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!アテンション!
攻🐉×受🔝の捏造まみれのジヨタプ小説。
『時を超えて会いに行く』の続き。
ご本人様たちとは全くの無関係。
ご都合主義の矛盾まみれ解釈違いもろもろですがたくさんの愛はある。
センシティブにしてますがぬるセンシティブ。
今回も結構注意点や特殊設定多々ありなので下記の注意事項必須です。
相当な覚悟の上読んでくださる方はそのままお進みください…!
⚠️タイムトラベルという設定。🔝が昔したある大きな後悔を、時を超えて無くしていく物語。の、🐉側の話。なので前作読まないとわけわからないです
⚠️最後はハピエンですが、途中割と痛々しい場面あり。でも今回の方が全然糖度は高め
⚠️直接的な描写はほとんどありませんが、モブ男×🔝の同意のない性表現ありますので注意
もろもろ注意願います!
駆けつけたときには遅かった。何もかも終わっていた。彼が全て終わらせたあとだった、独りで。
ガクン、と足の力が抜けて思わずしゃがみ込む。流れ続けるシャワー、飛び散る破片、真っ赤な血、鼻につく鉄の匂い、だらりと垂れ下がる細い腕、二度と開くことのない目。
「……ぁ、ぅ…」
あいた口からは声が出ず、情けない音だけが漏れた。眼前に広がる光景から目を逸らしたいのに逸らすことができない。焼き付いたように離れない、このまま俺の目ごと焼けてしまえばいいのに。
「……な……ん、で…」
自分で言ってておかしくなった。なんでかって、そんなの、自分が一番わかってる。涙が一粒零れた。
side.トップ
(………、?)
ひく、と鼻が動くのが自分でも分かった。嗅いだことのある匂いが鼻を掠める。なんだっけ、この匂い。馴染みのある、煙の……、
(……タバコだ)
タバコの匂いがする。そうか、だから嗅いだことのある匂いだったのかと納得してから、ふと疑問に思った。なんでその匂いを感じるのか。だって俺は今、家のベッドで寝ているはずで、家には俺以外誰もいないのに。今何時だ?夢?それとも現実?
引っ張られるように意識が浮上した。ゆっくりと目を開ける。何度か瞬きをしてぼやけた視界が鮮明になれば、見慣れた天井が見えた。もぞもぞと手を動かして、枕元にあるライトをパチッとつけた。
「あ、起こしちゃった?」
「……………………??」
聞こえるはずのない声が聞こえて、声がした方に顔を向ける。ソファに腰掛け、こちらを見ながらタバコを吸う男が1人。
「……………え、?」
え?誰?
「………ぅ、うわああっ!?」
叫びながら跳ね起きた。蹴飛ばした布団がベッドからずり落ちる。反射的に身を引いたから、後ろにある壁に後頭部を思いきりぶつけてしまった。
「い゛っ……ぅ」
「ははっ、大丈夫?」
頭を抑えながら呑気に笑う男を見る。
「だ、だっ…誰だお前っ…どうやって入って…っ!?」
大混乱の大パニックだ。こんな夜中に人の家にいるなんてどういうことだ。不法侵入の不審者。まさか強盗?ならすぐに警察に電話を、
「待って待って、落ち着いて?」
携帯を握りしめた俺に、男はゆっくりとタバコを灰皿に押し付けた。たまらずギロリと睨みつける。
「……ぇ、」
そこでふと身体の動きが止まった。男の顔を見た途端に、金縛りにあったかのように身体が固まる。だって俺は知っている、目の前の人物を。
「…………ジ、ヨン、?」
「お、よくわかったね」
そう言って笑う男。そうだ、彼はジヨンなのに、俺の知っている彼じゃない。細い身体、肩まで無造作に伸びた髪、無精髭をたくわえ、目は暗く窪んでいる。
「…ジヨンだけど、ジヨンじゃない…」
「……」
「……誰だ、お前…?」
思わず声が震えた。俺の問いかけに、男はただゆっくりと微笑むだけ。その顔は笑ってるのに泣いてるみたいで、酷く悲しそうだった。
「……タプヒョン、体重戻ってきたね。あんなに痩せちゃってたのに」
「…は、?」
「よかった、本当に……」
