ベットの上でごろごろしてたら、部屋の扉が開いた。
「…待たせたな、ツキ」
「…?(看守さんだ、どうしたのー?)」
「これから、お前を赦すか赦さないか判断するために、尋問を行う。尋問に対して、虚偽も黙秘も認めている。」
「…?(私の何を赦すの?)」
「…お前は人を殺したヒトゴロシだ。人を殺すのには理由がある。それを赦すか赦さないかを判断するのが僕の仕事だ。」
「…(うーん、わかった)」
「それでは、尋問を始めよう。」
「…まず、ミルグラムに来てからの生活はどうだ?」
「…(楽しいよ!お友達もできた!)」
私は腕をぱたぱた振る。
「…その様子だと悪くはないみたいだな。」
「…ツキ、お前は人の死に関わったヒトゴロシだ。それについては?」
「…?(わかんない、ヒトゴロシもよくわかんない。)」
「…にしてはどこか達観しているように感じるが…まあいい。次だ。」
「…殺した相手のことを、どう思ってる?」
「………嫌だ嫌い!」
声を出した私のことを、看守さんは驚いて見た。
「嫌だ嫌だ、おにーちゃんと私を苦しめておいて、自分はのうのうと生きていた…」
私はありったけの力を込めて叫んだ。
「だから、あいつは赦されるべきではなかった!」
「…一旦落ち着け、ツキ。」
「どうした?今まで一言も喋らなかったのに、急にべらべら喋ったじゃないか。」
「…はぁ、はぁ…」
「雰囲気も随分変わったように見える。」
「…う、うるさい…!」
「看守に向かってその口はなんだ。」
「…看守さんは私のことをヒトゴロシって言ったよね…」
「そうだが、何か問題でも?」
「なら…私達を苦しめて…お母さんを死に追いやったあいつは…あいつは…ヒトゴロシではないのか!」
「…お前の言う”あいつ”の意味がよくわからないが…」
「………あいつは…憎むべき存在。私達の敵。いわばモンスター。」
「モンスター、か」
「…まあいい、これから僕はお前の心情風景を見て判断をする。子どもだからって簡単に赦されると思うなよ。」
「…そっちこそ…!私達の苦しみを簡単に理解できると思うなよ…!」
第一審が始まる
「…ツキ、お前の罪を歌え。」