テラーノベル
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最終回です!
⚠モブ🍍表現あり⚠
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男が自然なふりをしてすっと
手を差し出し、なつの指を絡め取った。
「危ないから手、繋ご?」
「えっ……あ、うん///」
なつは少し照れながら、
そっと自分から指を“繋ぎ替え”るように
ぎゅっと握り返した。
メイクした瞳が少し赤らんでいる。
そのまま歩き出す二人。
ーーー
最初は明るい通りだったけれど、
少しずつ人気が減っていき、
街灯も少なくなっていく。
「……ここッ、ねぇどこ行くの?」
なつの声に、ほんの少し震えが混ざる。
男は軽く笑いながら言った。
「ん?見てわかんない? ホテルだけど?」
ラブホの看板がすぐそこにある。
「ぇ……?」
足が止まる。
でも手は強く引かれている。
「なつちゃんってさ、
意外と胸ないんだね。がっかりしたわ」
「え、それ……ッ……」
「あとさ、俺“地雷系”が好きなんだけど?
知らんの?」
「そんな……言ってなかった、から……」
「もしかしてプロフ見てない感じ?」
「……ごめん、」
「まぁいいや。ほら、行こ?」
ガッと腕を引かれる。
歩幅が合わないほど強引で、
ヒールの音が乱れる。
「や、……ッ 私、そういうのNGに
してんだよね……だから、ごめんね」
「は?」
男が立ち止まり、
冷めた声で吐き捨てる。
「なつちゃん、ヤリモクじゃないんだ。
だる」
無表情で、興味を失った目。
さっきまでの優しそうな雰囲気は
全部嘘だった。
なつは唇を噛む。
メイクの下で、ほんの少し涙が滲む。
「……ごめ……ッ」
その時。
背後から、誰かの足音がゆっくり
近づいてきた。
夜風の中でもわかる。
なつがいちばん安心する匂い。
そして、なつがいちばん傷つけては
いけない感情を抱えている男。
「ぇ。…?いる、ま?」
影がゆっくり二人の間に落ちる。
路地に響く、男の荒い声。
「ぁ?なんだてめー?
こっち見てんじゃねーよ」
なつはびくんと肩を震わせ、
視線を地面に落としたまま動けない。
手も指も冷たくなっている。
ゆっくり前に出て、
なつを背に隠すように立った。
「その子、嫌がってんだろ。
離してやれよ」
声は低くて鋭い。
でもなつの耳には、
“お前は守られてる”って優しい響きにも
聞こえる。
男は鼻で笑った。
「無理だけどw てかお前もこいつ狙い?
まぁ顔いいからわかるけど」
「別に。俺はその子が嫌がってたから
止めに入っただけだけど」
「はいはい、正義のヒーローずらね。
今から俺たちホテル行くから
邪魔すんなって」
いるまはふっと苦笑した。
その手には、男の財布。
「こんな高そうなホテル、
金ないのによく言えるわ」
「……は?」
男が凍りつく。
いるまは財布を指先で軽く揺らしながら
言った。
「これ返してほしかったら、
その子を今すぐ離せ」
「はぁ!?
それ、窃盗だし脅迫だからな?
警察のお世話になりたいのか?」
「いいから早く」
ぴしゃりと言い切る声が冷たくて、
なつはぎゅっと唇を噛んだ。
男は苛立って、わざと聞こえるように
吐く。
「あーお前らキモすぎだろ」
「は?」
「こいつなんかマチアプやってんのに
ヤリモクじゃないらしいぞ」
いるまは噛み殺すように返す。
「ヤリモクじゃないならなんで強引に
ホテル連れて行こうとしてんだよ」
「強引にヤるのが一番エロいだろ?
こいつ処女くさいし初めて
奪ってやりたい」
「…………気持ち悪ぃな」
「俺が初めていただくからじゃーな」
「残念だろうけどもう初めては
俺に奪われちゃってるよw」
「は? お前らグル?」
空気がひりついたその瞬間——
「——あの!! 俺、男なんでッ!!!」
なつが震える声で叫び、
男の手を突き放した。
「いや え……は? 男?」
なつは泣きそうな顔で、
一目散にいるまの横へ駆け寄り、
いるまの服の裾をぎゅっと握った。
いるまは無言で男を睨む。
「そーだとよ。だから、さっさと帰れ」
バサッと財布を男の足元に投げる。
硬い音が路地に響いた。
男は舌打ちして吐き捨てる。
「男とか騙されてたのかよ。
まじだるいわ。
てかゲイかよ、お前らきめーな。
その男好きなんだ? まじきめー」
「てか男同士でやるのどうなんよw?
