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nksm 愛の名を騙った狂気
リョナ、暴力、嘔吐を含みます
グロ系が苦手な方はご注意ください
彼は、とても美しかった。整った顔立ち。すらりと高い背。鍛えられた体。滑舌のせいで聞き取りにくいが、低い声。
僕が何よりも惹かれたのはその目だ。
美しいアメジストのような、深い紫の瞳。それが何よりも手に入れたかった。
体も、心も。彼の全てを、自分だけのものにしたかった。
僕は彼から「友人」としての信頼を得ている。彼の家に尋ねるのは容易いことだった。彼の飲み物に、隙を見計らって睡眠薬を混ぜた。彼は何も知らず、何も疑わずにそれを飲んだ。警戒心が薄すぎる。だから僕が守ってあげないと。
じきに彼は眠った。彼の家で、彼のスマートフォンを壊した。偽名を使い用意していたレンタカーで、彼のことを誰も知らない家へと運んだ。
ここが今日から、僕らの家だ。
コンクリの無機質な壁と床。そこにあるのはベッドと椅子、備え付けのシャワーとトイレだけ。彼の部屋は殺風景なものだった。でもそれで構わない。周りが地味だからこそ、埋もれがちな彼の美しさが際立つから。
逃げ出さないよう、足枷をつけた。暴れないよう手錠もさせた。別に彼のことを縛り付けたいわけではない。僕だけを見てくれるようになれば、そんなものは必要ない。少しだけの辛抱だ。
半日も経てば、彼は目を覚ました。見知らぬ部屋、鎖で繋がれている現状の理解に苦しんでいるようだった。視線を彷徨わせ、僕の存在に気がつくと声を荒げた。何をしたんだ、と。
「おはよう、スマイル」
「今日もスマイルは綺麗だね」
僕が彼の頬に手を添えると、払い除けこそしないももの拒否反応を見せた。顔を顰めている。
「そんなに嫌がらないでよ」
「悪い子にはお仕置きかな」
彼の表情が不安に染まっていく様を見つめるのが楽しかった。でも僕が欲しいのはそんなものではない。もっと、もっと深くまで知りたい。
「僕はね、これが一番欲しいんだ」
彼のアメジストに瞼の上から触れる。長い睫毛が小さく震えた。
「貰っても、いい?」
彼はやめろだとか意味が解らないだとか喚いている。別にボクは理解されたいなんて端から思っていない。理解されるとも思っていない。この感情は常人が持つものではない事など、疾っくの疾うに気づいていた。別に自己満足でも良いじゃないか。僕と君が幸せであれば。
貴方に意思など必要無い。
喚き立てる彼に構わず、その左目に触れる。そして、指を押し込んだ。眼球を抉るように指を回す。ぐちゃぐちゃと粘膜質な音が鳴る。ぶちりと神経の切れる音がした。
彼の口から汚い悲鳴が上がる。口から涎を垂らしながら、痛い痛いと泣き叫んでいる。その声も美しい。初めて聞く声だ。
僕の指に血が伝う。彼の目からも、血と涙が混ざった液体が溢れている。
眼球が外れた。それを手にとって眺める。美しい。ようやく、手に入れることができた。
床にはぽっかり空いた穴から溢れた液体で赤黒い水溜りができていた。彼が失血死してしまう前に、応急処置を施した。ショックからか失神してしまっている。別に大したことはない。きっとまた目を覚ます。
彼の左目は、ホルマリン液に漬け込んだ。こうすれば、奇麗な状態で長期間保存ができる。ようやく手に入った、僕の大好きなアメジスト。本来あるべき場所から取り外されても尚、その美しさは健在だ。
一日後には彼は目を覚ました。左目のあった場所が痛むのか、ずっと呻いている。流石に五月蝿いので鎮痛剤を与えた。それで静かになるかと思えば、また反抗的な態度を取り始めた。何をする気だ。今すぐ離せ。自分の立場を分かってない言葉ばかり。昨日はあんなに怯えていたのに、全て忘れ去ったのだろうか。
悪い子は躾けないといけない。手を振り上げて頬を一発叩いた。ぱしん、と乾いた音が二人きりの部屋に響く。二発三発、もう何度か叩いた。白い肌がほんのり赤く染まっている。
そうすると、彼はいくらか大人しくなった。前ほど喚かなくなったし、言うことも聞けるようになった。
初めは食事も拒んだ。変なものは入れていない、普通の食事なのに彼は頑なに食べようとしない。だからまた躾をしなければいけなかった。本当はこんなことしたくない。傷つけたい訳ではないのだから。