「……なに、言って…」
ますますわけがわからない。彼は心の底から安堵するように言った。
「…………救われてよかった」
「……」
「………生きててくれて、ありがとう」
「っ!」
男の目が細くなる。今にも零れそうな涙で濡れていた。
先程から携帯が震え続けている。しばらくしたら鳴り止んだ。画面を見ると様々な人からの大量のメッセージと着信履歴が表示されている。するとまた着信を知らせるバイブレーションで震え始めたから、俺は無感情のまま電源を落とした。
鏡にうつる自分は、少し前までの姿など見る影もない。痩せこけた骨の浮き出た顔、無造作に伸びた髪と無精髭、目に光はなく窪んで見えた。
きっとみんな慌ててるだろうな。ただでさえ徐々にこんな姿になって心配の声が後を絶たない中、突然連絡もとれなくなるなんて。仕事もドタキャン、周りに迷惑をかけてしまった。
「……」
まあ、今となっては、全部どうでもいい。
side.トップ
結局あのあと、いつの間にかまた寝ていたらしい。顔にあたる朝日で目が覚めた。思い返すとあれは夢だったんじゃないかと思っていた、のに。
「……これ、」
灰皿に残る吸殻が1つ。昨夜あの謎の男が残したもの。ジヨンだけどジヨンじゃなかった彼が残した、それがある。
「……なんだっつーんだ、一体…」
あれは夢なんかじゃなく現実だったと知らせているようなそれに、俺は大きくため息をついた。
「……なあ、」
仕事終わりそのままジヨンが俺の家に来た夜。ご飯を食べて酒も飲んで、寝る準備を整えた彼に意を決して声をかけた。欠伸をしながら振り返る彼は、あの夜会った男と違って髭もなければ髪も短く肌も綺麗で、いつも通りのジヨンだなとぼんやりと思った。
「ん?なに?」
言うか言わまいか迷う。1ヶ月前の、あの男との会話を思い出していた。
「実は俺、未来から来てるんだよね」
「……は?」
「あ、でも今の君の人生的にはもう俺は過去になるのか」
「………何言ってんだ、お前」
言われた言葉の意味を何一つ理解できず、だんだんと頭が痛くなってきた。そんな俺に、男は楽しそうに笑った。
「はは、たしかに意味わかんないよねー」
「……」
「うーん、そうだな……ジヨンに聞いてみたら全部分かるよ」
「?」
「ジヨンて言っても俺じゃなくて…まあ、俺でもあるんだけど……”今の君の恋人の方”ね」
「……今の、俺?」
「そ。ただ……君にとっては思い出したくもないあのことに関係あるから、嫌だったら忘れて」
男はそういうとゆっくり微笑んだ。その顔だけは、ジヨンと似ていた。
「……もし、聞く覚悟があるなら、こう聞いてみて?」
「ジヨンは、その……タイムトラベル、的なやつ……信じたり、するか?」
『そうしたら、きっと目を見開いたまま固まると思うよ』
「っ、」
あの夜出会った男の言う通り、ジヨンは目を見開いて固まった。息を飲む音が聞こえた気がする。
(……そういえば、)
随分と前、彼と同じような会話をしたことがある…気がする。どんな流れでそうなったか覚えてないが、微かに。あのときの俺、なんて答えたっけ。
「………なんで、急に…そんなこと聞くの?」
ジヨンの声が震える。想像以上の反応に聞いた俺の方が戸惑ってしまった。だってこんなの、どちらかと言えばただの世間話みたいなもので、もしもの空想な話のはずなのに。そんな反応されたら、もう。
「………………実は…、」
俺はゆっくりと、彼に1か月前のあの夜体験したことを話した。話しながら、自分でもなにを言ってるんだろうと思っていた。あまりに非現実的すぎて、途中でジヨンに笑われるんじゃないかって少し心配になるほど。でも予想に反して彼は最後まで、真剣な表情で聞いていた。
「……信じて、もらえるか…わかんないけど…」
思わず尻つぼみになる声。すると彼は優しく俺の手を握った。いつの間にか俯いていた顔を上げる。
「なに言ってんの、信じるに決まってるじゃん」
「!」
そうだ、俺たちはあの日から、なにがあっても互いを信じると約束した。
