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 nmmn作品 knhbです
パクリ 参考などしてません
拡散 パクリ NGです
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『奏斗ー。ご飯ー』
 
 
 いつもの夕食。雲雀は今もまだ携帯を弄っている奏斗に声をかけた
 「……うん……」
 携帯を見つめたまま、生返事をしノソノソとソファから動く奏斗。何やら連絡を取り合っている様子だ
 そんな彼を見つめながら小さくため息をつく。 机に食事を並べ、椅子に座る。
奏斗は未だに携帯を見ながら食卓を囲んだ
 
 
 『…奏斗、ご飯。』
 「うん、ごめん、ちょっと待って」
 もう一度問いかけると、少しウンザリした顔をしながらそう呟いた
 謝って欲しいんじゃなくて、こっちを見て、いつも通りご飯を食べて欲しいだけなのに。
 その携帯を壊してしまいたいという気持ちを抑え、平然を装って「いただきます」と呟く。
 頑張って作ったご飯のはずなのに、味がしなくて美味しくなかった。
 
 
 ここ最近、奏斗の携帯を弄る頻度が増えた
 何日か前までは、ご飯を食べる時は絶対に携帯を弄らなかったし俺の事を目一杯に甘やかしてくれてた。
 でもこの頃
奏斗はずっと携帯を弄るようになって、何やらメッセージを送り合っているようにも見えた。
 「誰と連絡してるの」なんて、聞ける訳ないし聞きたくない。奏斗はこんな束縛嫌いだ。
きっと奏斗はサッパリした俺が好き
こんな事、奏斗に言える訳ない
 
 …この前、インターネットで見たマンネリ化って奴を思い出す
 
 『……奏斗、俺に飽きちゃったんかな、』
 
 奏斗が食べ終わった食器を洗いながら、ボソッと呟く。当の本人は今もまだ携帯に夢中で俺の言葉には気づかない
 無意識に手に力が入るのを感じる。
目尻が熱くなるのも無視して食器を洗う
お願いだから、俺を見てよ
 
 _______ギシッと、二人用のベットに寝転がる。
奏斗はお風呂に入っており、先に俺が寝る形になった。この頃シてないな、なんて思いながら、毛布にくるまる
 
 『……ばか』
 
 目尻からポロッと涙が零れ落ちた
 ダメだ、夜になると変な方向にしか頭がいかない。いつものポジティブはどうしたんだよ、いつもの俺じゃないと、きっと奏斗は俺に飽きてしまう
 捨てられるのだけは嫌なんだ
 
 
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 「ふぅ〜…上がったー。……雲雀?」
 
 髪の毛を乾かし、寝室のドアを開ける。
いつもの元気な彼の声がしなく心配でベットを覗き込むと、スースーと寝息を立てて寝ていた
 スリっと頬を撫でる。
その時、雲雀の目元になにやら跡がついてるのに気づいた。
 
 「…目、腫れてる、?」
 
 よく見ると、雲雀の瞼が真っ赤になっている。_泣いたのか?… なんで?誰に泣かされた?そんな考えがグルグルと頭の中を支配する
 この頃、雲雀は元気がない。
ご飯を食べている時も小さくため息をついたりしているし、二人で寝る時も俺に背を向けて寝ることが多くなった
 
 _______心当たりがないかと言われたら、嘘になる。
 理由はというと
この頃、仕事が爆発的に増えてきたのが原因だった。 それはありがたいことでもあるが、一日中、マネージャーとの連絡の取り合いになるわけで。
雲雀との 時間が減るものでもあった
 
 「…はあ、」
 
 疲労も溜まっているのもあって、雲雀とシたくても出来ない日々が続いている。もう少し仕事が落ち着いたら雲雀と一日中イチャイチャしたいな。
 
 スースーと寝息を立てている雲雀に顔を近づけ、唇にキスをする。もっとしたかったが雲雀が寝ているのもあるし、身体も限界と言うように、瞼がどんどん沈んでいくのを感じる
 
 「…おやすみ、雲雀」
 
 そう言って自分も眠りにつく
 
 明日も朝から仕事だ。
早めに起きないといけないな、
 
 
 『……ん、…』
 
 重い瞼を開け、身体を起こす
周りの静けさにあくびをして、横を見た
 『……いない、』
 すっかりと抜け殻になったベットを見て、そう呟いた。奏斗がいたはずの場所を手で触る。 暖かさもなくなっており、ヒンヤリと冷たかった
 
 
 _この頃、ずっとだ。
朝早くから家を出て仕事をしているし、家に帰ったら帰ったで携帯ばっかり。
 
 もう、前のお前はいないの?
俺が素直になれないから?素直に甘えられないから?…奏斗は俺のこと、もうどうでもいいの?
 
