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ここ、は、?
なんだろう。体が、ふわふわする、
あ、そうだ、私、車に跳ねられたんだ。
でも、ここはどこ?
「沙織。」
心地よい重低音の、あまり聞き慣れていない、大好きな声が、後ろから聞こえてきた。
星良、くん、?
慌てて振り返ると、やっぱりそこに、星良くんが笑顔で立っている。
わぁ、浴衣だ、
顔つき、あんまり変わっていないなぁ、
「星良くん、だよね、?」
私の声は、震えていて、ほんの少し、かすれていた。
「うん。そうだよ。会えて嬉しいな、」
それは、私もだよっ!
私はいきよいよく星良くんに飛びついた。
ふわっ
あ、れ、?
全く抱きしめた感覚は無く、むしろ、何も感じない。
前にいたはずの星良くんは、私の後ろにいる。
「あれ、?な、なんで、?」
どうして、?
せっかく、星良くんがいるのに、
「沙織は、まだ、間に合うのか、」
星良くんは、そう、ボソッっとそう言った。
間に合う、?
どういう意味だろう?
「沙織。ねぇ、聞いてくれる?」
さっきまでの笑顔とは裏腹に、真剣な眼差しでこちらを見ている。
「ここは、死後の世界なんだ。沙織は、事故で跳ねられただろう?それで、今、生死をさまよっている途中なんだ。」
え、そんな重体なの、?てか、なんで星良くんがここに居るの、?
「実は、僕、死んでいるんだ、」
え、?
星良くん、が、?
「去年、沙織が風邪で来られなくて、代わりに沙織のお母さんが来てくれただろう?その後、僕は交通事故にあって、そのまま死んだんだ。」
待って、意味が分からない、
あの日、事故に、?
「その後に、ここの世界で、ずっと沙織を見ていたよ。学校の様子や、家での様子。君を見守っていた。」
「いいかい?君は、ここに居るべき”人間”じゃない。君は、元の、生の世界へ戻るんだ。」
そんな顔で言われたら、何にも言えないよ、
「ここにいたい、」だなんて、
いつもなら、多分詳しく聞くと思うけど、そんな、真剣な顔で言われたら、言えないよ、
私の目からは、大粒の涙が溢れだしている。
「ねぇ、星良くん、」
聞きたいこと、山ほどある、ここでの生活はどう?連絡先教えて?
でも、それ以上に、頼みたい、
「私が、生の世界に行っても、見ていてくれる、?」
星良くんは、目を見開いた。でも、それは一瞬で、すぐに大好きな笑顔に変わる。
「もちろん。ずっと、見ているよ」
うん、そう言ってくれると、思ったよ、
ずっと、見てくれるんなら、大丈夫、
「じゃあ、星良くん、最後に、」
酷くドキドキしている、
でも、
「好きって、言って、?」
かぁぁっと顔が赤くなったが、それだけ、言って欲しい、
「好きだ、大好きだ、」
余裕のなさそうな言葉に、胸が高鳴る、
「私も、」
またね、星良くん、
当分、会えないだろうけど、
ずっと、想っているからね、
ゆっくり、重たい瞼を開ける。
見慣れない白い天井が視界に入る。
「沙織っ?!起きたのね?!」
いつもよりも高いお母さんのソプラノ声が、私の耳に響く。
「沙織、大丈夫なのか、?今すぐナースコールを押してくれ!」
お父さんもいる、
心配掛けちゃったな、
「よかった、よかったぁ、涙」
お母さん、
お母さんの大粒の涙が、シーツの上にこぼれ落ちる。
「ねぇ、私、不思議な事があったの、」
「なぁに、?」
お母さんが、涙声で、そう言う。
「大事な人が、私を、見ていてくれているの、これはさ、期待に答えなきゃだね、」
2人はポカーンと目を見開いている。
星良くん、聞いている、?
私、頑張るね、だから、応援、してね、?
きっと、「うん。」って、優しい声で、頷いて、くれるんだろうな、
「沙織ぃぃぃ」
理沙が涙を流して抱きついてくる。
病院の前なんだから、静かに、苦笑
なんと、奇跡的に意識不明だけで、なんにも怪我をしていなかったらしい。
前までなら驚いただろうけど、今は驚かない。
「沙織ぃ?なんかいい事あった?」
鼻を啜りながら聞いてきた。
「うん。いい事、あったよ。すごく、ね。」
明日も、明後日も、来年も、君と、心で、通じあっている。
通じ合わない時なんて、無いと思う。
今日は、星がすごく綺麗な星空だった。
君と、またここで、大好きって、
でも、それよりも、