きも」
その暴言だけ残して、
投げ捨てるような足音でどこかへ
消えていった。
***
男が完全にいなくなっても、
なつの肩はずっと震えている。
「……っ、……」
堪えていたものが、
涙になってぽたりと落ちそうで。
その瞬間——
いるまがそっと腕を伸ばした。
路地に残ったのは
薄暗い光と、夜風と、
震えてるなつの呼吸だけ。
いるまは男が消えた方を
しばらく睨んでいたけど、
すぐに視線をなつへ戻す。
「……なつ」
そっと名前を呼ぶ。
なつは顔を上げられない。
涙がこぼれそうで、声も震えていて、
喉がひゅっとつまってる。
それでも、ゆっくり口を開いた。
「……なんで……迎えに来てくれたの……?」
言葉を絞り出すように。
ぽたり、と涙がひとつ落ちた。
「……なんで……っ、いるま……
なんで来たの……?ボロボッ」
泣きながら、
袖を握った手をぎゅっと強くして、
必死に理由を求める。
“迎えに来てほしくて呼んだわけ
じゃないのに”
“来なくていいのに”
でも——。
「……なんでって、お前……」
いるまは一瞬言葉を失って、
でも、逃げずに言った。
「お前が……泣くの、嫌だからだよ」
低くて震えてる声。
本音が零れる。
「なつが怖ぇ思いしてんのに、
俺が来ねぇ理由なんか……ねぇだろ」
なつはくしゃっと顔を歪めて、
ぽろぽろ涙をこぼす。
いるまは、その涙を指でそっと拭った。
「……俺、お前が傷つくの……
ほんと無理なんだよ」
路地にいるのは、もう二人だけ。
なつの呼吸と、
いるまの熱い手だけがある。
なつの身体がふらっと前に傾いた。
「……いるま……っ」
次の瞬間——
ぎゅうっ、と。
小さくて細い腕が、
いるまの体にしがみついた。
勢いなんてほとんどないのに、
その抱きつきは必死で、
逃がしたくない、離れたくないっていう
本能そのままだった。
胸に顔を埋めて、
震える肩を押しつけて、
なつは何度も呼吸を失いながら絞り出す。
「……やだ……もうやだ……ッポログズッ
こわかった……あいつも……
だれも……
なんにも……信じられない……」
声が震えて、
泣きながら喋るたびに
いるまの胸元が濡れていく。
「……いるまが来た瞬間……
安心して……気抜けて……ッ…」
ぎゅうう、と腕に力がこもる。
「……離さないで……離れないで
お願い……だからッポロポロ”」
なつを抱きしめ返そうとして——
でも、触るのもためらうみたいに
指先が震えた。
「……なつ」
喉の奥で言葉が途切れる。
「……頼むから……
俺に期待させんなよ……」
いるまの声は苦しそうで、でも優しい。
なつはさらにきゅっとしがみついて、
胸の中で小さく言った。
「俺…はずっと…ッ…いるまのものだよ」
その言葉で、
いるまの理性がぐらりと揺れる。
しばらくして——
なつはかすれた声で、
胸元に顔を埋めたまま言った。
「……帰りたくない……」
ほとんど囁くように。
でも、その一言にすべての恐怖と寂しさが
詰まってる。
いるまの心臓が、一瞬止まる。
なつは続けた。
「……ひとり、嫌だ……
まだ頭に残ってて……思い出しそうで……」
そこで一度、息が詰まる。
「……いるまといたい……
今日だけでいいから……お願い……ッ…」
震える声で必死に縋りつく言葉。
いるまの胸が痛いほど苦しい。
でも同時に、
“お願いされたこと”がどれだけ嬉しいかも
痛いほどわかる。
「……いるまのそばに……いたいの……」
その言葉は完全に“告白”で、
完全に“甘え”で、
完全に“本音”。
いるまは喉の奥で息を飲んで、
震える声でようやく返した。
「…そんなこと言われて……
断れるわけねぇだろ……」
なつの後頭部にそっと手を置く。
まだ強く抱きしめない。
でも確かに触れている。
「今日は……絶対ひとりにしねぇよ。
お前が落ち着くまで……」
その声に、なつはふるふるっと震えて、
さらにぎゅっと胸に抱きついてきた。
「……よかった」
弱い声で、安心した子どもみたいに
呟いた。
夜風が二人の体を撫でる。
でも、なつはもう震えていない。
いるまの胸の中が、
なつにとって“帰る場所”になっていた。
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これから本当に頑張ろうと思ってます!
LIVE楽しみ〜✨️
Kアリ連番します!!
コメント
1件
え、ちょ…良すぎませんか 🥹🥹 終わり方が神すぎて !!!! 結ばれるのかな … どうであれ幸せになって欲しい !! 紫くんいい男すぎる …