「……ありがとう、そうだったな」
「うん……というより、タプヒョンのことを信じてるのは大前提なんだけど……正直、信じるしかないというかなんというか…」
「…?」
「……いや、実はね?」
彼はどう言おうか迷っているような表情を見せたあと、眉を下げて笑った。
「俺も、体験したことがあるの…同じようなこと」
縦長に破いた服をいくつか重ねたから強度的には問題ない。これでもかとキツくした結び目も何度も確認する。まあ今の俺の体重じゃ衝撃で解けることはないはずだが。
ぼんやりと空中を見つめた。視界に入ってるはずの景色はなにひとつ脳に届いていない感覚。きっと俺はあの日に、たくさん流した涙と一緒に感情もなにもかもなくしてしまったのだろう。
『………信じらんない』
『……嘘つき。最低だよ』
それでも、彼に言い放った自分の言葉を思い出すときは胸が締め付けられるように痛くなった。忘れてしまった感情が戻ってくるようだった。酷く苦しい。でも、俺に痛いも苦しいも思う資格はない。だって俺の何倍も、彼は痛くて苦しかったはずだから。
俺が傷つけて裏切った、君を。
「……ごめんね、」
涙が溢れる。泣く資格も、ないくせに。
「………………好きだよ」
乗っていた椅子を思いきり蹴飛ばした。
side.トップ
人の気配にふと意識が浮上した。この感覚には覚えがある。だから今回は焦らなかった。
「………また来たのか」
電気をつけると、男はあの夜と同じようにタバコを吸っていた。というかそのタバコ俺のなんだが。
「うん。さすがに今回は驚いて頭打たなかったね」
「……うるさい」
ムスッとしながらそう答えれば、彼は面白そうに笑った。口の端からゆらりと煙が上がる。
「……………聞いたの?結局」
「…………ああ」
「…そう」
数日前のジヨンから聞かされた話は到底信じられないものだったけど、なんとなく、納得してる自分もいた。
「……まさか、て思ったけど……なんか、妙に納得いった」
「そっか。ま、聞いてなきゃあのホテルで録音なんて上手いことできないでしょ」
「…たしかに」
「……」
「……俺たちの、未来を変えてくれたんだな」
「……うん。厳密に言えば、タプヒョンが変えてくれたんだけどね」
彼の口から発せられたその名前が、なんだか自分のようで自分のものではないような気がした。きっと彼は、俺を見ながら俺じゃない俺を見てる。変なことだけど。
「……ありがとう」
あのときの、ジヨンが叫んだ寝言(恥ずかしいから思い出したくないが)とか、俺の手首を見て安心したような顔をしたりとか、”生きててくれてありがとう”って言葉だとか。
どういうことなんだろうと心の片隅で不思議に思っていたことが、そういうことだったのかと答え合わせのように納得できて。感謝を伝えなければと思った。
「…こちらこそ、あの日の俺たちを救ってくれてありがとう」
そう言うと、彼はタバコを灰皿に押し付けた。
「ここから先は、誰も知らない話」
「?」
「ま、あのタプヒョンは知らなくて当然。彼が………いなくなってしまった、あとの話だから」
彼は徐に、着ていたタートルネックを掴んで下げた。
「!」
細くなったその首には、包むように横にくっきりとついた1本の太い鬱血の跡。
「…まさか、お前も…、?」
「うん…………割と、すぐに」
「そう…だったのか……」
胸が痛む。彼にそんな決断をさせてしまったことに。でも同時に、心の底から安堵していた。二度と同じ悲劇を繰り返さなかったことに。
「そんな悲しい顔しないでよ、君のせいじゃないから」
「……ああ」
「でもそうだね、これは俺たち2人の罪で、俺たち2人の罰だったのかも。お互いを信じきれていなかった、話し合わなかった故のね」
そのとき不意に、昔を思い出した。タイムトラベルについてジヨンに聞かれた際、俺は過去に行きたいと言っていた。ずっと思い出せなかったけど、たしか”後悔を減らすために忠告したい”って。
どうだろうか、後悔を一つ、減らせたか?
