テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
7
(全部俺のせい、全部、全部!)
誰かの心の叫び声は徐々に憎しみへと変わる。
「本当に気持ち悪いんだよ、どいつもこいつも何もかもが……自分さえもだ!」
彼の声は増えゆく大勢の人々の罵倒により掻き消された、誰にも届かないだろうこの声を叫び続けている。
○○○
ネオン煌くビルと夜空が舞台となるこの街は人々の最終逃避行、その名もクリアライト。
遠い昔、戦争に行く人々は体に機械を埋め込み銃弾を無効化し、脳の使用率を10%から15%まであげるためAIのチップを体に入れた。
平和な時代が訪れた後、裏では様々な企業がチップや体につけるデバイスの研究情報を、強奪し合い破壊し。
いつの間にか成功した会社はとある街に集まる。
最先端の技術だけの街、それがクリアライトだ。
「ったく、ガーディアンの手に負える話じゃないぜ」
この街の警察達(ガーディアン)は酒瓶片手にエアスライドという車に寄りかかりながら、標的を待ち続けている。
「そもそもただの精神病者の名前がデストロイヤーとか、馬鹿げてるよな」
笑いながら部下にデストロイヤーのことを馬鹿にするようなことを言っていた、それはチップの使いすぎで脳に負荷がいきすぎてしまったり、デバイスがバグっていたりすると狂ってしまう、近未来な世界にある唯一の呪いだ。
「崩壊者って名前は間違ってないと思いますよ、今回は特に」
突如数台のエアスライドが宙へ舞い、ガーディアンは四人ほど押し潰された。
「敵襲!敵襲だ!もうイグニスは発動しているぞ!」
屋根で待機していた者達が誰かに頭を吹き飛ばされた状態で地面に落ちる、少尉は未だ敵の位置がわかっていないようだった。
「来るな、何をするつもり」
隣にいた部下は電子のノイズを放つ標的、Nightknowの中でも名を上げたデストロイヤーに腕をもがれた。
少尉や周りのガーディアンが銃弾をすぐに放った、だが体についた鉄塊と見間違うほどのデバイスに全て弾かれ、腕を一振りしただけでほとんどの人間は死ぬ。
そしてこのガーディアンの視界記録を盗み見していたプレイヤーのカイトという青年は、対象が死んだため強制的に弾き出された。
死ぬ感覚はこれが初めてではないのだが驚きすぎてベッドから落ちていた、しばらく視界共有はやめることにしたようだ。
[kaito:ストーマー!今ニュースでやってる暴走事件の視界記録、俺ダウンロードできちまった!]
[Stormer:ああそうかよ、相変わらず特殊なものしか見ないよな]
[kaito:おいおい、今日は食いつきが悪いな?いつもならデータくれくれうるさいくせに]
ストーマーはカイトの親友で、学校ではどちらも友達がいないので二人同士でいつも喋り合う仲だ。
この前は学校で有名なヤリ捨て男の視界記録を何個も持っていったというのに、グロいシーンもあるからあまり欲しがらないのか?
[Stormer:当たり前だ馬鹿野郎、死に様をみたい奴がいるか?]
[kaito:それは少数派だろうな……]
[Stormer:話は終わりだ]
いつも通り簡潔に話を終わらせようとする癖は治らない、とはいえ話の区切りをつけられるのは才能だ。
「つまんねえの」
ニュースをつけると先ほどの話で持ちきりのようだ、ただそれよりも良いことが聞けた。
この事件は今ちょうど終わり、場所はカイトのアパートから少し近い駐車場でのことらしい。
「見物は紳士の嗜みだよな」
全くそんなことはない。
今日だけは軽やかに動く足を事件現場まで運ばせる、救急車の音がうるさいほど鳴り響いていた。
野次馬もそれはとても多く1箇所にまとまり血溜まりや死体を皆が眺めている、よくまじまじと見れるものだ。
人が多すぎてよく見えなく、こんなことに時間を使うくらいなら帰ろうと思い後ろを振り向き歩き出す。
そんな時排水溝の近くに落とし物と見られるチップがあった、拾って確かめてみる、新品でチップにはIgnisと書かれている。
コメント
1件
うわ、サイバーパンクな世界観とnonameの叫びが重なって、すごく引き込まれたよ……。デストロイヤーの暴走シーン、映像が浮かぶくらい生々しかった。カイトとストーマーの温度差ある会話も好き。イグニスのチップ、拾っちゃったけど大丈夫なのかな……続きが気になる🥀