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snさんとkr さんのお話です
nmmnとなります。苦手な方は違う作品へ!
初めての作品なのであたたかい目でお願いします🙇
誤字、脱字も指摘してくださるとありがたいです!
今日は2/27。本日の主役はというと…
「ぐぁー すぴすぴすぴ…」
まだ夢の中である。
最近彼が自分の友達とやけに親しいことに腹を立ててふて寝してしまい、とっくに昼間になってしまっていた。
外で昼のチャイムが鳴ろうが、しにがみの耳には届かない。むしろ大きないびきをかいている。
大好きな彼がまたその友達と会っているということも知らずに…
いや、その出来事がしにがみの耳に届くことも知らずに___
ーーー
…..
「つまり、しにがみの好きなものを探りすぎて最近怪しまれてきてるってわけですね?」
しにがみのふて寝の原因である人物クロノアは、いつも通り友人と少し洒落たカフェに来ていた。
最近はこんな日々がちょこちょこと続いている。それまでは特に会ったりはしていなかった。
「そうなんだよ… まだなんも買えてないし どうしたらいいんだ!ぺいんと!」
「って言っても多分俺よりクロノアさんの方が知ってんじゃないんですかね…しにがみのこと まぁ機嫌を損ねないうちに買っちゃいましょうよ!プレゼント。」
「ありがと〜 ぺいんとがいてくれてよかったよ…」
「へへっ 何年の付き合いだと思ってんすか!当然ですわ!!」
そう言い、ぺいんととクロノアはカフェ近くの大きめなデパートへと向かうことにした。
プレゼントを買うのにぴったりなお店がたくさんあると彼らは知っていたからだ。
デパートに入ると、そこにはフードコートや可愛い雑貨屋、有名ブランドのお店などがずらっと並んでいた。
前まではあまり外に出ない生活を送っていたため、人慣れしていないぺいんとが「うわぁ」と声をもらす。
たくさんの情報が脳へ流れ込んでくる気がした。と、そこで大きなぬいぐるみを売っている店がクロノアの目にとまった。
「ぺいんと、あそこ寄ってみていい?」
嬉しそうにそう言う。
「お、いい店見つけましたか?いいですよ、行きましょ!」
すぐにそう返す。
わくわくした気持ちでお店に行こうとした時、ぺいんとのスマホが鳴った。
「あれ、トラゾーから電話だ、 ちょっと待っててください!」
「うん。わかった!」
どうやらもう1人の友人であるトラゾーからの電話だったらしい。
[ぺいんと 今どこにいんの!俺ちょっとピンチなんだけど!]
電話越しにでもわかる焦り
それに少しだけぺいんともあわてる。
[どうしたの ピンチって何事??]
[らっだぁさんから大量のメールが送られてきてさ、何かと思ってみたらお前のとこに不在着信がたくさんいってるって。生きてんのか確認してって永遠にきてんの!]
[え!嘘全然気づかなかった!でも俺今クロノアさんと出かけちゃってるからさ…どうにかできない?]
[どうにかって…内容的に今じゃないと無理だし通話とかじゃ解決しなさそうだよ。どうする?]
[えぇ…そんな面倒くさいことなの!?どんくらい大事?]
