END
三途春千夜が苦しむ話 Part6〜
三途春千夜が急死し、徐々に壊れていった灰谷蘭。仲間は死を悲しんだものの春千夜のために。と、身を削りながらも蘭を支えた。いつからか、蘭は春千夜の存在を頭から消し去っていた。自分が苦しまないため、はたまた周りのみんなにこれ以上迷惑をかけない為に。
鶴蝶・竜胆・九井の3人は良く春千夜の墓参りに行く。蘭が春千夜を忘れてしまっても尚のこと。墓参りに行く日は基本曇り空。帰る頃にはぽつぽつと雨が降ってきてしまう。泣いているのだろうか。悲しくて寂しくて苦しくて….
その日も3人で墓参りに行っていた。だが去り際に「どうして忘れたの」という涙まじりの彼の声が3人の耳に届いたのだ。久しぶりに耳にしたその少し高くて、震えていて、可愛らしい声。春千夜の声。心霊現象?怖いなんて思わない。これが気のせいだったとしても、確かに春千夜は愛した男に忘れられるのは願ってもいないだろう。死んでも尚苦しんでいるのだ。
死んでしまったから、苦しみは明けると信じていたのに。
すぐさまアジトに帰ればぼーっとして空を見上げる蘭がいた。竜胆は喧嘩をふっかけるかのような勢いで蘭の胸ぐらを掴んで叫んだ。「思い出してくれ…兄貴が愛した人を。」と。
蘭は微笑んで「忘れるなんて、出来てるとでも思った…?」顔を歪めてそう言った。忘れていると思った。ある日を栄になにも触れなくなったから。仏壇の前に行くことも無くなったから。アルバムを見返すことも、ビデオを見ることも。
兄貴はその日春千夜に会いに行った。お互いの為だと思った。目の前で頭から血を流していた兄貴は、さぞ幸せそうな顔で微笑んでいた。やっと会えたんだね。やっと解放されたね…もう、、春を1人にしなくていいね。そう言って兄貴を一度抱きしめる。熱の通わない重い体は俺の心を締め付けた。
俺も今すぐに春千夜に会いに行きたいと思った。目の前で死んだ蘭がほんの少し羨ましく思えた。春のことがずっとずっと好きだった。同棲していた時みたいにずっと自分の手に収めておきたかった。過去に失った想い人よりも長く、濃い時間を過ごした。でも蘭が会いに行ったことで向こうで春千夜が少しでも幸せになれるのならそれで良いと思った。
目の前で死んだ蘭を見て、脳裏に一つの記憶が浮かんだ。俺の唯一の人。黒川イザナの記憶を。大切だった。愛していた、唯一の王だった。兄のように、時には父のような….愛し合っていたような、そんな関係だった。でも気が付けば春千夜と過ごした時間の方が長くなっていた。どちらが大切。とは言えないが、失ったものは取り返せないとあの時知ったから、春千夜だけはもう失いたくなかった。
やっと会いに行ける。俺の世界で1番愛おしい人に。すぐ見つけ出して、力一杯抱きしめて、頭を撫でて…そして優しくキスをして。もう1人になんてしないからね。
真っ赤な木々の向こうに近づいてくる人影が見えた。スラッとした高身長、長い足。そして優しく俺を呼ぶ声。
あぁ…蘭。やっと来てくれたんだね。
三途春千夜が苦しむ話 END
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三途春千夜が苦しむ話 after story
「繰り返す世界に終止符を」
あの時、俺が神に願いを乞うた。「今まで俺が犯した罪、どんな形になっても償うから」「ちゃんと全部背負うから」「だからまだ春を連れて行かないで。」「お願いだから、春を助けて…」と。助かったんだよ。その時の春は、俺が願ったからだと思ってた。でも、俺に天罰は与えられず、尚も春が苦しめられ続けた。まさか、これからも春を傷つけることが代償の神からの加護だったのだろうか。
目が覚めた。視界に映るのは遠い記憶に刻まれていた真っ白な天井。なんの変哲もないただの白い天井だが、差し込む朝日が波紋のようなものを天井に映し出す。かつてガキの頃に住んでいた家だ。これはなんなんだ?俺はあの時死んだはずだ。脳天を打ち抜いたのに生きていたというのか?いや、でもこの家は春の認知症が進む前に取り壊し作業に入った…よな。急いで体を起こしてリビングを出た。
