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#fiction
私の家族は理想的なのだと思う
周りから見ていい親子関係
仲のいい夫婦と娘息子
いたって普通で理想的な家族像
母が営む古風な喫茶店で
バイトとしてそこで働いている
人は多いが老人しかいない
稀に近くの大学の人達が来るけれど
ほとんど来るのは老人だ
と言っても小さな喫茶店には収まりきる
朝のモーニングの時は
母や他のバイトの人達は
交代交代をしながら店を回している
私は休憩が入ったら
人の少ない時はカウンターで休憩をする
母の賄いのご飯を黙々と食べている時
常連のおばさんがこういった
「ええねぇ、アンタら見てると幸せそうで羨ましいよ」
母は嬉しそうな顔をして
母はそのおばさんといつもの様にお喋りを始めた
正直に言って私は喜べなかった
周りの言う良い家族の基準なんて
死ぬほどどうでもいいと
思っているからなのかもしれない
家族旅行にはたまに行く
遊園地の時は父はいないけれど
楽しいのは楽しいものだ
母は家族との団欒などを大切にする人で
お正月は家族と過ごす
イベントの時は皆でお祝いをしたりする
誰かの誕生日は家族全員同席する
私はそうゆう母が昔から好きだった
4人家族の中で両親が一番好き
兄とは幼い頃から仲が悪い
日々の兄からの苦しいことをされても
私は家族が幸せなままであって欲しい
そんな強欲なことを願っていた
でも本当は
押し付けていたのだと思う
母は父が嫌いだから
何度も何度も
私たちの兄妹喧嘩ほどでないとは言えど
父と母が喋らないのを何ヶ月も見るのは
子供の私にとっては耐え難いものだった
だから私はいつも必死だった
本当は父や母が言っていない
それぞれが本当にかけて欲しい言葉を探して
私はそれを話した
そうしないと今にも崩れそうな
脆い足場で成り立っている家族
兄は私が嫌いだ
兄は小さい頃から母に勉強をさせられていた
私はそうゆうことをやろうとしても
すぐに逃げたりするものだから
母は私には少し諦めていたらしい
それともう1つ
私は赤子の頃に病気を患って
右目の神経ごと癌をとったために
片目が私には無い
そんな私を哀れんだ母は
自由に生きさせてあげたいと
思ったからでもあるらしい
待遇の違う妹に腹を立てたのか
それともただ私という存在が嫌いなのか
とにかく兄は私を嫌悪していた
兄は私を蹴ったり殴ったり
その度に私も反発した
3歳差のある兄の暴言
その意味くらい何となくわかった
それだけはどうしても
塞ぎようがなかった
死にたいとなにかに書いて発散しないと
私は耐えられなかった
それを見た兄は軽々と私に言った
「じゃあ死ねばええやん」
死にたくても死ねない人の気持ちを
軽々と踏みにじる言葉
兄はいじめっ子の素質でもあるのだろうか
だから兄が虐められたと聞いた時
報いなんじゃないかと考えた
そうしたら
汚い私の人間の心が少し和らいだから
兄の私に対する行動や発言は
学校の先生を通して
母と父に伝わった
兄はそこから父に嫌われた
母は何時間もかけて涙を流しながら彼を叱った
自分の子がそうなってしまったのを
2人とも否定したいみたいだった
でも私がいちばん感謝したのは
気づいてくれた先生だった
私は終始をただ黙って
何も考えず見ていた
時が経ち私が中一になったころ
兄は行きたかった高校に行けて
3年もすれば次は私
母は私に期待をしていた
周りの期待はヘンに高かった
確証も何もないのに
でも私は容量は良くないし
ピアノだって出来るだけ
「凄いね」「賢いね」「将来はお医者さんだね」
褒め言葉なはずなのに
凄く恐ろしく怖いと感じた
人の目がただただ怖い
テスト前にひたすら塾に行く
昼の2時から夜の10時半まで勉強をする
