コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
すぐに戻ってきた亮が、バッグを肩にかけながら悠真に声をかけた。
「悪いな。今日のゼミ資料、忘れててさ。助かるわ」
「気にすんな。どうせ通り道だし」
悠真がそう答える声は軽やかで、自然体。
咲は二人のやりとりを廊下の端で聞きながら、胸の奥が不思議にざわめいた。
(……大学生の二人は、私の知らない世界で繋がってるんだ)
その距離を痛感して、ほんの少し寂しさが胸に広がる。
けれど同時に――。
(昨日、“咲ちゃん”って呼んでくれたのは……私だけに向けた言葉だった)
そう思い出すと、また心臓が跳ねてしまった。