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注意書きは1話に書いてありますので、見てから2話を見て頂けたら嬉しいです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

No.side


楡井「んなっ…」

「な…なっ なにしてんすかあんたら……!!」


まさか、あっちのシマに手を出すだなんて誰も想定しておらず言葉が出ない。


『はぁ…ちょっとそこの中学生、血は出てない?』


蝶河は傍に駆け寄り、血が出ているところがないか聞く。質問に対し、顔を赤らめながらこくりと頷かれ、つまづいた中学生の横で背中を擦りながら無言で寄り添う。


「……あーあ なにをやってんだよ…」

「あー だめだ 完全にのびてる」

「うわ〜気絶してんぜ?弱ぇな」

「ケリ一発でおちるとかダサ」

後から追いついてきた獅子頭連のメンバーは、気絶した者を心配するような素振りはなく、足で顔を確認したり、しゃがみ顔を覗き込んだりしゃがんで指でつつく等様々だ。その光景を見ていると、到底同じ仲間には見えない。


その後ろからカランコロンと音を鳴らし1人の男子がこちらへと向かってくる。

その男子の声が聞こえた途端、さっきまでイキイキしていた3人は、その来た人物に道を開ける。

その人物は、獅子頭連の副頭取の十亀 条〈とがめ じょう〉というらしい。


十亀「なあんでフウリンがぁ こっちにいるのぉ?」


そう言い、下を向き、猿渡が倒れていたことに気づき驚いたような声を出す。そんな十亀に対し、柊は前に出て理由を説明する。


柊「そいつがうちのを追いまわしてたんだ」


十亀「んん?ああ」

「柊じゃーんやっほー」


桜「(なんだこいつテンポが遅くてイライラする)」


十亀「あれぇ?風鈴に女子いるぅ」

「へぇ 共学になったって聞いたけどぉ 噂ホントだったんだー」


蝶河から視線を外し、倒れている猿渡に指を指しながら喋る。

十亀は、にたぁぁと不気味な笑みをしながら問う姿に風鈴生全員にぞわぁっとした感覚が襲う。

喚き出した猿渡を十亀は容赦なくボコボコにする。

柊「やめろ!!」


十亀「?なぁに?」


柊「同じチームの…仲間じゃねぇのかよ」


柊のセリフも何も響いてない様子で誰が?と言う。


十亀「こいつはもう違うよ?負けたから」

「負けるってことは弱いってこと」

「弱いやつはぁ…」

「獅子頭連にはいらなぁい」


蝶河『あんまり…良い気はしないわね…』


ぼそりと呟いた途端桜は皆が聞こえる声で言う。


桜「だっせ

「〝力〟の絶対信仰が聞いてあきれる」

「弱ぇやつボコってそれが〝力〟か…」

「せっかく面白そうなヤツらだと思ったのに」

「がっかりだ」


桜の述べたことは最もであるが、今明確に副頭取に喧嘩を売ったとも言える。周りも黙っちゃいない。


有馬「あ”ぁ…?」

虎尾「弱ぇ奴が搾取されるだけだろうが」

鹿沼「ねぇあんなこと言ってる殺す?殺す?」


結果的に副頭取を怒らせ、柊は大量の胃薬を飲むなどが起きたが、一旦学校へと戻ることとなった。






蝶河.side

私達は、梅宮さんと会うことになったのだけど…一言、第一印象言っていいかしら。

大丈夫?この人。

てっきり情報が回ったのかと思ったら、全然話噛み合ってないし、とてつもなく不安なんだけど?

今私は面倒くさそうな呆れたような表情をしている自信がある…。


不安感を抱えた私だったけど、男子中学生の笹城さんに対しての梅宮さんの対応は確かに誰もがついて行きたくなるような安心感があった。

それに私に対しても笹城くんの手当を行った事に対してお礼を言われた。頭を撫でられそうになったのは丁重にお断りした。



桜「って なに勝手に兄貴になってんだよ!」


私も勝手にお姉ちゃんになってるわよ。


梅宮「この街にいるやつはみーんな家族だと思ってんだ俺ぁ」


微笑ましい絡みだと思っていたら、柊さんの電話が鳴る。何かあったのかと、そんな時大きな声が聞こえる。


「たのもー!」

「たのもーたのもーたのもーたのもぉー」

「我は獅子頭連 頭取」

「兎耳山 丁子〈とみやま ちょうじ〉!」


兎耳山「うーめーちゃーん いざ じんじょーに」

「勝負!勝負!!勝負!!!」


えぇ……もう嫌な予感しかしない。

桜さんはいち早く梅宮さん達について行く。

他の3人もその後に続く。


楡井「蘇芳さん杉下さん!笹城くんまで!!」

「まっ 待ってくださいー!!蝶河さんも行きましょう!!」

『えッ、ちょっと…!』


無理やり連れていかれることってある…??



