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フジとアングレカムの話です
※BL要素あり 下手くそ
それではどうぞ〜
放課後の時間。
部活動、下校時間に、それは開かれる。
私立青空ノ咲学園の”なんでも部”。
それは学園で一番有名な”楽で危ない部活”だ。
週に1度でも来ていれば許され、来ていなくても少し話をするだけで特に叱られる訳でもない。
極めて楽な部活。だがメンバーがリーダー、つまり部長以外全員問題があった。
自称吸血鬼で厨二病、少し前部長にいじめ行為をした男子生徒を”断罪”し、まるで見せ物のように吊るし上げ事件にまで発展させた男、フジ。
悪い噂が絶えず、暴力沙汰を何回も起こし、男もとっかえひっかえ、先生と恋仲にあるなど黒い噂の多い女、トリトマ。
執事のような行動、言動で一見紳士そうな童顔の男だが、中学の頃は”無敗のヤンキー”と謳われるほど有名で、キレたらなにをしでかすか分からないし、何故か獣の付け耳を付けている元ヤン、ナズナ。
この学園で有名な”問題児トリオ”が全員集まり、活動している部活…
それが”なんでも部”だった。
さらに有名になる種をばらまいているのがそのリーダーの存在である。
リーダーはアングレカム部長。
この学園の校長、サスライの息子である。
何気なく廊下を歩く。
それだけで周りからは奇異の目でこちらを見つめ、ひそひそと耳打ちする。
耳のいい彼は、ひそひそ話している内容すら聞き取り、フンッと鼻で笑う。
「誰が厨二病ヤロウだって?」
わざと大声でそう言うと相手はビクッと肩を震わせ、そそくさと去っていく。
しかし2人去っていっただけではどうもできない。まだ周りには何人も奇異の目で見つめる生徒がゾロゾロといる。
あぁ、鬱陶しい。
実につまらない。
周りに睨みを効かせながら、彼は目的の場所へズンズンと突き進む。
“つまらない”気持ちを脱するべく、一つの部室へ。
その部室には、”アイツ”がいるから。
ガラガラガラと音をたて、部室のドアをゆっくり開ける。ほかの部室に比べとても小さな部室の様子が目の前に広がっている。
そこには、部員達の仲睦まじい光景が広がっている。
部長であるアングレカムにプロレス技をかまして首を絞めているナズナ。
苦しすぎて口から泡を出し始めているアングレカム。
戸惑い、半泣きになりながらもナズナをとめるトリトマ。
…実に愉快で、退屈しない。
フジはこの部活がなんだかんだで一番好きだった。
「フジくん、そこでニヤニヤ気持ち悪い顔してないでナズナを止めるっすよーーーーッッッッ!!!!!!!」
「…で、今日の依頼なんだけど…」
やつれた顔でアングレカムは淡々と話し出す。先ほどの状況の後とは少し思えないくらい真面目だ。
先程まで暴走状態だったナズナも冷静さを取り戻し、いつもの愛嬌のある笑みに戻っている。
トリトマはまだナズナが先程のようにならないか不安なようで、ナズナをチラチラ見ていて落ち着きがない。
そんなトリトマの興味を引かせようとしたのか、一番上にあった依頼用紙でなく、その1枚下の依頼用紙を読んだ。
「今日は…毎日恒例(?)の猫探しだね。」
やはり最初に興味を示したのはトリトマで、もう目がキラキラ輝いて眩しい。
トリトマはガタッと立ち上がり、鼻息を荒くする。
「え、マジっすか!?やった〜っ!!」
話も聞かずに部室を飛び出そうとしているトリトマを制し、落ち着かせたのはナズナ。
「お嬢様、話は最後までお聞きになられてください。」
「はっ…申し訳ないっす、続けてください!」
一旦落ち着いたトリトマに頷き、依頼の説明を始める。
「依頼者は2年生の女子生徒…
『いつも公園にいる猫がバッタリいなくなりました。家はペットNGなので餌だけでもとあげていたのですが一昨日から姿を見せません。姿を見かけたらお手元にある餌を与え、写真をとり、その写真を送ってください。猫の見た目はお手元の写真をご覧ください。目の周りに切傷のような物があるのでわかりやすいと思います。』
…だって。」
封筒に入っていた写真をとり、猫の姿を焼き付ける。
「お〜、茶虎なんすね。可愛い。」