「……ほんとタプヒョン、だいぶ戻ってきたね、身体。肌ツヤも綺麗。心配なくらい痩せてたから、よかった」
そう言われ、ふと最近心を巣食っていたもやもやを、目の前の彼に話してみようかと思った。恥ずかしさもあり言うか言わまいかギリギリまで迷ったが、自分の中の不安を誰かにぶつけたかった。
「……あの、さ」
「うん?」
「その…………ジヨンて、もう……俺のこと……だ、抱きたい、て思わない、のかな?」
「え?」
目をまん丸にさせる彼に、早くも後悔をし始める。でももう引き返せない。
「お、俺のこと、ちゃんと今でも好きでいてくれてるのは、もちろん分かるし、ジヨンの気持ちを疑ってるわけじゃない、んだが……」
「……うん」
「その……あの日から、全然…そういう、雰囲気にならないというか……この前あいつが俺の家に泊まりに来たときも…てっきり……す、すると思ってた、のに……抱きしめるだけで、そのまま寝ちまって…」
「……」
「体重も徐々に戻ってきたし、前みたいな気味悪い細さじゃくなったし……でも、やっぱり……あの男に、何回も……された、から…………その……」
「………もしかして君のこと気持ち悪いとか汚いとか思ってるから手出してこないんじゃないか、ってこと言ってる?」
はっきりと言われ、なんともいたたまれない気持ちになる。今更だが。
俺はゆっくりと頷いた。
「………」
「………」
「………え、そんなわけなくない?」
「…………ぇ」
心底不思議そうにそう答える男に、俺の方がぽかんとしてしまった。
「なわけないじゃん。だって今そう話すタプヒョン見ながら、もう既に反応してるよ?俺の」
「は、はあ!?」
「必死に抑えてるけどすごい興奮してるし、今すぐにぐちゃぐちゃに抱きたいなーって思ってる」
「なっ…に、言って……つ、つーかお前の話じゃなくて、あいつの話だから!」
「いや、あいつも俺なんだけど」
「そ、そうだけど…そうじゃないだろ!」
「ぷっ、あはは!なにそれ」
笑う姿を見ながら、言うんじゃなかったと思った。顔があっつい。
「……さっき言ったよね?」
「え、?」
「俺たちはちゃんと話し合わなかった故に、苦しんだって」
「……」
「だから、そう思ってるなら言いなよ、直接」
「…………だって、恥ずかしいだろ、こんなの……」
「そんなくだらないこと考えてる場合じゃないでしょ。それともまた…後悔したいの?」
そう言われてしまうと言葉に詰まる。後悔なんて、そんなの、
「……………したく、ない」
「でしょ?」
彼はゆっくりと俺に近づくとそっと左手首を掴んで、そこに”傷跡”がないことに安心したように微笑んだ。そして今度はゆっくりと頬を撫でる。迫ってくる唇がそっと触れた。
「……」
「……髭、痛い」
「あはは、ごめんね」
男はそう言うと俺の身体を抱きしめる。恐る恐るその背中に腕を回すと、浮き上がる骨が分かってなんだか泣きそうになった。
「……大丈夫だよ、俺が言ってるんだから、大丈夫」
信じて。
その声が、いつまでも耳から離れなかった。
お腹も満たされ、ワイン2本をあけた頃。ジヨンが眠そうに目を擦りながら欠伸をした。
「そろそろ寝るか?」
「んー…そうしようかなぁ。タプヒョンは?」
たしかにアルコールの力で脳はふわふわしているが、どこか酔いきれていなかった。
久しぶりにあった休み。ここ最近忙しかったから疲れも溜まっていたこともあり、ジヨンの家でまったりとだらだら過ごしていた。互いに早々にシャワーを浴びて、乾杯をしてからもう何時間経ったのか。
「ああ…俺ももう、寝ようかな」
「じゃあそうしようかー。明日も仕事夜からだし、たくさん寝よ?」
早めにシャワー浴びておいてよかったね、と笑う彼に、俺は曖昧に微笑んだ。
ベッドに潜り込む。いつも通りジヨンが俺を抱きしめた。ここ最近はこの体勢で話をしながらいつの間にか眠っているという流れ。だが。
『だから、そう思ってるなら言いなよ、直接』
『……大丈夫だよ、俺が言ってるんだから、大丈夫』
あの夜出会った彼に言われた言葉が耳の奥に響く。今更ながらドキドキとする心臓がやかましい。頬が熱い、今俺変に顔赤くなってないよな?