外へ出ると、梅宮が交渉を促す。兎耳山は条件を飲んだかと思えば蹴りをかました。

後ろから十亀が来て、獅子頭連総出で風鈴の周りが囲われる。


兎耳山さんのタイマンを受けた梅宮さん。その後は煽り煽られ…。蘇芳さん笑顔で煽るタイプね…。

十亀「まぁまぁみんな落ち着いて…」

「ねぇちょーじタイマンやるにしても日は改めた方がいいよぉ」


兎耳山「え”!?」


十亀「だってもうすぐ暗くなるよ そもそも今日、来る予定じゃなかったからね」


あぁ…桜さんまで煽りに煽っちゃって…いやそもそもは彼から、こんなに発展したんだった。

本当に喧嘩なんて勘弁してよ…。


兎耳山「……もしかしてみんな関係者?」


ぽんっと手を叩き


兎耳山「それなら梅ちゃん」

「みんなでやらない?」


嫌な予感的中。

むしろそうなるわよねって感じだけど、この感じは別に私やらなくて良い感じね、良かった。


梅宮「おい!タイマンならオレたちだけで十分だろ」


兎耳山「えーみんなでやった方が楽しくない?」


桜「オレらも…」

「そっちの方が嬉しいね…」

やる気満々な表情で言う桜と、桜の発言の通りの杉下と蘇芳。

佐狐と呼ばれた人と柊もタイマンすることになった。


兎耳山「うんうん!さこっちゃんが出るならなりっちゃんも出るしかないよね!?」


名狸「えッ…?僕もタイマン参加決定…?勘弁して下さい…」


兎耳山「えーだって!あっちにはまだ2人いるんだよ?女の子と、金髪の男子!」


楡井「え”…!?オレ…!」


何これ、喧嘩から逃げられないってわけ?


虎尾「ちょうじ このなよなよした奴より俺がやるぜ」

「それに名狸が自分から喧嘩するわけねぇだろ」


名狸「なよなよって…」


兎耳山「それもそっか!虎ちゃん強いし参加してくれたら楽しいだろうし全然オッケー!」

「けど フウリンはどっち出るの?」


虎尾「なよなよした奴はなぁ〜」

「でも守られて安全圏な女子を相手するのもな…」


楡井「ぁ…えっと…」


『…』


桜「おいこいつらは」


楡井「〜〜お、オレ…ッ」


私がやるわ


虎尾「へぇ…女子に手出すことになるのかぁ、蝶よ花よと守ってもらってばっかの人生だろ?大丈夫か?大人しく辞めりゃ痛い目合わずに済むぜ?」


『何アンタ、女子のこと守りたがり屋?カッコつけて紳士ぶらないでくれる?気持ち悪いわよ』


虎尾「あ”?生意気だなお前。俺が最も嫌いなタイプの女みてぇだ」


これで、このメンバーでそれぞれのチームをかけて喧嘩することが決まってしまった。



梅宮「おーし!

