キーンコーンカーンコーン…
予鈴がなり、昼休みが始まる。
ガラガラと音を立て、司先輩はこちらを見る。
「司先輩。」
「おお!!冬弥!それに彰人に暁山ではないか!!!」
「…っす」
「やっほー!司先輩!!」
「ああ!!!!」
司先輩のデカい返事に弟くんは耳を抑え、冬弥くんは苦笑している。
「良ければなんですけど、昼食、ご一緒しても良いですか?」
「勿論だ!!だが、類を誘おうと思うのだが…」
「げ…変人ツーか……」
「彰人、失礼だぞ。」
「じゃあ、類誘って行ましょ!!」
「いや、それが、類が居なくてだな…」
司先輩の言葉にボクはハッとし、
「屋上だよ!きっと!!」
ひらめいたように、自信満々に答える。
「おお!流石だ暁山!!では、屋上に行ってみよう!!昼食も屋上にだろう?」
「はい。」
「行こ〜♪よし、これで類が屋上に居たら弟くんアイス奢りね。」
「いや何でだよ。」
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ガチャッ
扉を開けると、藤色の髪をした、何かを弄る青年の姿が見える。
「あ、類〜!!♪」
「おや、瑞希…」
パッとこちらを見て、司先輩を見た瞬間…
「司くん!!!」
と、目を輝かせる。なんだか少し妬いちゃうなぁ〜
「おお…なんだなんだ」
「(いつも以上にご機嫌…嫌な予感しかしないんですけど…笑)」
「さっきまで”これ”を作っていてね!!ちょうど司くんに試してもらおうと思ってて!!」
これなんだけど…と言いながら、バッジのような物を取り出し、見せてくる。
「あの、神代先輩、これは…?」
「これはね、このバッジを付けた人物と、バッジを付けた人物に触れた者が、バッジを付けた人物の過去に行ける代物だよ!」
「お前今『バッジを付けた人物』3回言ったぞ。」
とツッコミを入れる司先輩。
「まぁ良いじゃないか。それでね、司くんにこれを試してほしいんだけど…」
「うむ…」
「…ねぇ、司先輩と類が良ければなんだけど、ボクが試してみても良い?」
「え…?」
「オレは別に構わんぞ。」
「僕も全然良いけど…どうしたんだい?瑞希がそんな事言うなんて…」
「いやぁ~ちょっと気になってね!!」
「そっか。なら、はい。」
「ありがと〜♪」
パチッ とバッジを付ければ、ボクが類の実験に協力するのが以外だと思うのだろう皆はキョトンとした顔でこちらを見る。
「よし、じゃあ皆さんっ!!ボクに捕まって〜♪」
と言えば、皆はハッとしボクに触れた。 すると、白い光に包まれ、目を開けると_
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「わぁっ!?!?」
「おや、ここは…ふふ、成功だね♪」
「なんだか、って神高の屋上に似ていますね。」
「だな…。」
「何処なんだここはぁぁ!?!?!?」
と、それぞれ言葉を口にする。
え…ここっ…もしかしてっ…!!!
「…ね、類…ここって…」
「ああ…僕も勘づいているよ。」
何処だ何処だと騒ぐ皆を横目に、ボクと類はここが何処なのか理解する。
ガチャッ
「「「「「!?!?」」」」」
突然の物音…扉が開く音にビクッとし、皆いっせいに身を潜める。
「はぁ…ホント退屈。なんで学校ってこんなつまんないかな…。」
桃色の短髪に、顔や声の割にあまり似合わないズボンを来たの男の娘…?瑞希と類には見覚えしかない姿にビックリする。
「あれって…」
「…ああ、瑞希だね」
「な、なに!?!?」
「はぁ…!?あの人が暁山…??」
「確かに面影はあるかもしれないな…」
「……一旦戻ろう_」
ッガチャッ
そう類が発言しようとした途端、またもや扉を開き、人影が見える。
「おや、瑞希くん。」
今度は少し長めでボサボサな藤色の髪に、ハーフアップのような形で横結びをしている男の子がやって来た。
「え…類?なんで…」
「……」
「これが…類…?」
「あんまり違和感ないっすね…」
「少し髪が長いですね。」
と、感想を言いながら二人を見つめる。
「先輩じゃん…またサボり?」
「ふふ、それ以外何があるというんだい?それに、君が言えることではないじゃないか。」
「…っふ、まあね。」
二人の会話が始まり、その場はシン…としだす。そのなか、司先輩は、
「これはいつだ…??」 と聞く。
「確か…僕が中学3年生、瑞希が2年生くらいじゃないかな…?」
ボクはうんうんと頷き、弟くんと冬弥くんは、そんなに前か…と言うかのような顔をしている。
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そこから中学生の類とボクのくだらない会話が続き、類はそろそろ戻ろうかと言い出した頃。
「ねぇ、先輩。」
「ん〜?なんだい?」
「機械弄り一回辞めて。」
と、どこか真剣な顔をする過去のボクに何だと気になり、戻るか戸惑う皆。
「……よし、きりが良かったから、ちょうど良かった。どうしたんだい?そんな真剣な顔をして…」
「あのさ…、………」
「…言いにくいかな?また変なことを言われたのかい?それとも相談事かな?」
「…いや、そういうんじゃなくってさ、…」
言う事を躊躇している様子…。これ、なんだか記憶にあるような会話だなぁ…
「これ、ボクなんて言ったんだっけ…?」
「もうすぐ分かるだろう?最後まで聞いてから戻ろうか。」
「暁山ぁぁ!!何かあったらすぐに言えぇぇ!!」
「過保護かよ。」
「あははっ!」
「司先輩は昔から心配性だからな。俺も見習わなくては…!」
と、向こうには聞こえない程度の会話で話す。司先輩の声聞こえそ~…
「…っあの、先輩…!!」
決意を決めたのか、より一層大きな声で類を呼ぶ。
「なんだい?」
さぁ…!何が言いたかったのボク…!!