 『…っ、ダメだ……』
 
 嫌なことばっかり考えるからいけないんだ。
パチンと頬をたたき、息を整える。大丈夫、大丈夫だから、
 
 
 『…今日は、20時から配信あるよな…』
 
 大丈夫、いつもの調子で過ごせばいい。視聴者が楽しみにしてくれてるなら、それでいい。
配信をしてる間は何もかも忘れられる。
 
 _______きっと、大丈夫だ、
 
 
 
 
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 『見てくれてありがとう〜バイバイ!……おやすみ!』
 
 
 いつもの挨拶を言い、配信を切る。
配信を始めて、結構時間が経っていたらしく、疲れがドッと押し寄せてきた。
 
 防音室を出てリビングのソファに倒れ込むようにして寝る。今の時刻は深夜の1時を指していた。
 
 もう奏斗は帰ってきているだろう。今は寝室にいるだろうか
 
 ソファから立ち上がり、廊下を歩いて寝室のドアを開ける。どこか期待した気持ちを込めて辺りを見渡す
 
 
 が、自分が望んだ姿はそこに無かった
 
 
 『…いない、…まだ帰ってきてないんかな、』
 
 _仕事が長引いてるのだろうか?
でも、こんな深夜まで仕事が長引くなんてことは考えられない。…考えられるのは後輩や同期と飲みに行っているか。それとも、
 
 
 焦る気持ちを押しつけて携帯を開く。
連絡の一つでもあったら安心できる
 
 指が震えて上手く押せない。
大丈夫、奏斗は浮気とか、そんなの絶対しない。俺が連絡に気づいてないだけで、きっと…
 
 
 そう思ったのも束の間、LINEは昨日の会話で止まったまま。
 
 口が震え、意味をなさない言葉が飛び出る
 
 『、なんで、』
 
 カラカラと乾いた喉から掠れた言葉が零れ落ちた。
そのまま崩れ落ちるように床に座り込む。
帰ってきてくれと祈るように膝に顔を埋めた
 
 いくら待っても玄関が開く音は聞こえなかった
 
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 『僕、帰らないといけないんですよ。すみません』
 「え〜もう帰っちゃうんですかぁ?」
 
 甘ったるい匂いと声。
有無を言わせずスリっと擦り寄ってくる
それが気持ち悪く、距離を取った
 
 _なんでこんなことになったんだ。
頭の隅で、こうなった経緯を思い出す
 
 仕事が終わりマネージャーと今後の話をし、帰る準備をしていた頃だ。顔見知りの先輩が声をかけてきたのだ。そこから全てが始まった
 “飲みに行こう”と言われたのだ。そこまではよかった。適当に居酒屋で飲んでそのまま解散だと思っていた。
 
 が、つられて来られたのはガールズバーだった
 
 
 
 先輩に恋人がいると言っても強引に店に入れられ酒を頼まれてしまっており、店を出るに出れなくなってしまった。
そのせいで、数時間と時間が経過したのだ
 
 しかも、ここは通信が悪く雲雀に連絡しようと思ってもできない。
 
 
 
 状況は最悪だ
 
 
 
 
 
 今は深夜の2時。もう帰らないと流石にダメだと脳が判断し、席から立ち上がる
 
 雲雀はもう寝てしまったのだろうか。それとも、起きて待っていてくれているのだろうか。どちらにせよ、早く帰って雲雀を見たい
 
 
 
 「もっと飲みましょうよぉ、ね?♡」
 
 『すみません。僕はこれで』
 
 
 
 
 
 
 「え、ちょっ!おい!奏斗!」
 
 
 女の人の腕を自然に自分の腕から離し、店を後にする。俺を呼び止める先輩の声も無視して夜の街を飛び出した。
 
 
 