[しぐなるわんの緊急会議だって、結構重要っぽいよ]
[まじかぁ… わかった。準備するって言っといて ありがと]
[おう、わかっ]ブチッ
考えなくてもわかる、これは緊急事態だ。ぺいんとにとってどちらも捨てられない大事なことだった。
しかし、しぐなるわんには大勢の人が関わってくる。そう考えるとここにいたらまずいという気持ちがおしてくる。
「大丈夫?ぺいんと」
その言葉がぺいんとの心を痛めたが、しょうがない…と断ることにした。
「すいません、急用が入っちゃいました…俺急がないとかもしれないっす。」
「そっか。全然大丈夫だよ!ごめんね急に連れ出して。」
クロノアさんの優しさが余計に心の傷にしみる。こんないい彼氏をもったしにがみが本当に羨ましく、幸せになってほしい とぺいんとは思う。
「いや!クロノアさんは何も悪くないです!本当にすみません。
でも しにがみはクロノアさんが選んでくれたものなら何でも嬉しいと思いますよ! それじゃぁまた!」
そう言葉を残してぺいんとは駆け足で去る。
ここまでついてきてもらったことに、クロノアは少しだけ申し訳なくなる。
「ぺいんとありがとねー!!」
「俺が選んだものならか…でもやっぱりしにがみくんの好きなもので喜んで欲しいからなー… 難しいや。」
なんてことを思いつつ、さっき目にとまったぬいぐるみを見に行く。
近くで見てみると、そのぬいぐるみはちょうどいいサイズで、しにがみがぎゅっとしたら、腕いっぱいにもふもふが広がるくらいの大きさ。抱きしめている姿を想像して、思わず笑みがこぼれてしまう。
これで喜んでもらえるだろうか、と考えつつもこれだけでは寂しいと思い、花言葉を調べる。
クロノアはいろいろと調べ物をしながらお店をまわり始めた。
ーーー
時刻は12時42分。 大きないびきをかいて寝ていたしにがみがやっと目を覚ました。
寝起きのしにがみの目に真っ先に入ったもの、それは大好きな彼からの置き手紙だった
目をこすりつつ、その置き手紙をゆっくりと読み始める。
〜ごめん、今日も少し出かけてくるね。いつ帰るかわからないけどちゃんとご飯は食べてね。いい誕生日を!〜
またか… と昨日ふて寝したばっかりなのにまた気分が落ち込んでしまう。 どうせいつもと同じくあの人と会っているんだろう。
そう思いながら確認のためもう1人の親友に電話をかける。
「おはようございます、トラゾーさん。調子はどうですか」
あきらかにしょんぼりとした声だった。
「誕生日お…どしたのしにがみさん!?何かあったんですか?」
先ほどらっだぁ被害にあったトラゾーは驚いた声でそう問う。
「… クロノアさんどこか知りませんか…?」
「僕嫌われちゃったのかな もうずっとずっと話してないよ…」
スマホの画面越しに鼻を啜る音が聴こえる。
相当寂しかったんだろうとトラゾーは思った。
「クロノアさんならあいつと買い物に行ってました。…でも嫌いにはなってないと思います。だって会うたびにしにがみさんの話されるもん。」
必死に慰めようとする。その声はとても優しかった。
「ぺいんとだって知っててそういうことするやつじゃないですよ。」
「それに__」
トラゾーの口からでる理由はどれも納得のいくものであったが、どこかまだしにがみ心の中にはモヤモヤが残っているようだった。
「そう…ですよね!すみません、迷惑かけて。」
若干しにがみの発した声には震えが残っていたが、電話越しにはわからないほど小さなものであった。
「不安になる時は誰だってありますよ! 誕生日おめでとうございます、しにがみさん。」
「…ありがとうございます!少し元気出ました!また迷惑かけるかもしれないですけど、よろしくお願いします。 それじゃ」
また慰められちゃった、とそう感じると同時にまた目が潤んでくる。
『…クロノアさん…』
スマホを手に取ったついでに通知の確認をした。 誕生日ということなだけあって、XやLINEからたくさんのお祝いが届いていたが、いまいち心の底から喜ぶことはできなかった。 それもそうだ。その通知の中にはクロノアからのものがひとつもなかったから。