リビングには若かりし頃の長髪の俺と、メガネをつけた竜胆がいた。2人は俺のこと認識できないらしく2人でコーヒーを飲みながら談笑していた。信じられない光景に目を疑ったが、これは走馬灯なのだと思った。でも体が自由に動く。だから力の許す限り全速力で走って外に出た。やはり外の景色は俺のガキの頃とおんなじだ。だから走った。走って走って春を探したんだ。見つけられるかもしれない。走馬灯の世界で、捨てた世界の知らない春に会える気がして。会いたい。今すぐに会いたい。抗争なんかで会う前に早く見つけたい、。話せなくとも一目でいいから君に会いたい。
どのくらい走っただろうか。見覚えのある神社を見つけた。東卍の集会場だ。ここにいたら会えるかもしれない。石垣に腰掛けて流れ行く車や人たちを見ていた。その時一際目立つ彼を見つけた。白い長髪を風に靡かせてこちらに歩いてくる春に。隣にいるのは場地圭介だ。よかった、会えた。あの時より早く…。喜びと感動が交差して、とにかく俺は春の居るところへ駆け寄った。
でもその時、場地の大きな叫び声が聞こえた。「春千夜!!!」と。驚きで一瞬足を止め、春の左を見た。つもりだった。でも春は視界から消えていた。なんだなんだと周りにいる人たちもその場に近寄る、何故か春はお腹を押さえて道路に倒れ込んでいた。場地は春を抱えている。俺の体は実体化していないらしく、人だかりを通り抜けることが出来たので春に近づいた。
ああ。だめだ。この世界でもこうなのか。これは走馬灯だろ…?
春千夜は腹から大量の血を流していた。そしてその腹元には包丁が刺さっていた。場地は血眼で叫んでおり、春をぎゅっと抱きしめていた。俺も抱きしめたい。この世界でも苦しんでいる春を。走馬灯だとしても春の最期の瞬間は春に触れていたかった。春が俺を知らなくても、見ることが出来なくても。
意識の薄れてきている春の頬に手を伸ばす。熱を感じた。君の熱を。触れることが出来たんだ。けどその時俺の意識はどこか遠いところに飛ばされた。
目が覚めた。1つ前の記憶は通りすがりに殺された春の記憶だ。なのに今、見覚えの無い天井の元、俺はベッドに横たわっている。まさかと思い急いで部屋を出る。この家には誰もいない。でも何故だろう、君がいたであろう痕跡が目に見えた。
ふと壁に目を配ると、そこには幼稚園児が書いたような可愛らしい絵や、額に入った美しい習字、小さな子の写真が貼ってあった。ここは俺の知っている家では無い。だから走った、走って走って君を探した。
道中、コンビニのガラスに薄らと映った俺を見ると、やはりまた、あの頃のお下げの俺がいた。可愛らしい三つ編みが妙に腹立たしく思えて、俺は即座にそれを解いた。そして再び息をすることも忘れて走った。
そして再び春を見つけた。ピンクの髪に白いワンピースを来た春を。心做しか女の子のようだった。元々女々しくはあったが、あの春は女の子だと思う。胸がふっくりとしている気がしたから。俺は裏路地からその様子を覗いていた。よく見ると、その足取りは凄く重く、生前見ていた、苦しみに染った春のようだった。1歩1歩、確かめるように歩いている。
可愛らしくて思わず微笑んでしまう。
だがその時、背後に誰かが近付いてきていた。
「あの。」
俺に話しかけている。俺しかいないから、まさか認識できたのか?
少し低い若者の声。でもどこか深い威圧感があった。数歩先に進んで後ろを振り返る。そこに居たのは、どこか懐かしい顔をした青年がいた。けれど顔の右側は白い髪で覆われていて半顔しか見えていない
「母になにか?ずっと見てますよね」
「え、母….?」
春が母親….?いや、確かにこの青年は春にそっくりだ。この世界はどうなっているんだ….この世界では春は女でガキもいる、?
