テラーノベル
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花が咲いたら、君に会いに行きたい。花が枯れたら、君とお別れしなくちゃ行けないから。
「春!!」
僕を呼ぶ声が耳を突き抜ける。
『あるくん……………また、来てくれたんだね』
「……うん。会いたかったよ………春、」
僕の名前は「春」
春の妖精なんだ。
でも、春が終わると当分僕の出番は無い。
そんな僕と、出会ってしまったのが「あるくん」
僕はその子に恋をした。
でも、1ヶ月も経てば僕たちはお別れしなきゃ行けない。
最近は、暑くなってきて春がすぐに終わる。
僕とあるくんの出会いは、少なくなって行った。
「ふふっ、今日は何をしに来たの?」
「は、春と、桜を見に行きたい」
「…………ははっ、嬉しい。けどね、僕、桜は見れない」
「…………やっぱ、そうだよね」
悲しい顔をしないで。
僕だって君と、桜を見て見たかったよ。
僕は桜を見れない。
僕が「桜」なんだから。
僕が「春」なんだから。
僕からは、僕の視点からは、桜も、風景も、見えない。
ただ、春を待つだけ。
「ねぇ、どうしたら俺と桜見れるの?」
「………どうしたらいいのかは、僕には分からない。でも、見てみたいとは、思うんだ。……ねぇ、桜ってどんな色をしてるの?どんな匂いがするの?木って、どんな見た目をしてるの?」
「…………桜は、ピンク色だよ。匂いは、多分、しないかな。あ!でも、桜味とかの食べ物はあるよ!木はね、うーん。茶色の太い真っ直ぐな棒に葉っぱが沢山付いてるんだ」
「んふ、そっか。ありがとう、教えてくれて。…………もう、行かなきゃね」
「え、まって、待ってよ……まだ、話したいよ……」
「……僕も、話したかったよ。でももう、桜散ってるみたい」
「………あ、」
「……んふ、あのね、最後に、伝えさせて。また、1年後に答えを聞かせて。」
ー好きだよー
「…………春、………俺も、好きだよ…………グスッ」
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題名「春が来たら教えて」
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