テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
⚠️・原作と絡みが違います。
・凛と凪はお隣さん、幼馴染という設定。
・多少のキャラ崩壊表現あり〼。
この話の年齢、凛5歳、凪6歳、冴7歳。
それはとても暑い夏の日だった。
今でもその光景は凛の中に残り続けて、輝かしいものだった。
いつもと同じ、兄と公園でサッカーをしていた凛。兄のボールを受け取りきれず、ベンチのところまで転がって行った。
「あ…」
「俺、とってくる…」
ボールに追いかけて拾おうとした瞬間、ボールが空に浮いた。上を見あげたらそこに居たのは真っ白い髪の毛と肌の少年、凪誠士郎がそこにいた。凛は初めて彼を見た瞬間に恋に落ちた。恋が何なのかは理解はしていないけども。
「あ、えっと…」
「…これ、君の?」
そう言った彼はボールを凛の前に渡すがなかなか受け取らない凛。不思議に思ったその少年は顔を覗くと凄く真っ赤にしていた。
「おい、凛。いつまで取りに行ってるんだ」
遠くから兄の声が聞こえて意識が戻った凛は目の前の少年とばっちり目が合い、さらに顔を赤くした。
「…ほら、呼んでるよ。早く戻ったら?」
そう言いながら彼はボールをしっかり凛に持たせて、その場を立ち去ろうとした。凛はここで逃したら二度と会えないんじゃないかと思い、袖を掴んだ。
「んぇ?」
「名前……なんて言うの?」
「名前…?あぁ、俺の?」
凛はその返事に頷いた。彼は黒い目を凛に合わせて、口を開いた。
「…凪、凪誠士郎……」
「せい…?せいちゃん?」
「?なんでせいちゃん?まぁ、いいや。ほら早くお兄さんのところに戻りな」
離れたくないようにずっと袖を掴んでる凛。それに諦めかけた凪は、そっと手を掴んで袖から離させた。
「俺の事より、心配してるお兄さんのところ行きな…」
そう言って彼はその場を立ち去った。凛はまるで天使みたいで可愛い…!と心の中で思っていた。だが、彼は男だという事に凛はまだ気づいていない。兄があまりにも凛が帰ってこないのを心配して近づいたがなかなかこちらに気づかないので、肩を叩いた。
「おい、凛。どうした、そんなにぼーっとして」
「天使…」
「は?」
兄は何を言ってるんだという目をしていたが、凛は気にせずこう言った。
「兄ちゃん…天使ってほんとにいたんだね」
「……頭打ったか?」
兄はそうとしか言えなかった。あまりにも凛の変な発言を聞いてサッカー所では無くなったので帰ることにした。当然いつもと同じようにアイスを買って。
帰り道、あれからぼーっとしてる凛を見て不思議に思ったと言うより、心配になった。いつも何考えてるか分からない凛だが、それ以上に分からなくてなんと声をかけようものかと思った。
家に着いた時、凪と再び会う凛。
「え、なんで誠ちゃんここにいるの?」
「え、なんでって…ここ……俺の家だよ?」
「え、でも…隣……」
まさかの、糸師家と凪家はまさかのお隣さん同士だった事にお互い初めて知った。凛は恋に落とされた相手がお隣さんだった事への驚きと喜びが同時に来たせいかそのまま気絶した。
「え、大丈夫?」
「凛ーーーっ!!!」
凪も冴もまさか凛がそのまま倒れると思わなかったが、軽い熱中症だろうと言うことにして家の中に涼ませる事にした。凪の家の目の前だったのもあり、お邪魔する事にして凛を凪が使ってるベッドに寝かせる。その間、何もする事がない冴と凪はさっきの公園での話になっていた。
「へぇ、そんなことが…」
「うん…普段からあんな感じなの?」
「んな訳ねぇだろ」
「だよねぇ…」
冴は少しだけ頭を抱えることになった。凛の奇行がこの凪という子に被害を与えなければいいと思っていた。まぁ自分が見てれば大丈夫だろうと思ったが心配になってきていた。
「ぅ〜ん……」
「あ、起きた」
「おい、凛。大丈夫か?」
目を薄らと開けた凛はいつも違う部屋に気づいて驚いたが、それよりも凛に掛けられてる布団があまりにもいい匂いすぎて固まっていた。
「あれ…俺……」
「お前気絶してたんだぞ」
そう言うが、あんまり分かっていない凛。そして、目の前に凪がいる事で固まった。
「え、なんで誠ちゃんここにいるの…?夢?」
「夢というよりここ、俺の部屋だよ」
そう言われた凛は布団と凪を2.3回程見返して、ここが凪の部屋で自分に掛けられてる布団が凪のだと知って鼻血を出した。
「え、あ、おい!!」
「ティッシュ持ってくる!!あと水も!!」
暫くの間鼻血は中々止まらなかった。冴の行動が早かったお陰なのか布団に鼻血が付かなかったの奇跡に近い。冴もヒヤヒヤしていた。
「まさか鼻血を出すなんてな…」
「ごめんなさい…」
「まぁ、暑かったからね…仕方ないよ」
いや、お前は少しでもこいつの目線に気づけよと思った冴だったが余計なお世話だろうなと思ったので言うのを辞めた。うん、凛が暴走さえしなければいいんだと言い聞かせて。
凪は新しく氷水を持ってくるという事で部屋から出て行った。そして、冴は凛と向き合い
「…お前、まさかあいつのこと好きだとか言わないよな?」
「え、好きだし結婚したい」
まさかの爆弾発言に今度は冴が倒れそうになったのは言うまでもない。何も言わずに頭を抱える冴を見た凛はムッとした顔になった。
「まさか兄ちゃんも好きだって言わないよね?」
「……は????」
「誠ちゃんは俺のなの。兄ちゃんにも渡さない」
「????何言ってんだお前」
ほんとにそうとしか言い様がなかった。急にライバル視された上にもう自分のものにした気でいる凛に驚きを隠せない。
実は氷水の入った袋を持ってきていた凪がその会話を聞いていたとは知らずに。
「…え、嘘。凛君俺の事…好きなの?」
凪も少しだけ胸が高鳴っていた。ちらっとドアの隙間から見えたあの目のギラつきに凪は凛に惹かれて行った。ドキドキが止まらない。その時持っていた氷水の入った袋の水滴が凪の足に当たり気づいた。
「あ…」
高鳴る気持ちを抑えて凪はドアを開けて入り、氷水の入った袋を凛に渡して冷やした。
暫くしたら体調も良くなったし、お隣だったのもあったからそのまま帰ることにした。
「なんか悪いな…」
「うぅん、気にしてないで」
凛はじっと凪をみつめていた。先に冴が出ていったあと、凛は凪の腕を引っ張った。
「うわ…っ」
急に引っ張られた事によってバランスを崩した凪をしっかり支えてそのまま唇にキスをした凛。
「え…?」
「…誠ちゃん、絶対お嫁さんにさせるからね」
その目はまるで狼のようだと凪は思った。でも怖いとは思わず、高鳴る音が激しく心臓が破裂しそうだった。
「絶対…誰のものになっちゃダメだよ」
そう耳元で囁いた凛は冴を追いかけるように凪家から出ていった。
凪は暫くその場所から動けなかった。これが恋なのか、何なのか…よく分からない気持ちでいっぱいだった。
「…暑い……」
それは夏の暑さなのか、それとも恋による熱なのかは誰も知ることはない。
NEXT♡100