「というか、若い頃の父にそっくりです。」
「………..そうなん、だ。お父さんは?」
「父は今日は仕事なので、俺はこっそり母さんとデートに。今は勝手にカフェ抜け出してどこかに行ってるので様子見してるところです」
「….へぇ、。」
「お名前は?」
「さあ……名乗る程じゃないよ」
「そうですか、。僕は灰谷紫桜って言います。お兄さんなんか父親の若い頃にそっくり過ぎて……w」
灰谷……?まさか旦那は俺って言うことか?いや、そうだ。そうに決まってるこの瞳の色….声、そして俺と同じくらいの身長…
「あー、紫桜くん?」
「はい?」
「………髪避けてもらっていいかな」
「ちょい厳しいっすね〜」
首元に大量にあしらわれているタトゥー、耳以外にも大量に空いているピアス….そして一瞬見えた右目のタトゥーのようなもの。もしこの世界にも梵天があるとしたら
「口外しないから見せてくれる?」
「……….俺は幻でも見てるんですかね。本当、父親にそっくりだ」
紫桜という少年は渋々前髪を書きあげた。案の定、目元には梵天のタトゥーが入っている。
「口外したら殺しますからね。首領なんで」
マイキーでは無くこの子が首領….?いや、もしかしたら他のみんな若くないのかもしれない。これ以上の詮索は控えて、最後に1つ頼み事をした。
「君のお母さんに聞いて欲しいんだ。旦那さんと結婚して後悔がなかったか」
「いいですよ。そろそろ行きますね、母さんが俺を探し出すと思うので」
「!…..お母さんは病気なの?」
「否定はしません。今は少し、疲れているんです。元々体が強い方では無かったんですけどね」
この世界でもだ。春は苦しんでいた。どうしてなんだ。あの時、髪に願ったことの代償がこれなのか….?
「じゃあ。失礼しますね………」
そう言って彼が歩を進めて春に駆け寄りてを繋いだ瞬間、地獄が訪れた。
黒塗りの車が2人の元に突っ込んで行ったのだ。俺はすぐさま2人の元に駆け寄り、春の名前を叫ぶ。春はまた体中から血を流しており、もう既に息を止めて居た。これは俺に対する罰なのだろうか、君が失う瞬間を俺はもう3度見てしまった………いや、もっと見てきたのかもしれない、。君が失われる世界を俺はもっと見ていた気がする。何回も何十回も。
ふと青年に目を向けると、青年は俺を見つめていて
「ぱぱ………..?」
と涙を零し、そして春の手をぎゅうっと握って……そのまま静かに息絶えた。
あの車はきっと取引先や裏社会の人のものだ。またこの世界でも梵天は人々から恨みを買っていた。そしてまた春に天罰が下されたのだ……息子にまでも。
何度繰り返しただろうか。
君を目の前で失う世界を。もう嫌だ、嫌だ、目の前で愛する人を失うだなんてそんなこともういやだ、消えてしまいたい…………….
目が覚めた。
嗚呼……またか、。もう慣れてしまった、今度はどんな地獄な世界だろうか。
だるい体をゆっくり起こし、リビングに向かう。ここは六本木の家。きっと竜胆と本当の俺が朝食を取ってる頃だろう。
静かに戸を開ける。
「兄ちゃん遅せぇよ。早くしねえと遅れちまう」
竜胆はしっかり俺に視線を留めていた。
「は………..?」
思わずそう声を洩らした。
「は?じゃないよ…..早く着替えて。今日は東卍とバルハラの抗争行くんだから。」
俺を見ている。俺と話しをしている……そして
「東卍とバルハラ……、?」
「何、大丈夫?頭おかしくなったの?兄ちゃんが行きたいって言ったんだからね」
場地が死ぬ日、。そして……君に恋に落ちた日
「竜胆!早く行くぞ!!飯食うのやめろ!」
「はあ!?ちょ!兄ちゃん!!」
俺は大急ぎで適当なスウェットに着替えて、靴を履いた。
「兄ちゃん!!いきなりなんなんだよ!」
竜胆も怒りながらしっかり靴を履いている。ああそうだ、こいつはなんだかんだずっとずっと俺と一緒にいて、愚痴を零しながら俺にずっと着いてきてくれた優しくていい弟なんだ。最初の世界では結局竜胆を蔑ろにして悲しませちゃった様な…..