そんじゃまぁいきますか!」



No.side


18時間前


笹城「俺が居ていいんでしょうか」

蘇芳「もちろんだよ」

楡井「あ〜〜〜〜〜〜〜〜」


楡井は頭を抱え、これでもかと焦って同じ言葉を口にする。


楡井「やばいやばいやばい絶対やばいこれ絶対やばい…」


桜「さっきからうるせーぞ」


楡井が焦る気持ちも分からなくはない。喫茶店ポトスの定員さんが全員分のオムライスを机に置いて焦る楡井に向かい、諭す言葉を言う。


桜「ガツガツ」

「つーか、そんなことよりお前さ喧嘩出来んのか?」


桜は、杉下の隣の席に座る蝶河に聞く。


楡井「あッ そそそうです!蝶河さん大丈夫なんですか?!」


『…さぁ?なるようになるんじゃない』


楡井「え、えぇ…」


桜はその言葉にふーんと反応を示し、蘇芳はずっと考えたことを蝶河に質問する。


蘇芳「蝶河さんはなんでこの街に来たんだい?しかもここは地元じゃ不良校で有名なのに」


『……普通に不良校って知らなかったの、元々女子校に入る予定で学校探してたら、そのパンフレットの中に間違って入ってたっぽくて』

『まこち町のことはある先輩から聞いてて、興味あったからちょうどいいかなって、てっきり女子校から共学に変わったんだと思ってたの』

『…だから、男子校だったのも知らなかったし不良校なのも知らなかった』


蘇芳「…蝶河さんって意外とドジなんだね」

桜「…お前、本当に大丈夫か?」

心配する桜を横に、この話をメモする楡井。


『楡井さん書く手止めて?』



橘「ま、女子が1人とか心細いだろうし何か困ったことがある時ここに来てよ、蝶河さん、だっけ?」

「あー私は橘ことはこれからよろしくね」


『……蝶河刹那…呼びやすい名前で好きに呼んで』





楡井「!ああ!!もうこんな時間だ 約束まで18時間を切ってます!!」


先程の会話を思い出す。

兎耳山「んじゃ明日の正午高架下のトンネルのところでまってるよ」

「遅れないでねー」


楡井「桜さん!作戦の打ち合わせをしましょう!!」

桜「タイマンに作戦もクソもねーだろ」

「つーか食い終わったんだけど…帰っていい……?」

楡井「はや!!あ野菜のこしてる…」

『ちゃんと最後までたべなさい』


蝶河は3人の会話を他所にいつの間にか笹城くんの横に座り会話を行っている。一応会話をしながらも横で会話を聞き流しているので、ボウフウリンのたまり場という事を頭に入れる。


バン リンリンリーン


梅宮「こっ とっ はーー!!!」


大きな声で中に入ってくる2人の青年は、梅宮さんと柊さんの先輩だった。

距離の近さから梅宮とことはの関係を彼女だと勘違いする桜。だが妹だと訂正するが、それも違うらしい。ことはさんが言うには同じ施設で育ったらしく、だから梅宮さんは妹だと言ったのだと蝶河は理解した。

桜がことはに向かって年齢のことでだいぶ失礼なことを言ったせいで、杉下が椅子を投げ、梅宮は笑顔でキレた。



蝶河.side


梅宮「んー んまーい!!」

「ことはのオムライスは日本一!」

橘「黙って食え」


梅宮「あれ 柊食わねーの?モグモグ」

柊「あ…いや…」

「昔の獅子頭連のことを考えてた…」


昔の獅子頭連…。


桜「あいつら…前は違ったのか?」


柊「……力の絶対信仰…獅子頭連はただ純粋に喧嘩の強さを求めるチームだった」

「たしかに血の気は多い奴らだったが中坊を追いまわすようなことは絶対になかった…」

「昔 一度ウチとあいつらが派手にぶつかったことがあってな」

「壮絶な乱闘だったが妙に気持ちのいいケンカだったのを覚えてる だが…」

「兎耳山が頭取になってから悪い噂が目立ち始めた」

「今日みたいなことは初めてじゃない…ヨソでもケンカを一方的にふっかけられたって話はいくつも聞いてる」

「兎耳山も十亀も誰よりもチームを想う力の絶対信仰の象徴のような奴らだったのになんでこんなことになったんだか…」


桜「……」


ふーん、なんだか理由がありそうね…。


梅宮さんはスプーンを置いて、話を続ける。


梅宮「まぁ…原因は兎耳山だろうな」

桜「原因?どんな…」

梅宮「詳しいことはわからん 明日話せばわかるさ」


「「「『?』」」」


桜「話せばって明日はケンカしに行くんだぞ」


梅宮「いやいやケンカは〝対話よ 桜君…」


にやりと笑う梅宮に驚く桜。


梅宮「拳は時に言葉より相手を知る言語になる

まぁ…オレたちにしか通じない言葉だがな…」


梅宮さんはこちらに視線をやる。目が合ったが思わず私は視線を逸らす。


ケンカは…対話…?

