注意⚠︎
この作品はnmmn小説となっております。
苦手な方やこの言葉を知らない方はブラウザバックをお勧めします。
ご本人様とは一切関係ありません。検索避けのご協力よろしくお願いします。
青side
カーテンを締める気力も、電気をつける気力さえも湧かず、うっすらと差し込む月明かりのもと鈍く光る刃物を太ももへ押し付けた。
そのまま横へとスライドさせれば、ピリという小さな痛みとともに自身の醜い感情が溢れ出す。
ぷくりと浮き上がった真っ赤な血をただただ眺めては新しく線を増やしていく。
死にたい訳でも、心配して欲しい訳でもない。
それこそ、気付いたときには制御の効かない身体と真っ赤に染る左足があるだけ。
自身がやっている行動は俗に言う自傷行為っていうものに含まれるんだろうな、とずっと分かっていた。
血が出るくらい爪で皮膚を引っ掻いたり、指や唇の皮を剥いてしまったり、それこそカッターなどの刃物で自分の身を切ったり。
無理に仕事を詰め込んで、食欲の無いことを言い訳に1日中何も食べなかったり、逆に限界を超えても胃に食べ物を詰め込んでみたり。
今日だって、自分のやっていることを認識したときにはもう既に5、6本の線が引かれた後だった。
勝手に溢れ出る血も涙も無視してスマホに手を伸ばせば、返信の無いことを心配したメンバーから多数のメッセージが届いていて。
自分の感情さえ制御出来ない自分のせい。
ただの自業自得。
心配されるようなことはしていない。
それなのに、上手く回らない頭は人の温もりを求めていて。
震える手を無視して彼とのトーク画面を開けば、
「連絡できるようになったら返信してな」
と、暖かい言葉があった。
ダメだとわかっていても、その言葉に甘えてしまうから自己嫌悪の思考から抜け出せない。
通話のボタンを押して、そのままぼーっとしていれば、3コール程で雑音が耳に届いた。
『もしもし、まろどないしたん?』
いつもと何ら変わらないその声が、何よりも安心を連れてきて。それなのに全くいつも通りでは無い体調は声を出すことさえ妨害してくる。
『、、、?まろ?』
普段通りの声に心配が含まれる。
それでやっと声が出る。
「、、、あ、にき、おれ、、、」
『おん』
「、、、また、、、、」
やっと出た声ですら掠れていて。
しゃくりあげる息も止まらずほとんど言葉にならない。
『また切ったん?すぐ行くから待っとけ』
それでも、そんな声ですら、全てを察してくれる彼は流石としか言いようがなくて、そして、とても暖かい。
ガサガサと音が鳴るなかで他愛もない話をする彼はいつも通り。
そのいつも通りが心地よくて、大好きで。
“いつも通り”に身を置けることは、とてつもなく、安心できることなのだと。それだけで幸せなのだと、思えてしまう。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!