何度か殴って、ようやく言うことを聞いてもらえる。大人しくなった彼の口元にスプーンを運べば、何も言わずに口を開いた。ゆっくりと咀嚼し飲み込んでいる。僕がスマイルのために作った料理。
「おいしい?」
僕の言葉に対して、首を縦に振ることはない。かといって横にも振らない。弱々しく睨みつけてきた。怖くもなんともない。しかし、何度躾けても学習せず反抗的な態度を取り続ける彼に腹が立った。お仕置きとして、お腹を殴る。彼の口から、声にならない小さな悲鳴が漏れた。もう一度殴ると床に倒れ込んで、何度かえずき胃の中の物を嘔吐した。びちゃびちゃと、吐瀉物で水溜りができる。
「あーあ、吐いちゃ駄目じゃん」
「ちゃんと全部食べてよ?」
僕の一言一言で彼の表情がころころと変わるのが面白い。強気だった顔が一瞬で崩れる。怯えて、泣いて、許しを請う。
傷付けるのは嫌だけど、彼の痛みに喘ぐ声や苦しそうな顔は大好きだった。あんなことをしたらどんな声が聞けるのだろう。どんな反応をするのだろう。彼への躾は次第に遊びへと変わっていった。
ある日突然、何を思ったのか彼は逃げ出そうとした。着替えをさせようと足枷を外した途端、僕の腕を振りほどいて走って逃げた。部屋の扉に鍵はかかってない。しくじったと思った。
けれど彼は、扉を開けた瞬間に足を止めた。
「……見ちゃった?w」
扉の先は僕の部屋だ。壁一面に写真が貼られている。所詮、盗撮と言われるようなものが殆どだ。
外を歩く後ろ姿。
コンビニで会計をする姿。
トモダチの隣で笑う顔。
家の中で本を読む横顔。
見知らぬ女と手を繋ぐ姿。
何年もかけて、毎日のように集めた写真達。
彼は腰が抜けたのか床に座り込み、かたかたと震えている。かたっぽだけの目は恐怖に染まりきっていた。
「そんなに怖かったかなぁ?ごめんね」
「ほら、部屋に戻るよ」
差し伸べた手は、一瞬で払い除けられた。叩かれた手がひりひりと痛む。彼は気持ち悪いモノでも見るかのような目で僕のことを見ている。全く、折れない奴だ。
「悪い子だなぁ」
悪い子には、お仕置きをしなければ__
抵抗する彼を無理やり掴んで部屋に引き戻し、もう何度目かわからないお仕置きをした。
二度と逃げられないように、鋸で両足を切り落とすことにした。骨が固くて中々刃が通らない。麻酔なんてものは持ってないから気絶させてからやったけど、痛みで起きてしまった。声にならない叫びを上げ続けている。その声を無視して、腕を動かし続ける。片足、取れた。もう片方にも刃を当てる。皮膚を切り裂くと溢れる血。ゴリゴリと骨を断つ感覚がダイレクトに伝わる。人間の足を切断するのは初めてだが、中々楽しい。
両足を切り落とし終わったとき、彼は白目を剥いてピクピクと細かく痙攣していた。慌てて止血をする。残念ながら僕に専門的な知識はないので、とりあえず清潔な布で圧迫する。布越しに滲む奇麗な赤い血。また五月蝿かったら嫌だから、痛み止めと睡眠薬を注射しておいた。
足は、食べた。大好きな彼の血肉なんて、捨てるわけにはいかない。流石の僕も生で食べることには抵抗がある。量なんてたかが知れている。丁寧に処理して、焼いて、煮て、蒸して、様々な方法で調理して食べた。その肉は、今まで食べたどんな高級肉よりも美味だった。A5ランクの霜降り肉など目も当てられない。僕だけが知る、トクベツな彼の味。
骨は、見つからぬよう床下に仕舞った。
三日経って、ようやく彼は目を覚ました。彼は全く喚かなくなった。時々もう無い足が痛むと言う以外はほとんど何も喋らない。抵抗もしない。虚ろな瞳は何も映していないようにも見える。でも僕にはわかる。彼はきちんと僕の目を見てくれていることが。
手錠を外しても逃げようともしなくなった。食事には素直に口を開いた。前は嫌がってしなかったコトも、すんなりと受け入れた。心の深くまで、僕を受け入れてくれるようになった。
「スマイルは、俺のこと、好き?」
その言葉に、彼は首を縦に振った。
やっと手に入った、僕だけのスマイル。何年待ち望んだことだろう。足が、目が、力が無い。金が、家が、心が無い。何も無いから僕がいないと生きていけない。僕はスマイルのために生きてる。だからスマイルは僕のために生きてくれる。
僕の人生は全て投げ捨てた。きっと今頃、スマイルの友人や家族達はスマイルのことを探している。僕のことも、探してくれているだろう。いつ警察が来るかも分からない。でも、これでいいんだ。僕はこうしたかったから。
彼さえいれば、良かったから。
これで、いいんだ。