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第10章 再発
──Cブロック──
ラケルタside
我の視界が明るくなり、そして足場が広くなっていた
本来ならこのような景色が見えていたのか
流石コルニクスだな
「他のものも見えるようになったか?」
我がそう聞けば何人か返事が帰ってくる
「私も大丈夫ですよー。早く進んじゃお」
「やみづき早く行ってくれ……こっち結構きちぃんだよ」
「ちょっと待て。そんな急かさないでっての」そう話すのはsyu殿とやみづき殿2人とはまだあまり話しては無いがこのゲームであった2人だそしてその後ろにらりっとる殿もおって、彼女は我の言葉にコクコクと頷いた
フロアもねくと殿も見えるようになったようだこれでスムーズに進むであろう
そのまま順調に進み、ゴールまでたどり着けた
『残り時間:5分』
時間は過ぎてゆく
そしてアスレチックのステージは段々と崩れ始め、やがて0分になる頃には全て暗闇の底に沈んで行った
『……ゲーム終了です…生き残った皆様…お疲れ様でした』
──Bブロック──
ウルボside
『……ゲーム終了です…生き残った皆様…お疲れ様でした』
黒さんのアナウンスが流れる
なんとかこのゲームを終えることが出来た
最初はどうなるかと思ったけど、全員無事で何よりだ終わった
瞬間、みんなその場に座り込む
「はぁぁ……つ…疲れた…」
けけさんがため息をしてそう言った
そうだお礼をしなければ
僕はMayさんの近くにより座りながら小さく頭を下げた
「Mayさん……ありがとうございました…おかげで最後までたどり着くことが出来ました」「いや…そこまでのことはしてないから……気にしないで。礼ならけけさんに言いな…ウルボくんのこと1番守ってたんだし」
話を聞けば、僕を落とそうとしていた奴を蹴落としたらしい
僕はけけさんにもお礼を言って少し休憩することにした
「……他の奴らはここで死んだんだな」
もかのすけさんが悲しそうに言う
みんな黙るばかり
僕は静かに目を閉じ、黙祷を捧げた
──Aブロック──
カインside
またか何も出来ず大切な人をまた失った
先に行かずに戻るべきだった
情けない
「……カイン。シスターさんもゲールさんも幸せに行ったよね」
「………だといいな」
2人の行動はモニターで見せられていただから状況は全て把握済み
──正直見たくなかった
しかしここはデスゲーム
死ぬのが当たり前の世界
心の底から叫びたい
泣きたい
だが我慢だ
俺は片手を強く握りしめる
手のひらからポタポタと血が滲んで落ちてゆくするとテテルが俺の手をそっと握った
「カイン……ちょっと聞いて」
今すぐにそれをやめてとばかり言うような顔をして
「なんだよ」
そう聞くとテテルは悲しげに言った
「私も辛いし、苦しいし、悲しいよ…でも……それでもさ、2人は死ぬ最後まで…一緒にいれて幸せだったと思う……だってあんなに愛し合ってたんだもん」
「それは俺も同感だぜ。つーか正直俺は怒りの方が大きいな。あいつの顔面を早く殴り殺してやりたい気分だ」
ニコッとしてザペルは話す
──こいつらだって辛いんだ
本当なら大声で泣き叫びたい
しかしそうなればあいつの思う壷だろう
みんな我慢している
「だから早くあの女を倒して帰ろ!!」
テテルがニコッとしてそう言った
するとアナウンスが鳴り響く
『……皆様にお伝えします。ただいま人数を確認した結果…何名か多いことが確認されました……よって……』
『”ランダムで選ばれた方を公開処刑”とさせていただきます』
「「「……は?」」」
Bブロック
ウルボside
『”ランダムで選ばれた方を公開処刑”とさせていただきます』
「「「「「えぇぇ?!」」」」」
みんなが驚く
確実にクリア出来ているはずなのに理不尽だ
「おかしいだろ!!人数は満たしているだろ!」
こっちでも人数は満たしてるはず
何度も何度も数えても16名……
どうして?