「付き合ってッ…下さい…!!」
はい…???
「……ええっと…?」
反応に困ったのか、少し間があいた。
「え、いや、ええ!?!?」
「わぁ…ふふっ、 この時の事だったんだね。」
「嘘だろ…付き合って下さいって…そーゆーことだろ…??」
「こ…れは…以外な展開になりましたね…」
「二人共覚えていないのかッ!?!?」
「え、お、覚えてな…」
自分が過去に”この言葉”を言ったことがフラッシュバックし、言いかけた言葉を止める。
「…いや、覚えてます……」
「僕も覚えているよ。なんせ、あの瑞希がこんな事言ってきたんだからねぇ」
「は!?ちょ、類はなんでそんな冷静なんだ!?」
「なんでって…だって_」
と言おうとした瞬間、またもや遮られ、
「いつ…かな…?」
「「「…え???」」」
「え?どうしたんだい?」
「…はぁ~~~っ…」
「いや、え、は⤴?」
「 鈍感かよ……」
「流石にこれは…」
と、司先輩は困惑、弟くんは呆れ、冬弥くんは苦笑。類は類で皆のその反応に、はてなマークを浮かべている。
「え”…い、いつっ…て…??」
「うん?出掛けるんだろう?」
「で、出掛け???」
「え、違うのかい?」
うん。これは完全に天然というやつだ。それか鈍感。いや、比で表せば5:5くらいだと思う。
「やばいな…これは重症だぞ類…」
「へ??何か変な事言ったかな…」
「いや、変な事っつーか…やばい事っつーか…(?)」
「え??」
「類…なんか、今思うと恥ずかしいよ。こんなに鈍感なのに、あんな事言っちゃうなんてさぁ…」
「暁山がそう言うのも仕方が無いな…これは…。」
流石に皆呆れている。類は未だに分かっていないらしい。
「……はぁぁ…せっかく勇気出したのになぁ……、…うん、出掛けましょ。」
「?うん。そんなに勇気いることかな…?」
「もう良いですぅだ!土曜日の10時からで良い?」
「?うん…ふふっ♪瑞希くんとお出掛けかぁ…、楽しみだなぁ…♪」
「!!Σ>―(〃°ω°〃)→♡⁾⁾…本当そういうとこだよ、先輩」
「え…?」
「あ~~~、気にしなくて良いから‼駅集合ね。」
「ふふ、ああ。」
「あの時は楽しかったなぁ…あ、もう戻ろうか。」
「「「「……」」」」
「…そーだね!!戻ろ〜!!!」
「…いや、まぁ…失恋ではないがっムガっ!?」
「アンタ!!デリカシーってもんがないんすか!デリカシーってもんが!!コソッ」
「む、!?むがむご!?!?ん’ん”ん’“!!ッぶはっ!あるぞ!?デリカシー!!」
「ですが、今のはちょっと…」
「冬弥まで⁉…まぁ…確かに…なんか…あれだな…(?)」
「あれでしょ?(?)」
ええ…、聞こえたし…まぁいっか…
「ねぇ類。帰る時はどうするの?」
「ああ、簡単さ。また瑞希に触れればいいんだ。」
「そっか!!じゃあ皆さん!!またまた捕まって〜‼♪」
「「「「ああ」」」」
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「お、戻ってきたねぇ〜」
「おお!!いつもの屋上だ!!」
「やっぱこっちのがしっくり来るな。」
「いつも来ている場所だからな。」
「ふふ、皆、実験に付き合ってくれてありがとうね。」
「うん!!なんか過去の自分見るの楽しかった〜♪」
「…あ、もう授業始まってんじゃね?結構あっち居たっしょ?」
弟くんの言葉に皆は あ と言葉を零した。
「大丈夫だよ。過去に行っている間は、現代の方は時間が止まっているんだよ。」
「あ、焦ったぞ…!!!」
「授業には遅れられませんしね。」
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お昼を食べたところで、弟くんが、
「んじゃ、オレお先に戻りますわ。」
と言うと、
「オレも委員会があってな。ここで失礼する!!」
「俺も失礼します。少し用事がありまして…。」
次々に帰る宣言をし、屋上を出ていった。 そこにボクと類は残りってしまった。
「ね、類。さっきの意味、本っ当に分かってない?」
「うん?さっきって…?」
「……んもう!!類ってば、鈍感過ぎ〜っ!!!ボクもう戻るから!」
「え?何の話かさっぱりだけど…うん、またね。」
「うん!!またね〜♪」
そう言うと、類はひらひらと手を振る。
「…あ、類!!!」
少し大きな声で呼んだものだから、肩が少し跳ね上がるのが分かる。
「なんだい?」
「また、一緒に出掛けようね!!」
「!!ああ!」
やっぱり、諦めらんないかもしれないな〜…類かこの意味に気づくまで、ボクは待ってるから。
コメント
1件
瑞類が中学時代こんな感じだったらなぁと思ってしまう自分が居る🤤