そんなの…意味分からない。







梅宮「おーし明日は遅れんなよー!!」

「ことはーまた来るからな!」


……。


笹城「あ…あの!みなさん!!」

「ちゃんとお礼を言えてなかったので…」

「助けてくれてありがとうございました」

「明日はどうか…よろしくお願いします!」



心の底から頭を下げてくれる笹城くんに応え、


梅宮「おう!」


柊「心配すんな 大丈夫だ」


杉下「コクッ」


蘇芳「頑張るよ」


桜「べっ 別に お前のためにケンカするんじゃ…」


橘「ばかね…そこは〝任せとけ〟でいいのよ」


桜「ま…任せとけ…」


橘「よし!」


楡井「桜さん顔真っ赤っすね!」

桜「う…っ うっせえ!」


ふいっと、視線を逸らしていた私に梅宮さんはにやにやとしながら言葉を促す。


梅宮「桜も言ったんだ、お姉ちゃんからも何か言うことはないのか〜?」


『…えッ……』

思わず目を開く。

私に回ってきた…!!皆からの視線を感じる。これはなんか言わないといけない流れなのだけど…。

私こういうの苦手なのよね…。向いてない。


『えっと…私はこういうの向いてないのだけど、その…誠心誠意頑張るから心をどんと構えて待っていて』

逸らしていた目を合わせ、ほんのり頬を赤らめそう言う。


楡井「蝶河さんもこういうの苦手なんすね…顔赤いですよ」

桜「…蝶河の方が慣れてねぇんじゃねーの?」

『うぐ…っ』

蘇芳「はは、確かに 目がキョドってたもんね」

「でもどっちもどっちだよ」






蝶河.side

十亀さんと兎耳山さん達についていきながら、周りを見渡す。


桜「それにしても飲み屋だらけだな」

楡井さんがいつもの通りに、情報を喋る。

本当に飲み屋多いね…。

ガラも確かに悪そう…。


桜「ふーん つーか…」

「なんでお前いんの?タイマンやんねーじゃん」


楡井「え”!?」

「な…なんでってオレもあの場にいた関係者ですから…!!」

「それに…オレもボウフウリンの一員です 皆さんみたいに誰かを守れなくても自分くらい守れるようになりたい…」

「勉強させてください」


……。


桜「ふんっ かっ勝手にしろ!」

桜さんすぐに顔赤くなる…分かりやすいな。

それに声を荒らげるから柊さんから怒られてるし、おもしろ。


楡井「あ、あのッ…蝶河さん!」


大きな声を出す楡井さんに皆も足が止まる。


楡井「その…本当はあの時、オレが直ぐに声を上げるべきでした…オレが弱いせいで、オレのせいで蝶河さんが喧嘩することになってしまって…」

「女の子に背負わせてしまうなんて…オレは…なんて情けないっ…!!」

「本っ当にすみません!!!すみませんっ…!」


私は頭を下げる楡井さんに思わず目を見開く。

服をこれでもかとぎゅっと掴む楡井さん。

楡井さんは自分のせいで私を喧嘩に参加してしまったと罪悪感に駆られてる。気にしなくていいんだけど…楡井さんが優しいのねきっと。


『…私が無性に喧嘩したい気分だったから立候補しただけ、だから気にしないで』

『そんなに謝られても鬱陶しいだけよ、別に貴方の為じゃないもの』

『それと貴方頑張るんでしょ?じゃあ堂々としてなさい』


楡井「っ…はいっ!!!」


『うるさい』


楡井「すみませんっ!!」


梅宮「あははははっ!」


場が和んだ所でまた歩き出す。

柊「ったくちったー 緊張感持てっつーんだよ…」

梅宮「柊は もう少し肩の力抜こうな」

梅宮「でもまぁ


楡井「桜さん!ケンカの前にマッサージしてコンデションを!」

桜「いっいらねーよ!!!」

杉下「ちっ」

蘇芳「ニコニコ」

蝶河「…せっかくだしやってもらえばいいじゃん」


頼もしいじゃないの…」




兎耳山「おーいはやくはやくー」


急かされ、進んでいくと獅子頭連の根城が目に入る。

楡井さん情報によると、ここは元々映画館らしく、潰れた映画館をアジトにしているらしい。



兎耳山「んじゃいっくよー」

「選手入場ぉ!!!」

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