「….兄ちゃんがそんなに楽しそうにしてんの初めて見たかも。」
「早く!早く行かねえと!」
興奮が収まらず餓鬼のように竜胆の腕を引っ張って走る。竜胆は後ろでなにかぶつぶつ俺に叫んでおり、時より転けそうになっていた。
早く、早く探そう。春を、今日声をかけるんだ。今日君に想いを伝えるんだ。この世界ではもう君を手放したりなんかしないように大切にするんだ。
走りながら俺は泣いていた。泣きながら、あまりの嬉しさに笑ってもいた。
「兄ちゃんがちで、どしたん….!情緒不安定か!?泣きながら笑いながら走るカリスマがいてたまるか、!」
「カリスマとかもうどうでもいい!!お前も幸せになれる!」
「二日酔いにしては元気だよな……まじで変な薬でもやったんかな………..」
独りごちる竜胆を背にとにかく走り続けた。
「東卍は?」
「あー、あっち側。」
会場に着くなり春を探すために目を配らせた。
「あの奥な。」
「俺東卍のとこ行ってくるわ!」
「ちょっと待て、兄ちゃん何があった。今日本当に変だよ」
「変でもいい馬鹿でもアホでも良い!早く会いたいんだよ!」
「……ふーん。そんなに無敵のマイキーに会いてえのか、。俺ここで待ってるから〜」
「おう!」
全速力で走って扉を開けて東卍のメンツと面を合わせる。
「灰谷蘭?!」「なんで!?」「まさかのこっちで喧嘩売るつもりか、!?」
などと騒ぐ奴らを無視して春を探す。居ない……どこだ、?
「!ムーチョ!!」
「よう、蘭。抗争前に来んなよ、お前殴られてもおかしくねえからな」
「春千夜ってやつ知らない!?」
「あ?春千夜?春千夜は」
「ここに居ますが。何か?」
ムーチョの背後から現れたのは、俺が愛した君の姿だった。
何も変わらない、あの時とおなじ……俺が惚れ込んだ人だ。
「おま、蘭……なんで泣いてるんだ?」
「春、春………..」
「隊長….この人なんなんですか?」
「さあな。俺にもこの蘭は説明がつかん」
少し怒ったような姿も愛おしくて仕方なかった。
抱きしめたい衝動を抑え、告げ口をする。
「場地圭介は今日死ぬ….死んで欲しくなかったら稀咲鉄太を仕留めて………君の幼なじみだよね」
「?!なんなんすかほんとに……それに俺とアンタは初対面ですよ」
「信じて……あと、俺は君をずっと前から知ってる、」
「蘭、どうかしちまったか」
「どうかしててもいいよ。春、怪我しないようにね」
初対面のあの男は、有名な灰谷兄弟の兄の方だ。勿論名前は知っているし、顔も写真で見たことがあった。それにもし本当に会っていたなら忘れることは無いだろう。あんなにも美麗な人間を忘れはずが無い。
でもどうしてだろう……「春」と呼ぶその声に酷く安堵した、。
「兄ちゃん遅い」
「ごめんごめん。」
「無敵のマイキーはどうだった?」
「あ?知らね」
「あーマイキーじゃないんだ。会いに行ったの」
「うん……きっと竜胆も気に入るよ」
「????」
春があんな俊敏に動けているのが本当に嬉しくて、何故かまた泣きそうになった。殴り続け、気が付けば俺らが座る車の山のふもとまで春が来ていた。
手を見ると殴った拳が赤くなっていて、見るに堪えない程に痛そうだった。いてもたってもいられず、俺は車の山を降りた
「兄ちゃん!?」
「春…..!」
殴りかかっていたヤツらをとりあえず一掃し、春の手を握る
「なっ……なんなんすかアンタ!!」
「痛いよね….ごめんね、。」
俺は何もしていないのに、あの頃の癖のせいで謝りながらなだめてしまう。ハンカチを押し当てて血を拭えば、きょとん……と俺を見つめる春と目が合った
「なんでアンタが謝るんすか。そんでなんなんすか」
「兄ちゃん!抗争中にチームのやつボコすなや、喧嘩売ってると思われる」
「ごめん。」
「!いや、いいけど」
「離してください….隊長のところ行きます」
「い、行かないで。危ないよ」
「はあ?」
「すまん。三途だっけ?今日兄貴調子悪いっぽくて」
「……っす。じゃ」
振りほどかれる手を再び強く握った
「お願い。ここに居て……」
「無理っす!!しつけぇ!」
そう言ってしびれを切らした春は俺を押しのけ喧嘩にまみれて行った。
「兄ちゃん、帰ろ、変すぎる」
「……竜胆、俺さあいつのこと大好きなんだ」
「初対面で?!?せめて一目惚れって言おうよ」
「お前にはわかんねえだろうよ。でも、春は世界で1番愛おしい子なの」
あの後、何度も何度も告白をした。そして怒られても懲りずにストーキングをした。死なれたら嫌だから。