 電波が通じる所まで行き、足を止める。
正確に雲雀の電話のアイコンをタップして、呼び出しボタンを押す。コール音が鳴り、
2秒…3秒…4秒…
 
 『…出ない』
 
 いつまで経っても出る気配がなく、そのまま携帯を閉じる。きっと寝ているのだろう。…早く帰ろう
 そして風呂に入って雲雀を抱きしめながら寝よう。
 マネージャーに許可を貰い明日を休みにしてもらったから、一日中ゆっくり出来るだろう
 
 明日のことを考え、笑みが溢れそうになるのを抑えながら、最愛の人がいる家まで走った
 
 
 
 
_______ガチャンと、扉が開く音がし、誰かが家に入ってくる
 俺の頭はすぐに”奏斗”だと認識し、その場から立ち上がる。よかった、帰ってきた
ひどい安心感に包まれ、玄関まで走る
 ドアを開けた先にはうっすらと汗をかいた奏斗がいた。俺を見るとびっくりしたように瞳を開いた。
 
 
 「え、起きてたの!?!?」
 
 
 そういう彼の声を無視し、抱きついた。
奏斗は少しバランスを崩した後、俺の頭を優しく撫でてくれた
 
 
 _ふわっ
 奏斗の服から甘い香りがした。俺の大好きな彼の匂いじゃなく、甘ったるい。奏斗が持ってる香水のブランドの匂いでもない
 
 
 
 
 _______じゃあ、誰の?
 
 
 
 
 ピシッと身体が固まるのを感じる。どんどんと、点と点が繋がっていく。俺が一番信じたくない、最悪な予想が当たってしまった。
 
 身体が冷えていくのを感じる。目の前の彼が、知らない人に感じて気持ち悪かった
 
 『……お前、…どこ行ってたん、』
 
 「え、」
 
 そう問いかける。奏斗は急な質問に戸惑ったのだろうか、素っ頓狂な声を出し俺の頭を撫でる手を止めた。
 数秒の沈黙が俺と奏斗の間を通り過ぎる
 なんで早く答えられないんだ
なんもやましいことしてないなら言えるはずだろ。なにも言えないということは、きっと、そういうことだ
 
 
 『…最低だな』
 
 「っ違う!これは理由がッ」
 
 『なんだよ理由って!!言い訳なんて聞きたくないッ!!』
 
 奏斗の言葉を遮り、叫ぶように声を上げる。目の前の彼は分かりやすく動揺しており、下唇を噛んで次の言葉を探しているようだった。
 決定的な理由なんてないし、奏斗の口から聞いてもいない。でも俺の頭は”浮気”と言う2文字しか無くて、他の選択肢などなかった。
 
 俺の頭は冷静さを失っていて、なにも聞く気にはなれなかった
 
 
 「雲雀ッ、一回話聞いて!」
 
 
 奏斗の手が俺の腕を掴む
 
 
 『っ、離せよ!!!お前にはもう浮気相手さんがいんだろ!…ッお前なんて、大っ嫌いだッ!!!』
 
 掴まれた腕を振り解き、そう叫んだ。
奏斗の返事なんて聞きたくない。溢れ出す涙も鬱陶しくなり、強引に目を擦る
 呆気に取られてる彼を押し退け、玄関の扉を開けた。
 
 『もう、お前とは会わない、』
 
 そう一言呟き、玄関の扉を閉めた。
 
 辺りは薄暗い 誰にも会いたくなくて、夜に逃げるように駆け出す。
 
 
 
 
 
 また生暖かい何かが俺の頬を伝った
 
 
 
 
 
 
 一人、ポツンと残されたまま 雲雀が出て行った玄関を見つめた。
 何も言葉が発せなくて、そのまま数秒間ドアを見つめたまま立ち尽くす
 
 「…ひ、ばり……」
 
 カラカラな喉。震えている指先。今にも泣き出しそうにひくついている瞼。
全部が全部、終わりを悟っていた
 
 _______探さないといけない
 そう思い、靴を乱暴に履き、玄関のドアを開ける。数分も経ったからか雲雀の姿はどこにもいない。辺りは静けさに飲み込まれていた
 
 玄関を出た時の雲雀の姿を思い出す
声は震えていて、顔が大きく歪んで
 雲雀の指先は、震えていた
 
 
 「…ッ雲雀!!!」
 
 
 
