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頭が良くて馬鹿な僕

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頭が良くて馬鹿な僕

1 - 頭が良くて馬鹿な僕

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2024年07月11日

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あれは月も星も見えなく、ただ真っ暗な空に雨がふっていた日だった。ぼくはあの日のことはこれからもずっと、ずっと忘れることはないだろう。

中学3年生のときだ。僕は将来政治家になりたかった。理由は?と聞かれると特になにも思いつかない。そんな僕は自分で言うのもあれだが頭が良かった。政治家にはなれる頭だと思う。今思えば頭だけで全て解決しようとしてたのが僕だった。

「おーい!まなぶー!」

清水学。僕の名前を呼んだ男子は斎藤翔。誰にでもフレンドリーで人気なやつだ。ただ頭は悪い。それに比べて僕は基本的に敬語で、頭だけは良かった。彼と比べると僕はほぼ真逆の存在だった。表すなら、太陽と月。それでも仲良しの友達だ。

「なんだ?」

「今日あそびに行こーぜ!」

「無理だ。今は受験勉強で忙しい。」

ばかでおふざけだったが楽しかった。翔といると周りとあまり馴染めなかった僕が馴染めるような気がした。だが、ある日それは崩れた。

「今日こそ遊び行こー!」

その日は勉強のしすぎで体調不良だった。さらに毎日学校行く度に断るとわかっているのに遊びに誘ってくるのにいらだちを覚えた。

「無理だと言ってるだろ…。」

いつもより言い方がキツくなってしまった。でも翔は気にせず、しつこく言ってきた。

「少しだけ!夜飯たべいこ!」

しつこさにイラついた。

「しつこい!行かない!」

いつもは翔より声量が小さい僕が翔と同じくらいの声を出した。それに驚いたクラスメイトが周りによってきた。

「なんでそんなこと言うの?」

クラスメイトが僕をせめる。翔は悪いことをしていない。僕だってわかってる。なのに酷いことを言ってしまった。皆からの悪者扱いで更にイラつき怒りを感じた。

「前から思ってたんだけど、毎日毎日そんなに誘われてだるいんだけど?」

思ってもないこと、その場で勝つための言葉が出てきた。

「え、なんでそんな事言うの?」

翔が悲しそうに言う。喧嘩に勝ち負けもない。謝ること、悪かったところを認めることは悪いことなんかじゃない。知ってるのに。

「じゃあこっちも言うけど!いつも勉強勉強ってなんなんだよ!受験生?知ってるっつーの!お前はガリ勉だから分からねーかもだけど、こっちは勉強好きじゃねぇんだわ!」

ガリ勉?なんでそんなことを言われなきゃ行けないんだ。受験生で勉強が大切なのは当たり前だろ!?

「うるせーよ!お前そんなんだから頭悪いんじゃねーの?」

「はあ!?お前から見たらそうかもだけどそこまで頭悪くないから」

このとき僕の心は炎のように赤く怒りに染っていた。この後も言い合いを続け何分か喧嘩が続いた。 何分か経ってやっとクラスメイトが止めに入ったらしい。途中からは覚えていなかった。

「お前なんかもう無理だわ。」

「奇遇だね。僕もだよ。」

強がりだった。その日の夜は真っ暗な雨だった。それも雷が激しく僕達を表しているかのようだ。そして僕は次の日からこの喧嘩による最悪さを知ることになった。

次の日学校に行くと翔が僕の周りから居なくなったからか、誰とも話さず静かな日になった。ひとりぼっち。学校が嫌になったけど受験生。行かない訳にはいかなかったのだ。

ある日の出来事だ。体育の授業で持久走があった。僕はここ1ヶ月体調が優れず、ずっと休んでしまっていた。でも1回は参加しないと成績に響くと思い頑張って参加した。男子は7周半走る。僕は3周のとこで目がクラクラしはじめていた。でも僕を心配してくれる友達はいない。4週目でついに僕は倒れてしまった。ぼくはこういうときに助けてくれる友達がいればなぁ。自業自得だと思った。

「おい!学大丈夫か!?」

「翔?」

「おう、そうだ」

その後のことは意識が飛び覚えていないが、翔が助けてくれたんだ。僕は嬉しさと同時に後悔が襲ってきた。後日僕は翔に謝った。

「翔、ごめん。」

「俺もしつこかった、ごめん」

あんなに酷いことを言ってしまったのに僕を許してくれた翔には感謝しかない。

僕はこの出来事で人生というのは勉強だけが全てじゃないこと、仲間の居る大切さを学んだ。そして、僕はなんでなりたいのか分からなかった政治家になった。でもこの出来事の後にしっかりと政治家になりたい理由が見つかった。人に頭の良さを自慢するのではなくこの世の為に頭の良さを活かして使いたいと思ったからだ。今もこの世が今より良くなるために毎日努力している。翔、君は今どこで何をしているのだろう。

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