残念なことに場地やイザナが死ぬ現実を変えることは出来なかった。そして、反社の道を進まざるを得ないことも変わらなかった。でも
「おーい、らんー?」
君が横にいる。健康な君がすぐ側に
「はいはい春ちゃんどうしたの?」
「今日寿司奢ってくれるんでしょ?早く行こ」
「あぁ、そうだったね。行こっか」
「ん!」
元気に微笑む君を、俺は何年も見てきた。何十回目かでやっと訪れたこの世界。君が幸せに生きる世界、俺が君を幸せにできる世界に。
「春……愛してるよ。」
「俺も蘭のこと愛してるよ〜」
何歳になっても、君の隣にいたい。よぼよぼな爺さんになっても、君といたい。
もし若いうちに死ぬとしたらその時は一緒に終わらせたい。この繰り返される世界を。
「らぁん、」
「……なあに、春。」
「また泣きそうになってる、どうしたの」
「懲りずに告白して良かったーって思ってさ」
「!ふふw何十回されたことか」
何十回でも何百回でも、君がYESと言うまで俺は君に愛を伝えるよ。
「会えてよかった…..世界で1番愛してるよ。」
「俺もだよ」
優しく抱きしめあって、額に静かに唇を落とす。ほんのり赤く染まる君を見て、ずっと忘れていたことを思い出した。
「春、紅葉見に行こう」
「?いいけど、今日はお寿司だよ?」
「ん、明日にでも、竜胆と鶴蝶とココを連れて」
「???変なメンツだね。」
「約束したから」
「蘭、疲れてるの……?大丈夫…?」
春が優しく俺の頭を撫でる。心配そうな面持ちで俺の顔を覗き込み、首を傾げた。
「大丈夫だよ。春が居るからね」
そうだよ、君がいれば良いの。それだけで俺は幸せだから。もう何があっても大丈夫。だから、離れていかないでね。
「あっ!でも明日病院だよ」
「あ〜そうだったね。終わったら見に行こっか」
「分かった。でも、検査してもいつも何も無いから」
「約束したでしょ…..、何かあっても嫌だから、検査はちゃんとして………..お願いだから」
「ゎ、わかってる。だから泣かないで」
やっと終わるんだ、繰り返され続けたこの地獄が。
春、俺に出会ってくれてありがとう。
俺を愛してくれてありがとう。
生きようと思ってくれてありがとう。
時に死を諦めてくれてありがとう。
嫌いでいながらもそばに居てくれてありがとう。
君が幸せになれる世界で、俺と出会ってくれてありがとう。
しつこかっただろうけどこうして今、そばに居てくれてありがとう。
愛してくれてありがとう。
元気に生きてくれてありがとう。
一緒に終わらせてくれてありがとう。
世間からは恨まれてばっかりだったけど、みんなが居れば、春がいればそんなの大丈夫。恨みを買ったやつに殺されてしまったけど、君と一緒に終わらせることが出来て、本当に良かった。俺の最後の記憶が、君でよかった。
2度も君の最後の記憶を俺にしてくれてありがとう。
終止符を打ってくれたのが君で良かった。
世界で1番愛おしい君へ….
もしまた生まれることが出来たなら、俺を探してね。俺もすぐに君を探すから。
繰り返す世界に終止符を。
ありがとうございました。
ちよくるパート1の原案を書いた時点で私はこのエンドを決めていました。赤ちゃん好きには明確な終わりはなく、ここに入っていたものがそれです。
その他作品のエンドをかけず申し訳ありません。
ここまで読んでくださりありがとうございました。もう基本的に活動をすることはないと思います。でも小説を書くことがやっぱり好きです。大好きです。
もしかすると、自己満目的でノベルを上げるかもしれないです。その時は、こいつー辞めるって言ってたくせに、とか思っていてください。でもコメントを返信するつもりも何もありません。
1年と数ヶ月ありがとうございました。
コメント
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またあなたの作品が見れることを楽しみにしています
清華お疲れ様ー!!! 長々と書くと本当にお別れ!!みたいになっちゃう気がして寂しいから短くで!! 清華が居てくれて私の人生ほんと変わった!!!! ずっと愛してるよー!!! 清華のおかげで色んな性癖に目覚めてしまったよ😢💕💕 あ、勿論pixivも追いかけるので任せてください😆👍🏻👍🏻 清華と沢山仲良くなれたこと、本当に嬉しいです。 これからもよろしくね?笑 はあ〜今回も感動だ🤚🏻🤚🏻💕