 
 居ても立っても居られなくて、彼の名前を呼びながら走り出す
 きっと彼は泣いている。俺のせいで、泣いているのだ。
雲雀を見つけたら、抱きしめよう
愛していると伝えてちゃんと誤解を解くから
 
 だから、
 
 
 「雲雀、っ、…、」
 
 
 
 どうか一人で泣かないで
 
 
 
_______hbr side
 
 
 走って、走って走って走って走って、
 
 奏斗の事を思い出さない場所まで、
 
 
 『…っう……、はぁ…ッ、…ぁ…っ、』
 
 
 息も上がってて辛くて、
 足も重くなってきて、
 
 顔もぐしゃぐしゃで
通りすぎる人からは変な目で見られるし
 本当に、なんで、
 
 
 
 『なんで…ッ、ぅ、…ッ、ひぐっ…』
 
 
 何がダメだったのか、どこが嫌だったのか、その人は女なのか男なのか
 何も分からない
 何も、教えてくれない
それが奏斗の優しさでも、俺は辛かった
 
 言うならもっとはやく、言って欲しかった。俺に飽きるくらいなら、 最初から告白してこないで欲しかった。
 
 
 
 _______ポタ、
 
 
 
 『…、?』
 
 頬に、一粒水滴がついた
 
 
 
 _______ポタ、ポタ
 
 
 二粒、三粒
 
 それが雨だと気づいた瞬間
 辺りは雨音と共に、バケツをひっくり返したような雨に包まれた
 _______ザアアアアアア
 
 
 目の前が霞んで見えない
それが雨でも、涙でもどうでも良かった。
 
 辺りに人はいないし、奏斗の姿だってない。
 誰もいない。
 
 世界から取り残されてしまったような感覚に襲われる
 
 それが少しだけ心地よくて、どうしようもなく辛くて、
 足も力が抜けてその場にずるずると座り込む
 
 
 
 壁に背をつき膝に顔を埋めた
 
 
 
 もう、いっそのこと
 全部、流してくれ
 
 
 奏斗の匂いも、声も、顔も、全部、全部
 水になってどこか遠くに流れて
 綺麗に消えさってしまえ
 
 
 
 
 
 
 いない。どこにも、雲雀はいない
 街の中を走っても、路地裏を見ても、どこにも雲雀はいなかった。
 電話も繋がらない
 
 
 『っ…はぁ、はぁッ…、…”…雲雀、”っ…』
 
 
 足ももたれてきて、息も上がって辛い
 声も掠れてきた
喉の痛みに顔を顰める
 この調子じゃ、いつまで経っても雲雀を見つけられない
 時間も経った、…もうこの辺にはいないのかもしれない
 
 
 _______ポツ、ポタ
 
 
 『……、雨、』
 
 空を見上げると、水滴が降ってきていた。
 頬に当たる冷たさが心地良い
 そう思った矢先、どんどんと雨が強くなっていき、辺りは一面雨で見えなくなってしまった
 
 
 急いで屋根がある場所に行き、空を見つめた。
 _違う、こんなことしてる場合じゃない
 雲雀を探さないと
 雨の中を駆け出そうとした瞬間、携帯が鳴った
 
 “雲雀かも知れない”そう思い、大急ぎで携帯を開く
 
 
 
 
 『………は、っ、』
 
 
 
 それを見た瞬間、
 
 俺の足は一目散に雨の中へ飛び込んでいった
 
 
_______
 
 
 hbr side
 
 
 雨の冷たさ
 
 雨音が地面を打つ音
 
 
 
 その中に奏斗の姿がないかと探してる俺は、本当にダメな人間だ
 
 
 
 『…、かな…と、』
 
 
 いや、…こんな所来れるわけないやん
どこかも分からんし、酷いこと言ったし、
 しかも奏斗は
 奏斗は、…
 
 
 「…え、…雲雀?」
 
 
 
 『っ、!?』
 
 
 俺の名前を呼ぶ声が頭上で聞こえ、顔を上げる
 
 _______… 赤い瞳と目があった
 
 
 
