。
冴: 「……ごめん」
低く、はっきりと。
冴: 「ほんと、くだらないことした」
○○の肩に顔を埋めるみたいにして、少し
だけ力がこもる。
そのまま、そっと顔を上げて——
額に、軽くキス。
次に、こめかみ。
頬。
目の横。
ひとつひとつ、確かめるみたいに。
○○: 「……冴 ///」
少し照れたように名前を呼ぶと、
冴は最後に、優しく唇に触れるだけのキスをした。
長くはない、でもちゃんと伝わるキス。
冴: 「……こういうことで、泣かせたくない」
ぽつりと呟く。
○○は少しだけ笑って、冴の服を軽く掴んだ。
○○: 「……さっき、ちょっと怖かった」
正直な一言。
冴は一瞬目を伏せて、
冴: 「……だろうな」
短く返してから、もう一度抱きしめる。
今度はさっきよりも、少し優しく。
冴: 「次やったら、ほんとに殴れ」
○○: 「……できるかな」
冴: 「できなくてもやれ」
少しだけ意地悪そうに言う。
でもその声は、ちゃんと優しかった。
キッチンには、まだ焼けたハンバーグの香りが残っている。
冴はふとフライパンを見て、
冴: 「……焦げるぞ」
○○: 「あっ!」
慌てて離れて、火を止める○○。
その様子を見て、冴は小さく笑った。
さっきの空気は、もうどこにもない。
ただ、少しだけ距離が近くなった ——
そんな夕方だった。
チャンチャン!
コメント
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何だこの尊い夫婦は