「……な、なぁ」
「んー?」
意を決して、その唇を塞いだ。勢いをつけすぎて若干歯がぶつかって恥ずかしい。これじゃまるで初めてするみたいじゃないか。
驚いたように固まる彼の、わずかにあいた口の隙間から舌を入れる。口内が熱くて背筋が震えた。
「んぅ…っ」
首に腕を回してより一層密着させる。最初は混乱していたようなジヨンも、徐々に俺のキスに応え始めた。
「ん……っは…ぁ」
「……た、たぷひょん、?」
ちゅ、とリップ音を立てて唇を離せば、頬を染める彼が見えた。多分俺も今同じくらい顔赤いんだろうな。
「………ジ、ジヨンは、」
「は、はい…なんでしょう、?」
変に緊張してるのか、彼が謎に敬語で答える。
「…その………」
「……」
ああ恥ずかしい。まずい、恥ずかしすぎる。でもここまで来たらもう引き返せなかった。
「…お、俺と……し、したいって、思わないのかよ、最近…っ!」
わけが分からなくなって思わず声を張り上げてしまった。これじゃまるで怒ってるみたいだ、もっと言い方とかあったろ、俺……。
「へ……、な、なに?」
「だ、だからぁ…俺と、せっ……せっくす、したいって、思わないのかって、聞いてんだよっ」
「ええ!?」
さっきまで眠そうだった彼が一変、わたわたと慌てている。かくいう俺も酒でふわふわしていた気持ちはどこかへ飛んでなくなっていた。
「……」
「…そ、そんなの…したくないわけないじゃん…だって…………って、えっ」
ジヨンが目を見開いたまま固まった。
「た、たぷひょん…?な、なんで、泣いてるの?」
「は……、?」
泣いてるって、誰が、そんな、まさか。
頬が濡れる感触で、ようやく自分が泣いていることに気づいた。自覚したら、今度はぽろぽろと溢れて止まらなかった。
「ぅ……だ、だって…身体も、だいぶ戻って…あんなに、気味悪い、くらいに…ぅ…痩せてた、けど…ようやく、前みたいに戻って、きたのに…っ、ジヨンがぁ…全然、しようと、してこねーし…そういう、雰囲気にすら、ならねーから…も、てっきり…俺…っうぅ…」
「ま、待ってよタプヒョン!落ち着いてっ」
よしよしと宥めるように頭を撫でられる。ぐすんと鼻をすする俺の目尻を指先が優しく触れた。
「…そんなつもりじゃなかったんだけど……ごめんね?そんな風に思わせて…」
「……」
「……じゃ、じゃあ…はっきり言わせてもらうけどさぁ、」
「!」
ごり、と足に固いものが押し付けられた。
「正直、今だって痛いくらいに勃ってるからね?わかるでしょ!?」
「ぇ、ぁ…」
「タプヒョンがこんなに近くにいて興奮しないわけなくない!?えっちしたいに決まってんじゃん!必死に隠してたけど、バッキバキに勃ちまくってるから普通にっ!」
「お、おう…?」
夜中に(しかも立派な成人男性が)大声でする会話じゃないだろ。今この瞬間こんなやりとりしてるの、世界で俺たちだけだぞ多分。
想像をこえたジヨンの勢いに、俺の方が気圧されてなんだか冷静になってしまった。
「はーーー…もうさぁ…」
「じ、じよん?」
「……君が…………トラウマになってるんじゃないかって、心配で…怖い思いさせたくなくて…我慢してたんだから、ずっと……」
「…そうだったのか……」
震えた声で言われた言葉になんだか胸のあたりがぽかぽかする。彼の不器用な優しさを感じてまた泣きそうだ。
「……でも、タプヒョンが嫌じゃないなら………………うん、えっちしたいです、ものすごく」
「……くっ、ははは!」
どストレートな言葉に思わず吹き出してしまった。
「そんなに笑わなくても…」
照れ隠しで拗ねた表情を浮かべる彼に擦り寄るように抱きつく。妙に速い鼓動が聞こえて一気に身体の力が抜けた。鼻腔を擽る彼の匂いが心地いい。
「……むしろ、全部忘れるくらい、ぐちゃぐちゃにしてほしい…」
「っ、」
「ジヨンので、上書きして、全部」
「……そんなこと言われたら止まれないよ?」
そう言うジヨンの首筋にかぷっと噛み付く。そのまま歯で甘噛みした。そこにはあの”鬱血の跡”がなくて、なんだかそれに酷く安心する。
(お前があの日…俺の手首を愛おしそうに見てた気持ちが、今なら分かる)
「……止まんなくて、いいから」