 
 
 『せら、お…、?』
 
 「…大丈夫?こんなとこで、なにしてるの?…………喧嘩、した?」
 
 
 セラフは俺を見て、目を見開き顔を心配そうに歪めた。
なんでここにいるの?とか、セラおはなにしてたん?とか聞こうとしたのに、俺の口からは嗚咽しか溢れなかった
 
 『せらお…ぅ、おれ…っ…ぅ”……うッ…』
 
 涙がボロボロと溢れる
見つけてくれたという安心感と、色んな感情がパンクして、嗚咽が口から溢れていく
 セラフはなにも言わずに背中を優しく撫で、俺が泣き止むまで隣にいてくれた。
 「…雲雀、立てる?…ランドリー行こう」
 
 その声に応えるように立つ、
みっともない顔をしているし、服はびしょ濡れなのにセラフは嫌な顔ひとつもせずに俺をランドリーに連れて行ってくれた。
 
 
 
 
 雨が、風が、視界を悪くする
 強く突き刺さるみたいだ
 
 
 一刻も早く雲雀の元に行かないといけないのに。足がもつれて上手く走れない。はやく、行かないといけないのに
 
 “ランドリーに雲雀といる”そうセラフから送られてきた時は心臓が止まりそうなほど安心した
“すぐ行く”と返信をした。
 
 _______でも、雲雀は俺に会いたくないだろう
 雲雀からしたら、最低最悪な浮気野郎だ。
もうお前とは会わない と言われてしまった俺が雲雀に会いに行ってもいいのだろうか
 今更、臆病になった自分が顔を出す
ランドリーに行って雲雀から拒絶されたら?別れると言われたら?…俺は正気でいられるだろうか
 
 『あぁっ…くそ、っ…ッ!!』
 
 この先の事を考えると、キリがない。
足が動かなくなる前に 臆病になりきる前にはやく、雲雀に会いに行こう
 
 
 ______________
 
 
 『っ…はーっ、はーッ、、ッ雲雀!!』
 
 ランドリーに着いて、呼吸を整える。
意を決してドアを開けると、目の前にはセラフが一人、経っていた
 
 「奏斗。おかえり。」
 『っ雲雀はッ!?』
 
 そう半分問い詰めるように聞くと、静かに中に案内された。
ゆっくりと、ゆっくりと中に足を進める
_一番奥の部屋 休憩室に通された
 そこのソファに、雲雀はいた。
座りながら寝ていた。目元が赤く腫れ、髪の毛はびしょ濡れになっていた
 
 「…雲雀、ずっと泣いてた。『もう奏斗には会えない』って言ってたけど、なにしたの。」
 
 静かに俺を見る。その瞳は怒りを含んでいた。セラフは真っ直ぐ目を見て、返答を待っていた。喉がひきつくのを感じ、静かに口を開いた。
 『っ、…話したら、長く、なるんだけど』
 
 
 _______
 
 
 
 「……そっか」
 
 
 セラフはそれだけ言って、俺を見た。
 
 
 
 「俺はなにも言わない。けど、ちゃんと誤解解いて。話はそれから」
 
 
 『うん、ごめん……セラ、ありがと』
 
 
 「うん。凪ちゃんにも伝えとく。……じゃあ、俺は行くから」
 
 
 
 そう言って、セラフは静かに部屋を出て行った
 
 
 
 
 
 
 
 『…雲雀、起きてる、よね』
 
 そう声をかけた瞬間、ピクッと雲雀の肩が震えた。
本人は隠せていると思っていたのだろう、おずおずと目を開け僕を見た。その瞳は動揺と疑いで揺れていた
 
 「信じ、られるわけないッ、、都合良すぎだろ、こんなん…っ」
 
 雲雀の言う通りだ。確かに、虫が良すぎる
俺だって急にこんなこと言われても信用できない。…じゃあ、どうすればいい?
 どうしたら雲雀の誤解を解けるんだ
 
 『ねえ、ひば…どうしたら信用してくれる、?』
 
 「、え?」
 
 本人に聞いても、意味がないって分かってる
 
 
 『…俺、どうしたらいいんだろっ…、?』
 
 無意識に涙が頬を伝った。
情けない、一番泣きたいのは雲雀だろうに
なに泣いてんだ
 痰を切ったように涙がどんどんと溢れていく。カッコ悪いったらありゃしない、こんなんじゃ本当に失望されてしまう。と、どこか回らない頭で考える
 