Cブロック
フロアside
『”ランダムで選ばれた方を公開処刑”とさせていただきます』
訳が分からぬ
人数は満たしているというのにこの発言だ
こちらでは18名
この中から何名か消えるというのか…
我らが当たらなければ良いのだが
『それでは処刑を開始致します』
そのアナウンスが流れ終えると何名か床に穴が空き落ちていった
そやつらは毒蛇に食われたり、大量の銃が現れ銃殺されたりと様々
残ったのは知ってるものたちのみ
「なんとか逃れたな」
ラケルタ殿が処刑される姿を見ながら言った『それでは最後の処刑に参りましょう』
黒のアナウンスで伝えられると目の前にいた我が子の上空からロボットのアームのようなものが飛び出してきた
我は素早く我が子を掴もうとした
──が遅かった
我が子の体を強く縛るように掴み連れていかれる
もう少しで届こうとしていた所をラケルタ殿が我を地面に引き寄せた
「我が子!!!!!」
今の我には何も出来ぬ
その光景を我は見ることしか出来なかった
Aブロック
カインside
『それでは最後の処刑に参りましょう』
そのアナウンスが聞こえた次の瞬間、テテルの体が浮いていた
ふと見ればロボットのアームのようなものが飛び出しテテルを捕まえる
ザペルと俺で切り離そうとするが掴めば電流が流れ全身に痛みが走る
俺とザペルはその場に倒れた
「カイン!!ザペル!!!」
大声で俺たちを呼ぶ声が聞こえる
テテルの顔を見れば笑顔で涙が溢れていた「……ありがとう」
俺は何も信じたくない
何も見たくない
だが俺はその光景を見ることしか出来ない
何も出来ない自分が憎い
Cブロック
ねくとside
持ち上げられた瞬間、私は死ぬのだと察した
死にたくない
まだやりたいことが沢山あるんだよ
もっとみんなと話したい
もっとみんなと遊びたい
早く帰りたい
やだ
「我が子!!!!!」
パパが大声でそう呼ぶ
私はそのまま大きく透明なガラスケースに運ばれた
とても広く、何百人も入れると思われる
しかし何も無い
今から殺されるのではないのか?
そう思っていたその時だった
「ガルルルル……」
嫌な声が聞こえ、後ろを振り返る
私より大きな虎がヨダレを垂らしてこちらを見ていた
「あ……」
声も出ない
私はこのままこの虎に食べられるんだろう
「我が子!!!逃げろ!!なるべく長く生き残れ!!!」
パパの声が聞こえた
まだ生き残れる可能性がある
虎がこちらに全速力で走ってくるなら……逃げるしかない
フロアside
「落ち着けフロア!!お主が行けばどちらも消えてしまうだろう!少しは考えろ!」
コルニクス殿が我を捕まえ止める
「我が子があんな状況に陥っておきながら大人しくできるとでも思うのか?!」
「よせ……いくらお主らでも容赦はしないぞ。力は対等だ」
ラケルタ殿は我にそう言った
『あれれぇー??お困りで?』
憎たらしい声が聞こえる
ゲームマスターの声であった
「お主は……一体何がしたいのだ…力が元に戻ったらまずお主から我の雷で粉々してやる」『えぇ??当たり強くない???ひっどいなぁ……カルメちゃんガッカリ。君たちにやさァしくしてあげるのにさぁー』
ニコニコとした表情が浮かび上がる
余計に腹が立つ奴だ
「……なにか方法があるということでしょうか?」
コルニクス殿が問うとケラケラと笑いながら返した
『あはは!!だいせいかぁい!あの子は君たちの知り合いなんだよね?だったら”助けたい”よねぇ?なら私が直々に教えて……あ げ る♡』
話を聞けば何かわかるかもしれぬ
「さっさと教えろ!!小娘!」
『だァれが小娘だぁ??……まぁいいや。教えてあげる。あの子を助けられる方法は”時間内まであの虎に捕まらずに逃げ切れば生かしてあげる”簡単な話でしょ?』
我はそれを聞けばすぐさま大声で叫んだ
「我が子!!!逃げろ!!なるべく長く生き残れ!!!」
『さぁ……どこまで持つのかなぁー…』
ひとつのてるてる坊主は海の中へ沈んでゆく
必死にもがいたところで誰も助けられない
周りには肉を頬張る魚がうじゃうじゃといた
魚たちに囲まれ、全てを食いちぎられる何一つ血も出ないてるてる坊主だが少し悲しさが込み上げてくるだろう
テテルside
何も聞こえない体は下へ、下へと沈む小さく出来た
シャボン玉のような物がどんどん上に昇ってゆく
息もできない
このままゆっくり目を閉じて静かに眠りに着きたい
そんな思いで目を閉じてみた
〔おいおい……そんな所で寝るなよ。お兄ちゃんの見にもなってくれ〕
懐かしい声が聞こえる
目を開ければそこには居ないはずの人がいた
馬鹿兄だった
彼は数年前、私がまだ中学生の時に事故で死んだ
私の好きなお菓子を勝手に食べたり、テストの勝負を挑んでも毎回負ける
ムカつく野郎だ
周りを見れば自然に囲まれ、大きな木下で私はそいつの膝の上に頭を乗せて寝ていたらしい「…いいじゃん。これくらいさせなさいよ馬鹿にぃ」
今はこうしていたい
〔だぁれが馬鹿にぃだこら!……にしても珍しいな。いつもならこんな事しないだろ?最近なんか変だぞ?〕
「さぁね……私は変じゃないと思うからいいの」
〔ふーん?〕
兄はニコニコとしながら私を見る
「……なによ」
〔楽しかったか?あいつらと遊ぶのは〕
───見てたんだ
「…………うん」
〔そっか。ならよし!じゃあ……行くか?〕
そう言って川の向こう側を見る
暖かい場所
癒される
行きたい
しかし馬鹿兄を見れば少し悲しそうな顔をしていた
不思議に思ったが───私は兄の手を掴む
「早く行くよ?馬鹿にぃ」
〔……はいはい…〕
兄は少し笑って一緒に船に乗り、川を渡った
大きな木下に1人の女の子がその光景を見る
「………おやすみなさい」
黒髪の少女は白く染った欠片を持ち、消えた
ねくとside
どんだけ逃げても追いかけてくる
どんだけ走っても追いつかれる
私の体力は段々と消費し始めた
息が出来ない
ちらりと壁を見れば制限時間を刺す時計があった
もう少しで制限時間は切れる
行ける!!