「っ、これ以上煽らないでっ」
彼はそう言うと、震える手でゆっくりと俺のシャツのボタンを外した。
side.ジヨン
「ぅ〜〜……っぁあ゛…っ!」
きゅんきゅんと締まる中に思わずニヤける。久しぶりに入れたそこは1本でも苦しそうにしていたのが嘘のように、果てしない時間をかければ2本の指でも離すまいとしていた。何度も繰り返した甘イキで目がとろんとする瞼にキスを落としながら、息も整う間も与えず3本目の指を入れていく。
「あっ…!?」
トップの腰がビクンッと跳ねた。中を撫でるように指を動かせば、彼が頭を振り乱して涙を零す。
「ぃ、や…っ、やだやだ…じよ…っ」
「嫌じゃないでしょ?」
「やぁ…も、むり…ぅ、あ……んんっ」
嬌声の上がる口を塞いでぬるりと舌を差し入れた。上顎を擦りながら一緒に中も弄れば、彼が俺の腕をぎゅっと掴む。
「ん、ふ…ぁ…んんっ、ん〜〜…っ!」
行き場の失った快楽が身体中を駆け巡って、彼がくぐもった声を上げながらまたイった。唇を塞ぎ続けてるから苦しいのに、その奥にある気持ちよさに身を震わすその姿が可愛くて仕方ない。
「ふぁ…む、ん……じ、よ…まっ…んっ」
舌を強く吸ってから離せば、懸命に酸素を吸い込む口から涎が垂れた。
「はぁ…は…っ、ぁ……じよん…っ」
「ん?なあに?タプヒョン」
ぎゅっと瞑っていた彼の目がうっすらと開く。溜まった涙でまつ毛が濡れていた。
「も…いれて、はやく…じよんのほしい、」
うわ言のように発せられる言葉に腰が重くなる。トップの頬に優しくキスを落としてから指を引き抜いた。寂しそうにひくひく動くそこがたまらない。
「じゃあ入れるね?」
頷いたのを見届けてから、取り出した自身をぴったりとくっつける。そして押し入るようにゆっくりと腰を進めた。散々いじめたそこはちゃんと解れていてほっとする。絡みつくようにうねって、そして酷く熱かった。
「あ゛、ぁあ…っ」
シーツを握りしめる手をとって指を絡めて握る。眉間にシワを寄せるその顔は苦しそうで、それが圧迫感故なのか、痛いのか、それとも嫌な記憶がフラッシュバックしてるのか、わからなくて不安になる。
「ん…タプヒョン、大丈夫?痛い?」
「ぁ…く、いたく、ない…っ」
「…………怖く、ない?」
心配で、少しでも恐怖を取り除きたくて聞いてるのに、俺の声の方が情けないほど震えてしまった。気を紛らわせるように優しく頭を撫でれば、安心したように彼の眉が微かに下がった。
「…こわく、ない…へーき」
「ほんとに?」
「…ほん、と……」
きゅ、と弱々しく手が握り返される。
「……じよん、だから…へーき」
「っ、」
思わず頬が熱くなる。訳もわからないまま泣きそうだった。もう一度キスを落としてから、小さく腰を動かしていく。
「ぁっ…ん…あ、あ…っ!」
「タプヒョン、」
触れるだけのキスを何度もした。その都度、無意識だろうが強ばっていた彼の身体の力が抜けていくのが分かって嬉しくなる。
「ん…っ、ヒョン、たぷひょん、」
「あ、ぅ…んんっ」
「ぁ…今、君を…抱いてるのは、だれ、?」
「あ゛っ…ん〜〜…!」
「ほら、言って、たぷひょん…っん…名前、呼んで、」
彼の手が離れ、ゆっくりと背中にまわった。
「ょ、ん…じよん、」
「そう、もっと…、」
「じよん、じよ…ん…っ、あ、」
はくはくと懸命に口を動かして、何度も俺の名前を呼ぶ。目尻から涙が零れた。
「ん…じよん、すき、すき…っ、」
「っ、」
やっぱり俺まで泣きそう。鼻の奥が痛い。
「うん…俺も、好きだよ、」
身体を抱きしめる。それは程よくしなやかな筋肉のついたハリのある肌で、そのことがあまりにも嬉しかった。背中に刺さる爪の痛みさえ愛おしい。
「あ゛っ、ぅ〜〜…んん!」
奥を突くと彼の足がシーツを蹴った。ぴくぴく震える身体、互いに限界が近い。
「も、ぁ…っいく、いく…!あっ、う」
「うん、一緒に…はぁ…いこ、?」
必死に頷くその額にキスを落としながら、腰を引いて一気に突いた。
「あぁっ…んん゛…!!」
ぎゅうっと中がうねって締まる。自分を擦り付けるように吐き出した。