 雲雀を見つけたら愛してると言うはずだったのに、抱きしめるはずだったのに、これじゃあ埒が開かない
 
 
 乱暴に目を擦っていたら、…肌に何かが触れた。_雲雀の手だと気づき、顔を上げる
 雲雀は俺よりもっと、酷く顔を歪ませ
蜂蜜色の綺麗な瞳から涙をこぼしていた。
 
 
 「キス、してよ…奏斗、」
 
 
 そう言って涙を流す雲雀の唇に、優しく吸い付いた。…触れるだけのキス
涙でしょっぱくて、でも愛おしくて雲雀の瞼にもキスをおとした
 
 
 「……ぉ、おれ、…しんじて、いいんかなあ、?」
 
 
 「かなとのこと、…すきでいていい、?」
 
 そう言って、くしゃくしゃになった顔で笑った
 
 『うん、…っ、好きでいてよ、雲雀…。…ずっと、愛してる、』
 
 
 そう言って優しく抱きしめる
 
 肩が震え、驚いた様子で 見開いた彼の瞳からは、また絶え間なく涙が溢れている。
そして、涙でぐしゃぐしゃな顔で笑った
 
 
 
 「…お、れも…っ……愛してる」
 
 
 
 
 
 
 
 
 ______________
 
 
 
 
 
 
 優しく、彼の髪に触れる
 
 
 
 『雲雀、』
 
 
 「奏斗…、…ん、…ぅ…」
 
 
 熱を帯び、潤んでいる瞳を見つめ、優しくキスを落とす。彼の口からは掠れた吐息が溢れた
 
 舌をゆっくりと侵入させる
上顎を舌で撫でると、ビクンッと体が震えた。
口からは耐えきれなくなった唾液が口の端を掠めている それが色っぽく自分の興奮を誘った
 
 
 
 「っ、ふ……っん、…ふ……っ、は、…ぁ、んんっ、」
 
 『触るね、』
 
 コクッと頷くのを確認し、ゆっくりと服の中に手を入れる。すべすべな肌を堪能するように優しく撫でると、ぴくっぴくっと可愛らしく体を震わす
 久しぶりだから感度も高まっているようだ
優しく、ツーー…と、腹の線をなぞる。
もう片方の手で、胸の飾りを弄った
 その動作にも嫌らしく体をくねらせ、か細い嬌声を溢している
 
 「っ…ふ、…ぁっ……んっ、…」
 
 
 『ひば、気持ちいい?』
 
 
 「ん…、っ、う、ん…、下も、…触って、」
 
 
 『…っ、可愛い、』
 
 
 雲雀の言葉通り、ズボンのベルトを外し、ゆっくりと手を侵入させる。パンツには先走りのシミが出来ており、雲雀の性器からは我慢汁が垂れていた
 
 「…ゃ、…っ見、んな…」
 
 
 『足、閉じないで。触れない』
 
 
 「っあ、!」
 
 
 閉じかけていた足を手で開き、性器を上下に擦る。カウパーが出てき、くちゅくちゅといやらしい音を立てている。当の本人は顔を真っ赤にして喘いでいた
 
 「ひっ、…ひゃ♡…っ、ぅ、ふ、…っあ”ッ、♡」
 「んきゃッ♡…っ、は…い、イきそッ…ぅ、くぅッ‼︎♡♡♡♡」
 
 堪えきれなくなったのか雲雀の性器から勢いよく精液を吐き出し、僕の顔を汚す。
雲雀は息を整えた後、焦ったように僕の顔を見た
 
 「っ、ご、ごめ…!かかった、!」
 
 
 『んーんー?大丈夫。…お尻、こっち向けて?』
 
 「…え、ぁ……っ、ん、これで、いい?」
 
 
 『バッチリ。…ヒクヒクしてんね、♡』
 
 
 
 綺麗なピンク色のお尻の中に、顔についた雲雀の精液をつけ指を入れる
ローションも追加で垂らし、指を深く深く進めていく。雲雀の中はいやらしく指に吸い付き、とろっとろ…に柔らかくなっている
 