本当に嫌われてしまったのではないかというとてつもない不安に襲われる。好きという感情は本当に恐ろしいものだとしにがみは実感した。
まもなく時刻は1時30分。 いつもならお昼ご飯をちょうど食べ終わったくらいの時間だが、どうも今日は準備をする気力がない。お腹もならない。 せめて洗顔と歯磨きくらいはしようと思いしにがみは立ち上がった。 そのとき、
ガチャ
という聞き馴染みのある音がした。
「ただいま〜ごめんね遅くなって。お昼食べた?」
彼の声がした。帰ってきたのだ。
どうしよう、まだ何もしていない 髪もボサボサ、パジャマのまま、さっき泣いた涙の跡もある。こんなみっともない姿を見られたら余計に嫌われてしまうかもしれない。
どう隠そう..と思い悩んでいる間に彼はもうリビングへと入ってきていた。
「あれ?しにがみ君?いないのかな…」
「どうしよう、せっかく買ってきたこれ早く渡したいんだけどな〜…」
渡す?何を?誰に? 僕じゃダメだったかな 嫌われて同然かな なんて変なことを考えてるうちにまた目元があつくなる。
大粒の雫がしにがみの頬をつたってぽたぽたと垂れる。
「しにがみ君… あっ!いた!」
クロノアは急いで駆け寄る。
あーあ見つかっちゃった。泣いてるとこ見られたくなかったのに。しにがみはそう思いながも何もせずに座り込んでいた。
「どうしたの!? …ソファまで連れてくよ。」
ひょいっと泣いているしにがみをお姫様抱っこし、リビングへと向かう。
「ごめん、俺のせいだよね 最近まともに帰れてなかったから。」
そう言って自分のパーカーの袖で涙を拭ってくれる。やっぱり好きだ。嫌いになんてなれやしない、としにがみは思う。
「理由、話してくれるかな…? 無理だったら全然…」
「…ました。」
やっぱり声はまだ震えていた。細い細い声だった。
もういっそのこと嫌われていてもいい。僕のせいだ、ちゃんとできなかった僕のせいだ、と自分に言い聞かせ、本当のことを伝える決心をした。
しにがみは大きく息を吸い、脳内のぐちゃぐちゃを頑張って言語化した。
「嫌われてるかと思いました!ずっと僕のことを避けてるんじゃないかって、だって!最近すごいぺいんとさんと仲良いし、僕を置いてすぐどっか行っちゃうし!不安だったんです…」
「…でもやっぱり好きだし..ずっと一緒にいたいって、そう…思う から…。」
「ごめんなさい」
話すにつれてどんどん声が小さく細くなっていく。涙の量も増していく。変な感情が混ざりに混ざって、どんどん顔をクロノアの腕にうずめていく。
「そんなふうに思ってたんだ…ごめん、気づけなくて。」
すごく申し訳なさそうに、心配そうに、そして優しさの混ざった声でそう言う。
「クロノアさんは僕のこと好きですか?」
本当は不安で不安で今まで言えなかったが、今日、はじめて言った。
「大好き。誰よりも好きだよ。嫌いになんてなれない。」
その言葉に少しほっとしたが、やはりまだ不安は残る。
「じゃあ何でっ!」
「これ。」
そう言ってクロノアは花瓶に入るサイズの花束と大きなひよこのぬいぐるみをこちらに差し出してきた。
「何を贈ればいいのかわかんなくって、笑。 ぺいんとたちに相談にのってもらってたんだ。時間がかかっちゃってごめんね。」
「へ…」
「誕生日おめでとう、しにがみ君。」
…
どうしてだろう、また涙が込み上げてくる。変に勘違いしていた自分が情けなく感じると同時に、強い安心感が戻ってくる。
朝のいびきよりもうるさい声で泣く僕を、彼はそっと抱きしめてくれた。とても暖かく、大好きな匂い。
そして自分の頭を撫でてくれているこの手が、本当に安心するものなのだと実感した。
「しにがみ君は俺のこと好き?」
少ししてそう聞かれた。もちろん答えはただひとつ。
「ずっとずっと大大大大好きです!」
曇りなき笑顔。その目元には一粒の雫が光っていた。
ーーー
翌日クロノアのスマホの写真を覗くと、リビングに置かれた花瓶の花と、ぬいぐるみを抱いて寝ているしにがみの写真が何枚も入っていたそうだ。