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夏休みが終わると、私たちは大会へ向けた準備を始めた。申込書を書いて、提出。寒くて素材が腐りにくい冬休み中に行われるとのことだった。私たちが作るのはケーキ。チョコレートクリームを表面に塗り、その上にフルーツとクリームを交互に並べ、花壇のようなデザインにするのだ。
そして当日。市民ホールの調理室に集められた。主催者から制限時間など説明を受け、制作がスタートした。
「みんな、いくよ!」
氷雨先輩が声をかける。分担に従い、作業を進めた。私はフルーツを切る係。イチゴやキウイを素早く洗い、皮を剥いてまな板の上に乗せようとした。だが手を滑らせてしまった。
「ちょっと、何やってんのよ!」
桜先輩が怒鳴る。全身の毛が逆立つかと思った。窮地に立たされた私の元に、審査員が駆けつける。
「これ、予備の材料です」
そういって淡々と去っていった。私たちはそのまま作業を進め、無事完成させた。そして審査が始まり、結果発表。
参加したのは全部で16グループ。上位10グループの順位が公表されたが、私たちの名前が呼ばれることはなかった。
「先輩、すみません! 私のせいd」
そこを遮るように、桜先輩が話す。
「きっと私のせいよ。あんなに怒鳴っちゃったんだから」
「そうなんですか?」
「ええ。だってチームワークが台無しでしょ」
氷雨先輩が補足する。
「そーだそーだ」
集団で責める、ではなく集団で守ってくれた。この上ない幸せを感じた。