 「っ…ふ、きゅ…ぅ、♡…ん、ぅ”っ…う”ぅ〜〜ッ♡」
 
 コリッと指が、何かを掠める
その瞬間、今までと比べ物にならないくらい甘い嬌声を上げた。
 _______コリュッコリュッ と責め続けると、足をピンと伸ばし、指の先をギュッと丸め気持ちよさそうな声を出した後、ぐったりと雲雀の体から力が抜けた
 
 『雲雀、いっちゃった?』
 
 「あっ…ぅ、♡…ごめ、なさッ…い、ぃ…っ」
 
 『謝んなくて大丈夫。……雲雀、ごめん…入れるね、』
 
 「っへ、?…は!?っ、ん、ちょッ!!まだ、ダメっ______________」
 
 
 _______ゴチュッ
 
 
 「あ”ああッ♡〜〜〜ッ‼︎…⁉︎♡♡♡♡」
 
 
 雲雀の腰が仰反るのを、抑え奥を突く
逃げようとする雲雀の腰を掴み、首筋を噛むと、ビクンッと肩が震え、勢いよく精子が飛び出した
 _______きゅうっ♡きゅーーーッ♡♡
 
 『雲雀、しめんなッ_______ん、っ♡』
 
 
 「無理”っ…むぃ”ッ♡♡、奥突いちゃダメっ…!あ”が、っひゅッ♡…うあ”あ♡♡」
 
 『はっ、…はっッ…えっ…ろ、♡』
 
 ますます腰を振る速度が上がる。
バチュンッ、どちゅッこちゅッ…
肌のぶつかり合う音が寝室に響く。雲雀の口からは快楽に呑まれた喘ぎが出ていて、興奮させる材料となっている
 雲雀の性器からはカウパーと、精子が混ざり合ったものがポタポタとシーツに垂れていた。
 
 「あ”ッ♡♡!い”っ…う”ぅッ、い、く”ッ”、!は、ひゅっ♡ん”ゃ、腰、止めへッ♡!!」
 
 「あ”っ”♡♡う”ぅぅ〜〜〜〜ッ!!♡♡♡♡♡、へ”っ……ぁ、、♡」
 
 _______ビュクッピュクッ♡ポタッ、
 
 
 『…雲雀、…もっと』
 
 「っ!?へ、ぁッ!も、やッあ”““♡」
 
 
 
 腰をガシッと掴み、勢いよく奥を突く。
ゴリュュュッと奥に奥にと自身のモノを進めていく。雲雀の顔は涙と涎でぐちゃぐちゃになっており、視界には星が散っていた
 
 「あ”ッ♡お”ッ♡う”、あ”♡ぁ”、へぁ”ッ♡♡♡♡♡んきゅッお”、あ”あああ♡♡」
 
 「あ”っ、♡♡い”っ…く!んう”♡♡♡」
 _______プシャアッ
 
 
 『は、っ…んくっ♡♡』
 
 
 雲雀の中に熱を吐き出す。
 全身が悲鳴を上げているのだろうか、ベットに倒れ込むようにして体を預ける
 汗ばむ体、二人の呼吸音が寝室に響く。
「…か、な…と、…」
すっかり掠れてしまった声で僕の名前を呼んだ
『…どうしたの、雲雀?』
 
そう問いかけると、雲雀は薄く口を開いた
「…す、き…だいすき、……んは、」
ふわりと、微笑み僕の唇に口づけをした。
 _______ああ、本当にズルい人
 
 
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 ここまで読んで頂きありがとうございました!
10000文字で、凄く長かったと思うんですが、ここまで読んでくれて凄く嬉しいです!!
かなひば、本当にいいですよね😭
 
 
 
 
 
 
 
 
コメント
5件
初コメ失礼します!!物語り作るのがほんっとうにお上手ですめっちゃ感動しました…まじ涙腺崩壊案件…一生ついて行きます!!
10000字スゴすぎる!?ひとつのお話なのに10話くらいの満足感あってめっちゃ良かったです!すごい丁寧な書き方大好きです🫶🏻︎💕︎︎これからも頑張ってください❤️🔥