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誘拐され、監禁をされ、何日か経った。気が狂いそうだ。1日に2回、昼と夜あの男が僕の元へ来る。何をするかといったら僕を礼拝して話をするだけだ。ご飯は一緒に食べて欲しいとせがまれたので一緒に食べている。僕は一体どうなるのだろう。
学校は?家族は?友人は?ぐるぐる頭の中をまわる。
「刀也さん、俺ちょっと出てくるから部屋から出るなよ?」
「…分かりました」
僕は今や全肯定bot、言うなればイエスマンとなってしまった。否定すれば殴られる。拒否すれば強制的に性行為に。僕は穢されてしまった。純潔な僕はもういない。なら、いっその事堕ちてしまおうか。その方が楽だろ?今一番恐れているのは彼に捨てられる事だ。僕をこんなにしておいて逃げるなんて許せない。
暗転
「刀也さん!ただいま〜!」
ガチャリと部屋のドアを開ける。
「おかえりなさい」
「ケーキ買ってきたから食おうぜ!」
「……食べましょう」
刀也さんは分かりやすい。花が舞うように顔を綻ばせる。少し顔が赤い。ケーキ、嬉しかったのかな。行儀良く食べる姿を見ると育ちの良さが窺える。
「美味しい……ありがとうございます」
「いや、いいんだぜ」
時計の方を見やると0時を指している。
「刀也さん、そろそろ礼拝の時間だぜ」
「わかりました、着替えますね」
パタパタとタンスの方まで行き、専用の服を着る。白いシースルーの服。フリルが敷き詰められて可愛らしい。素肌が見える。天使が自分の前にいるようだ。美味しそうだな。性欲と食欲が湧く。
「とやさん、座って」
「…」
ぽふり、と敷き詰められた淡い色のクッションの上に座る。俺は跪く。
「天使様、明日も私に加護を、愛を、与えてください。」
祈る、祈る、祈る。俺が俺になる為に。刀也さんは俺を抱きしめてくれる。良い香りがする。あぁ、俺には君しかいない。俺が穢した君。俺が全て奪ってなんにもない君。いや、俺しかいない。その暖かい鼓動を、優しい目を、俺にだけ見せてくれ。