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take
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こんちゃーTAKEですー!愛重めシリーズ第二だーん ドンパフドンパフ🎉
行ってらっしゃーい
「おい、スキマ! 左の高台! 抜かれてんぞ!」
「あーっ、もう! パブロうぜぇんだよちょこまかちょこまかッ!! クソがッ!!」
配信画面の中では、スキマの絶叫が響き渡っていた。今日の配信は、ねっぴーのチャンネルでのトリオコラボ。ゲストは、キレ芸配信者・スキマだ。
「ぶっはははw スキマ、お前それ何回目だよ!」 「ねっぴーのウルショ(ウルトラショット)キモうまッww 性格悪いわ今の!」
「性格悪くねぇよw」
ねっぴーは心底楽しそうに笑いながら、画面上の敵を次々と捌いていく。スキマは実力こそねっぴーたちに及ばないが、その場の空気を一気に自分色に染める。ねっぴーも、そんなスキマの裏表のない騒がしさを気に入っていた。
だが、そんな二人のやり取りを、もう一人の「相棒」が静かに見つめていた。
「山本ー、お前もなんか言ってやれよw」
「え? ああ、ごめん。二人の息がぴったりすぎて、入る隙がなかったかな」
山本の声は、いつも通り爽やかで穏やかだった。だが、スキマは持ち前の敏感さで、山本の瞳の奥にある「冷たさ」を察知する。
「山本、今の俺のデス、笑ったでしょ!? 絶対笑った! 性格ダークネスすぎんだろ!」
「そんなことないって。スキマはイツモドオリイッショウケンメイデカワイイヨ!」
「絶対思ってねぇーww」
「可愛い」という言葉。それは一見褒め言葉だが、山本の口から出ると、どこか「自分たちとは住む世界が違う、レベルの低い存在」と切り捨てているような響きがあった。
「ねぇねっぴー、この後二人で『反省会』しない? 新しいギアの構成、相談したいんだ」 山本の提案に、ねっぴーは無邪気に答える。 「お、いいぜ。スキマも来るか?」
「えっ、俺もいいの!? 行く行く! ねっぴー大好きーっ!」
その瞬間、山本のキーボードを叩く音が、一瞬だけ鋭く響いた。
配信が終了し、スキマが「じゃあ、後でディスコ集合ねー!」と元気よく通話を抜けた。 残されたのは、ねっぴーと山本の二人だけだ。ねっぴーはいつものように、手慣れた手つきでタバコに火をつけた。
「ふぅ……。スキマの奴、今日も騒がしかったな。あいつ、ゲームは下手だけど盛り上げ方は天才だわ。山本もそう思うだろ?」
ねっぴーは笑いながら、画面越しの相棒に同意を求めた。山本は少しの間を置いて、ふっと柔らかく笑った。
「……うん、そうだね。スキマは面白いし、山本も配信者として尊敬してるよ。あんなに素直に感情を出せる人、なかなかいないし」
「だろ? だからさ、さっきの反省会、あいつも呼んでやって——」
「でもね、ねっぴー」
山本の声が、スッと温度を下げた。
「スキマのことは、友達として好きだよ。……でも、ねっぴーの隣は、山本の場所でしょ?」
その言葉は、驚くほど静かで、重かった。
「……お前、何言ってんだよ。配信の枠なんて誰がいたって——」
「枠の話じゃないんだ、ねっぴー」
山本がふっと身を乗り出す。モニターの光を反射する彼の瞳が、真っ直ぐにねっぴーを射抜いた。
「スキマはいい奴だよ。でも、スキマはねっぴーのタバコの銘柄も、寝不足の時の声のトーンも……何一つ知らない。それを全部知っていて、支えられるのは、世界中で俺だけなんだ」
「……っ」
一人称が俺に切り替わった。その瞬間、ねっぴーの心臓が警鐘を鳴らすようにドクンと跳ねた。 山本という相棒の仮面の下から、一人の「男」としての独占欲が這い出してきたような、逃げ場のない圧迫感。
「スキマには、悪いけど……さっき個別に連絡して、今日は二人で大事な作戦会議があるからって、遠慮してもらったよ。嘘はついてないでしょ? ……ねっぴーとの時間は、俺にとって何より大事な『作戦会議』だから」
山本の微笑むような声は、慈しむようでもあり、同時に獲物を囲い込む檻のようでもあった。
「……お前、マジで極端なんだよ。……怖えわw」
ねっぴーは誤魔化すように鼻で笑い、タバコを深く吸い込んだ。だが、ライターを持つ指先は、自分でも気づかないほど微かに震えている。
「怖い? ひどいな。ねっぴーが他の誰かに夢中にならないように、俺が必死なだけなのに。……ねえ、ねっぴー。今夜は俺だけを見てよ。……いいよね?」
一方的に通話が切れる。静まり返った部屋で、ねっぴーは紫煙の向こう側にある、得体の知れない愛の重さに、ただ圧倒されていた。