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#yajp
のえ
262
り か
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自分の大切な人や綺麗に感じるものばかりが
失われていくこの世界に
失われていくことでどこか儚い美しさが見出
されるこの世界に
嫌気がさしていたんだ。
俺の出自は恵まれているとは言えないだろう
産まれて早くに命を落とした父。
金銭に余裕がない為、母は働き詰め。
当の俺はというと母と共働きで束の間の休み
は家の掃除やご飯の材料の買い出し、作り置
き、皿洗いに洗濯物。
だがそんな窮屈に感じるような暮らしでも、
いつも俺に優しく寄り添ってくれる母や俺の
働きや人間性を見て労り褒めてくれる人が居
た。
こんな日々の繰り返しでも俺にとっては大切
な人達と居られるから幸せに感じたんだ。
これからも一緒に頑張ろう、と小さな頃に望
んだ夢を捨て働いていた。
ささやかな幸せを胸に生きていくんだろうと
思っていた頃だった。
なんの挨拶も無しに母との別れが訪れた。
過労によるものだろう。あそこまで頑張って
も、それでも変わらず、俺は大事な人を失った。
そんな時に彼は現れた。
彼の名前は ur 。彼もまた、大切な友人を失
って居たそうだ。
けれど彼は友人を想っていたあまりショック
で精神を病んでしまっていた。
俺は彼に話しかける。
「君の友人はどんな人だったの?」
彼は言った。
「…どこまでも明るくてずっと笑顔だった。
優しいけれど簡単には流されない芯のある
しっかりとした奴だった」
「これからもずっと近くでその笑顔を見てい
くんだ、と…そう思っていた。」
…と。恐らく ur はその友人に惚れていたん
だろう。言葉の節々から失った苦しみのよう
なものや友人以上に大切に想っていたことが
感じられる。
想像だにしなかったことに、俺は哀感する彼
の姿に今まで感じたことの無い魅力を見出し
た。
それに気付いたところで、ur は大切な人を
もう見つけていて、それを失ったばかりの
彼の弱った心に漬け込むような真似は出来
ない。したくもない。
ur はきっとあの人の後を追うだろう。
俺は先天的に勘が良かった。つまり、俺なら
彼を止める事が出来るかもしれない。
それでも俺はしなかった。
ur を引き留めたくなかったわけではない。
…ただ、
なによりも大切に想っていたものがこの世か
ら消えた時、生きる意味のようなものを失な
い、神の世があるのならそこでもう一度だけ
言葉を交わし笑い合いたい、顔を見るだけで
もいいから、どうしようもなく会いたくなっ
てしまう気持ちは
今の俺には痛いほどよく分かる。
第三者の介入は全くもって意味を成さない。
誰にも…もう失ってしまった者の言葉でしか
心が動かすことが出来ないだろう。
俺はまた、もう一度できた大切な人を失う。
俺がどれだけ彼を想っても、それが彼に届く
ことはなくて。
自分自身の無力さを痛感しながら
ただ、大切な人が凋落する様を眺めることし
かできない。
やがて大切なものを失い続けた者は、
世界の不条理に潰され、生きる糧を失った
この世界へ、静かに別れを告げた。
彼にもまた、彼を大切に想う人物が居ただろ
う。けれどそれも、心を塞ぎ込んでしまった
者には声が届かない。
「…jp ?」
ふと目を開くと大切な人が暖かい光に包まれ
こちらを覗き込んでいる姿が描写された。
「…母さん…ッ」
辺りを見回すと彼の姿もあった。友人と幸せ
そうに笑いあっていた。
「…ふ、やっとまた会えたね」
fin .