「はい、とても愛らしいです。」
「ナズナくん、トリトマさんじゃなくて猫見て。」
写真を封筒に戻し、それをバックに入れ、皆それぞれのタイミングで立ち上がり、椅子を収める。
皆立ち上がったタイミングでアングレカムが手で合図し、ドアを開けて一歩踏み出す。
「さ、行こうか。」
「つまらん。」
この猫探しを始めてやっと喋ったと思ったらその言葉だ。気が滅入る。
しかしフジの思っていることには共感できる。なぜなら、この作業をもう3時間も続けている。
猫探しは大体散歩みたいなものだ。場所の候補も書かれていないんじゃぁ、もっと難しい。
ということで猫がいそうな所をぐるぐるぐるぐる周って行っているんだがそもそも猫がいない。こんなに猫って見つけるの難しかったっけと感じるほどいない。
さらに時間が時間だ。もうそろそろ夜になってしまうのでトリトマとナズナは帰った。流石にいいとこのお嬢様(お嬢様じゃなくても女の子と夜ぶらぶら歩くこと自体危ない)を夜出歩かせるわけにはいかない。
…と思ったら。
「…ん?」
目の前に現れた猫は、まさに目の周りに切傷のような物がある茶虎の猫。
探していた猫が突然目の前に現れた。
「…フジ、あれ…。」
「…探している猫だな。」
「…………………。」
そう言われた瞬間、アングレカムは猫目掛けて一目散に走り出した。
「ーーいましたよ、猫……」
『本当にありがとうございます!!どうお礼をすればいいか…!』
ビデオ通話で捕まえた猫をうつし、取り敢えず一件落着。餌を与えているところもばっちり映し、女子生徒を安心させた。
ビデオ通話を切った瞬間、アングレカムは大きく息を吐く。
「…疲れた。」
いつも無表情な彼だが、体力はあまりついている方ではないので疲れが表情に表れている。トリトマや他の人の前では結構取り繕うのだが、フジの前では相当心を許しているのか表情を簡単にかえる。
走り疲れ、少しの間座って休憩する。フジもそれなりに走ったが体力と言う概念がないからかずっと立ったままだ。
だがこんな所で座り込んでる場合じゃない。今の時間は6時。真冬だから寒いし暗い。
それに父親がいる。あの人は自由人でアングレカムに甘いのでそんなに叱らないがそろそろ帰らないと心配で心配で仕方ないだろうと見かねて立ち上がる。父親がよよよと一人で夜食を食べている姿を想像すると笑えてくる。
「…フジ、帰ろう。流石にこんなに真っ暗だといくらあの父親でも心配するし警察に補導される。」
フジはなんだかんだいってアングレカムには必ず返事をするのだが、今回は返事が返ってこない。不思議に思いフジの様子を伺うために振り返ると、フジは真っ暗な路地裏を眺め、ぼぅっとしている。
「…フジ?」
この呼びかけも返事はない。
アングレカムはフジの見ていたその路地裏をまじまじと見てみる。外は真っ暗だから余計路地裏は見えないが、なにか見覚えがある。
路地裏なんか覚えているものだろうか?大体楽しいことしか覚えない自分なのに…とアングレカムは頭をぐるぐる回転させ、路地裏になにか思い入れがないか探る。
フジと、路地裏…路地裏…………フジ………
…あ。と声に出すと、真っ暗な路地裏のほうへとアングレカムはズンズンと進む。
暗いので路地裏に置かれている物がよく当たって痛い。
けれど当たってできた傷は一瞬で修復する。痛覚さえ。
まるで化け物のように。
「!おい!」
ハッと我に返ったフジはアングレカムの方へ駆け出し、バッと手首を強く握る。
「やめろ…ッ…!」
こんなに必死なフジを見たのは、今日という日と”あの日”の出来事以来だ。
フジは”あの日”と同じくらい険しい顔をしていた。
あの時と同じくらい強く手首を握っている。
その顔、その行動、この場所で、あの時の記憶がはっきりと蘇ってくる。
「…懐かしいね、フジ。」
「……。」
あぁ。ここは。
“今の俺”が生まれた場所で。
“人間の僕”が、死んだ場所だ。
NEXT→→→後編(過去回想)
コメント
2件
えまって、普通にめっちゃ好きなんだけど…w始めから文章の入りが上手すぎてやっばい🫢💕💕マジで文章書くの上手すぎる!見てて楽しかったよ~~っ!