最後まで走り続けろ私!!!
足が痛みで悲鳴をあげようが関係ない
走って!!!!
ビーーッと終了の音が響いた
終わっ……た??
後ろを振り返れば虎は針の串刺しになり後に動かなくなった
「やっ……た…」
そうボソッと言った安心感が襲う
私はそのまま地面に座り込んだ
そしてアナウンスが鳴り響く
『……それでは1ラウンド目の合格を確認。2ラウンド目に突入致します』
「……えっ…?」
上から飛び出した別の虎が私に襲いかかった
口を大きく開け尖り並んでいる
歯がはっきりと見えた
私の目の前は真っ暗になった
フロアside
我らの見ている画面には、虎の口周りが赤く染まり初めねくと殿の体が段々と小さくなってゆく
皆その様子を見ていたダンティーは青ざめ、らりっとる殿は耳を塞ぐ
やみづき殿とshu殿は画面をただ見るだけ
ラケルタ殿は、コルニクス殿も同様だ
我は無言で画面を拳で殴り、割ったパラパラと破片が床に落ちてゆく
「……はぁ…はぁ……」
息を荒らげながら───
『ざんねぇーん!成功ならずだったねぇー?』あのムカつく小娘が別の画面から我に声をかけてきた
「……なぜ言わなかった」
『えぇ〜?だって聞かれてないしぃー?言おうとしたらあんたが話降ったんでしょ?どうしようもないよねぇ』
画面をガシッと掴み顔を引き寄せる
「……お主…名を名乗れ」
『え?!まさか最初の挨拶聞いてないとかぁ?!馬鹿だねぇ!まぁ今私は超機嫌がいいからぁ…教えてあげる。このゲームのマスターであり元凶!カルメだよぉー!』
ニコニコとしながら彼女はそう言った
「カルメ……お主を我直々に手を下してやろう…」
『なになに??宣戦布告??あんたが生きるか死ぬかもわかんないのに???馬鹿だねぇ……でも面白そう。いいよ?こっちまでおいで???来れるならァ!!!あはははは!』
狂ったように笑う彼女
こいつは我の手で殺してやる
後に我らは別の部屋へと導かれた
レーアside
我らは次の部屋へと向かったすると、そこにはラケルタ殿やダンティー達の姿があった「あ……!!!レーア殿!」
ラケルタ殿が我に向かってそう言う
「ラケルタ殿!無事であったか……」
「力は弱まった状態であるが…なんとかな」
そんな話をしているとフロアの姿をふと見る──何となく予想はしていた
ねくと殿の死を目の前で見たのなら意気消沈するのも無理は無い
「…フロアどうしたの?」
我が子が聞いてくる
するとダンティーがニコッとして話す
「フロアさんは少し疲れたんですよ…私も今休憩中ですし」
「じゃあねくとちゃは?」
その言葉に、沈黙する我は我が子を抱き上げて目線を合わせた
「……大丈夫だ。ねくと殿は後に来るだろう」
そう言うしか無かった
カインside
シスターさんが死に、ゲールさんも死んだそしてテテルもモフテルも────
地面で仰向けになり、何も無い天井を見上げるどうしていいのか分からねぇ
いつものあの日常が、彼らが恋しい
──俺も死ねばあいつらと会えんのかな
「……おーい。生きてっかぁ?」
ザペルが俺の顔を上から除く
「なんだよ…」
「お前メンタル大丈夫か?」
ザペルの言葉に何も言えなくなる
「…はぁ……なぁカイン。あいつの事だ。どうせ俺やお前が死んだらあいつめっっっちゃ怒るだろ????」
「……怖ぇくらいにな」
「なーんだ。分かってんじゃん」
“だったら死にものぐるいで生きるしかねぇだろ?”