テストが終わったあと
今じゃ昔と違って返却時が怖い
どれだけ頑張っても
毎回毎回
母の望む良い点数が出ない
返ってくるのは
母の怒りの声と失望だけ
それを黙ってみる父
その時の私はとにかく
謝る以外の言葉が頭にない
次も次も次も次も
やっても何も結果が出ない
中学生に入ってからは
母はあまり褒めてくれなくなった
苦しいと親に向かって言って
和解できるなら
今頃どれだけの子供たちが救われているのだろう
父と母の仲がまた悪くなった
いつも会話があちらこちらに飛び散るリビングも
無音がただ広がる
母は母で疲れていた
父も父で疲れていた
元凶はいつも私か兄のどちらか
今回は兄らしい
でも兄は何もしない
兄にとっての両親の価値とは
大学に行くまでのお金である
母はいつも兄を庇っていた
あの日から兄を嫌った
父の兄への態度は酷いものだったからだ
私でも見ていてわかるくらいに
兄も兄で父への態度はキツかった
母はそれにいつもうんざりしているようだった
自分が産んだ子供に嫌な態度をとられることが
母にとってはやめて欲しいことだったからだろう
お風呂の中で母は私にいつも話していた
父の愚痴を毎度毎度と
その度にいつも嫌いという言葉が出てくる
それを聞かされる私はもっと嫌だった
ある日ぷつりと何かが切れた
発端は父方の祖父に会いに行った時だ
母は父方の両親が好きじゃなかった
私達兄妹を会わせたくないほどに
母は父が行かせる度に怒っていた
そして喧嘩中に父はそれをした
家に帰ってる最中に
「今どこにいるの?」
LINEを返す私の手は少し震えていた
どう返せばいいかわからず
正直に答えた
母は大激怒だった
その後家に帰ったら
母は2階で大声で誰かと話しながら怒っていた
私は風呂に入ろうと自室で準備をした
すると兄が私にこういった
「ママとパパの間に亀裂を入れてるんは全部」
「全部お前のせいや」
その言葉が引き金だった
リビングに行ってお茶を飲もうとすぐ下へ行った
気持ち悪くて吐きそうだったから
でもそこに父がいた
静かにスマホを見つめる父
私は我慢できなくて
父に泣きながら謝った
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
ただひたすら謝った
私のせいなんだと思った瞬間から
父は優しく
「どうした、どうした」
と言いながら私を抱きしめた
父は私の手を握った
離婚の話になった時も
私はずっと手が震えていた
ずっとずっとだ
壊れることへの恐怖に怯える毎日
母は私のその震えに
ずっと前から気づいていたらしい
朝の五時でやっと長い家族会議が終わった
母は仕事へいつも通りに行き
父は夜勤に備え自室で寝ていた
私と兄はその日は流石に学校を休んだ
母からはLINEに謝罪が来ていた
私は大丈夫だよとだけ返して
泣き疲れた分の体を休ませた
今私の家は落ち着いている
穏やかで平和だ
でも一つ言うなら
私の家は理想的じゃない
完璧でもない
不完全で未完成な形だ
それでも家族が好きなのは好きだ
恐怖心は拭えなくても
昔よりかはずっといい
私は今
幸せなのだと思う
大切な友達や仲間も傍にいる
前へ向かうのは怖いけれど
私は進める
18になった私の後ろ姿は
怯えていても
怖くても
幼い頃の少女の後ろ姿より
大きく見えた
『 18 歳 の 少 女 』
コメント
4件
"18歳の少女"…なんだか意味深な題名って思ったら…意外とほのぼのした感じは無かったけど…私的には平和な感じを感じました!!黒猫サンと一緒で大きくなって幸せを感じ出すと言う感覚が娘ちゃんにとって良かったな♪と思いました(*^^*)…もう最高ッ!!
うわぁぁぁ… 大きくなって幸せを感じる……こんな話好き…… てか言葉選びと並べ方とかうますぎて……尊敬っす。