久しぶりのセックスは想像以上の効果があったらしい。酷く興奮してタガが外れたように結局あの後更に3回して、ぐったりとするトップにミネラルウォーターを渡した。
「大丈夫?」
「……誰のせいだよ」
水を一気に飲んだ後、はぁっと艶っぽいため息をつく姿を思わず見つめる。
「……だってぇ、タプヒョンが誘ってくるからぁ、興奮しちゃってぇ」
「ぅっ………るせーな」
ふざけたように言えば、彼は眉間にシワを寄せぷいっと顔を背けた。頬が赤いところを見るに多少自覚はあるらしい、可愛い。
「………ずっと、気に、なってて」
「ん?なにが?」
「ジヨンが……したいって、言ってこないし…そういう雰囲気にも、ならないから……」
「……」
「…………もう、俺のこと、抱きたくないのかなって、思って」
「……タプヒョン、」
「……あの、男に……何回も、身体……暴かれたから、お前に…気持ち悪いな、とか…汚いな、とか…思われてんじゃないかって、ずっと、考えてて…」
だんだんと小さくなる声に思わず胸がぐっと痛くなる。そんなこと思わせてたなんて、本当なにしてんだろう。
「……そんなこと、思うわけないじゃん」
「……」
「さっきも言ったけど、君がトラウマになってんじゃないかなって、怖い思いするんじゃないかって、不安で…抑えてたんだから」
そう言うと、彼は眉を下げてふっと笑った。
「……バカだな、俺たち。1人で考え込んで…もっと話し合うべきだって、散々学んだのに」
「…はは、ホントだね」
「あーあ、こんなことならもっと早く言えばよかった」
それってもっと早く俺とえっちしたかったってこと?
って言ったら多分また君は照れ隠しで怒るから言わないでおく。
「そうしてれば相談しなくて済んだのに」
「……んん?」
聞き捨てならないセリフに思わず思考が止まる。相談て?誰に??
「…え、まって、相談て?誰かにしたの?」
「…………もう1人の、お前?」
さらっと簡単に経緯を説明され驚いた。まさかそんな展開になってたなんて。
「ちゃんと言葉にして伝えろって言われてよ。絶対大丈夫だからって」
トップとそんな話をしていたことに、自分であり自分でない所謂”もう1人の俺”に若干の嫉妬を覚えたが、結果オーライだから許す。ナイスアドバイス。
「うん、正解だったね」
「……だな。そんなわけないじゃん、てあいつも聞きながら興奮してるって言ってたし」
「………ちょっと待って、?」
そろそろ寝る体勢に入ろうとする彼を叩き起す。
「なんだよ」
「なんだよ、じゃないよ。え、まさかしてないよね?そのままえっちしてないよね!?」
「はあ?」
「俺ならやりかねない!いや、俺だけど俺じゃないか…ってややこしいな!」
「何言ってんだお前。そもそも物理的に無理なんじゃねーの?生きてる時空が違うんだし…知らないけど」
「わかんないじゃん!言っとくけど、俺はちゃんと断ったからね!?あの人はタプヒョンだけどタプヒョンじゃないから、浮気になると思って!……ちょっと流されかけたけど、ほんとにしてないから!」
「なっ…んつー恥ずかしいことを…っ」
「今の俺がしたいのは今の君なわけだし」
「なに言って……え、あのときの寝言ってそういう流れかよ…」
はあ、と大きなため息をついて、もうこの話は終わりだと手を振りながら彼が布団に潜る。俺も隣に入ってその身体を抱きしめた。
「……ふふっ」
「…なに笑ってんだ」
彼が欠伸をしながら、目しぱしぱさせて眠そうな答える。
「タプヒョンを俺でいっぱいにするために、これから毎日えっちしなきゃね」
「……いや、毎日はいい」
え、それはちょっと酷くない?なんてね。
とりあえずたくさん寝て、明日の仕事まで2人でゆっくりしよう。微かに聞こえる心臓の音が、感じる鼓動が、愛おしい。
皆様お付き合いいただきありがとうございました!特殊設定だから今回も書きにくかったです。自業自得。どうしても甘々な可愛い2人を書きたくなってできあがりました。よりハピエンに持っていけてよかった。
読んでくださりありがとうございました♡
コメント
2件

あぁ😭好きです😭ハピエンなってよかった…ジヨンも後を追うのがやっぱ、愛ですね()その死んでしまったほうの2人はもう会えないのかと思うと…