テラーノベル
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※OD
存在論的鬱で悩んでる人は見ない方がいいかも
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ふと我に返るような瞬間がある。
考えなくとも生物単位でそう引き受けてきた宿命みたいなものなのだが、このまま死ぬまで生き続けて死んで、それから_
別に死ぬのが怖い訳ではない。
むしろ永遠に生き続ける方がきっと、辛いだろう。
いつか全て無に帰すのにこうまでして必死に生き続ける意味を見出せない。
そう思うのは特別、日常生活の厄介事や人間関係の緊張のような生活内不安によって、でもなく、ある日天啓が降りたようにやってきたから。
いわばこの世に自分、スマイルが存在してしまっていることに起因する存在不安によるもの、と考えて良いだろう。
存在不安という問いについて論理的に掘り起こしていくと、陳腐化された答えが子孫を残していくため、である。
そこで、生物の連鎖という謎にぶつかるだろう。
しかし先述した通り、命あるもの、全て無に帰す定めなのだ。
それに、そこに生命の誕生についての科学的根拠はあっても、目的はないだろう(本能、なんて便利な誤魔化しがあるが)
異星人による福音、という思考実験宜しく、
我々はメタ-存在者である異星人に上から人類の生の意味の措定、または生命の連鎖の始まりと終わりについての説明を求めている。
では、メタ-メタ-存在者とは?
この推論のプロセスは無限遡行に陥る。
だからこそ、なんの理由もなく誕生する究極の存在、神によってそこで理性を止められる。
生命の誕生に限らず、この世全ての物理法則の原理等は説明できても、その動機までは分からない。
では、この思考は無駄なのだろうか?
そんなことは考えず、意思を持たず、ただ流れに身を任せる植物や魚に生まれ落ちた方が幸せだったのだろうか?
落ち着きたくて、なんとなく頭の片隅にあった知識でうちにあった薬を大量に飲み込んだ。
別に死ぬことはない。
一般に販売されてるような薬だから。
でも、効果をただ何もせず待ち続けているとこれから自分はどうなるんだろう、やってしまったな、という不安で目が冴えてくる。
どれほど時間が経ったか分からない、何時間も経ったような気もするし、ほんの数分、いや数秒なのかもしれない。
身体中の血液がサーっと引いて内から冷たくなっていくように感じる。
寒くはない。
口渇感で喉が枯れていく感じがする。
不快ではない。
ぐわ〜っと重力でベッドに沈み込むような感覚がする。
苦しくはない。
やっと思考と感情が落ち着いていくような気がする。
頭の霧が晴れたように、思考から解放された気がする。
頭も身体も軽くて、ふわふわとしてたのしい。
いや、晴れたというより停滞?曖昧に?
むしろ偏在、点在、遍在…?
えっと、そういえば、明日は 誰かと出掛ける用事が あった っけ… 誰 だっ け …
寝ていた訳でも無いのに頭がガタンと船を漕いだような感覚で意識を引き戻される。
…一体なんで、こんなことしようって考えたんだっけ
寝ようと思って、床に就いて、それから_
こんなことをして何を得られたっけ
残ったのは快楽でもなく、ただ喪失感だけ。
悲しくて、涙が出そうなのに、既に枯れ切っているようで、さらにまた何かを失った、という感覚が重なる。
身体が内側から熱い、
喉が乾いて身体中がビリビリとして不快、
圧死してしまうんじゃないかってくらい押し潰されているようで苦しい。
何かに縋るように何も無い天井に手をかざす。
「助けて…」
目を瞑って、呻き声を絞り出す。
「スマイル、電気付けっぱ…
って…どうしたの?」
目を開けるときんときが心配そうに眉を下げて覗き込んでいる。
彼の顔を見ると涙が溢れ出して、頬を伝う。
「えっ、大丈夫!?どこか辛い…?」
俺が一生懸命手を伸ばすと、彼がそれを握ってくれる。
あったかい。
「えっと、身体起こしても平気?」
頷くと、背に手を回して上体を起き上がらせてくれる。
彼の首元に顔を埋めて、もたれ掛かるようにして抱きつくと背中を撫で摩られる。
「…難しいことは分かんないからさ。
お前が何考えてるか、俺に理解できるか分からないけど…
言いなよ、何かあったら」
身体中の感覚が気持ち悪くて、それから逃げられなくて怖くて仕方ないのに、きんときの体温に触れているところからじわじわと癒されていく。
その温かさすらも怖くて子供みたいにしゃくり上げると、今度はぽん、ぽん、とされる。
薬では抑えきれなかった衝動が、暫くそうしていると落ち着いてくる。
「…」
乾いた涙で突っ張って、ぐちゃぐちゃの顔を上げる。
俺が離すと彼もそっと手を緩めて、微笑み掛ける。
腹蔵なく、この世で一番純粋な顔かもしれない。
「今日はもう寝よっか」
否応なく、彼も一緒に布団の中へ滑り込んでくる。
「ふふっ、ちょっと恥ずかしいね?」
そう言いつつも中で俺の手を握ってくれる。
横にいる彼の方を見ながら瞼を落とす。
あれだけ頭に張り付いて離れなかった思考が剥がれて、ストン、と眠りに落ちていた。
翌朝目が覚めると隣に彼はいない。
俺が飲み散らかした薬のゴミもない。
なんとなく手持ち無沙汰で掌をひっくり返して見つめたりしていると、
「スマイル?起きたー?」
リビングから彼の声が聞こえる。
急いで向かうと、起こしに来ようとした彼と出会い頭に軽くぶつかる。
「あははっ!なんだ、元気じゃん」
そのまま抱きしめられる。
「今日は出掛ける約束でしょ?
ほら、ご飯用意したから」
薬のゴミについて言及もせず、処理されているのは彼なりの優しさだろう。
でもやはり、昨夜は何も無かった、とは言えないのは彼の手に込められた力と震えで分かる。
もしかしたら、一生この探究の不安が晴れることはないかもしれない。
ただ、俺が存在する理由の不安を晴らすには、今どんな顔をして俺を抱きしめているのか分からないこの彼の存在、なんてメルヘンチックな解答で事足りるような気がしてくる。
彼にだったら縋り続けてもいいのかも。
そう思うと胸の内が温かかった。
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参考図書がわかりやすい!(笑)
🙂が🙂のこと🙂って呼ぶ時の客観(って結局は主観だよねって🙂が言ってたって話は置いておいて、)的な視点好き(より詳しく語るとするとただ客観て言葉の意味を希釈しただけになる)
っていう過去の自分のメモから。
過去の自分に予防線張られてるけど、
🙂は、人生は一人称視点なのに自分をキャラクターとして俯瞰して見てるよねって話。
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