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会議の待ち合わせに少し早く着いたため
スタッフさんに頼まれていたグッズにサインを書いていた。
しばらくするとガチャっと扉が開く音がし
音の方向に顔を向けるとサラサラの赤い髪に
帽子をかぶっている莉犬だった
r)おはよ
s)おはよう
挨拶を交わすと莉犬はソファーに鞄を置き、上着などを脱ぎ始めた
目で追っていた莉犬からグッズに目を向け、残っているグッズにサインを書いていく
何度も何度も書いているサインは最初の頃に比べて上手くなった上に早く書けるようになった
自分のサイン入りがリスナーさんに届くと思うとなんだかニヤニヤしてしまう
でも今回は自分でサインを当てたいなぁ
またカメラ枠で開封しようかな〜
なんて考えていると
s)わっ!
莉犬が急に俺の背中にくっついてきた
r)あったかい…
そう小さく呟く
s)おまっ人の体温で暖を取るなよ!w
あと書けないだろ!
r)いいじゃん減るもんじゃないし
それに、さとみくんなら
いかなる時でも書けるから安心しな~
眠たそうな声で言い返してくる
s)意味わかんねーよw
まったく…
でもなんだか莉犬が近くに居てくれるのが嬉しい
気がするからこのままでも良いかな…
r)……ちゃん
かすかに聞こえた声
s)ん?なんか言った?
r)さとちゃん……
俺は はっとする
“さとちゃん”…君がそう呼ぶ時はいつも何か伝えたい事がある時、
なんだろう…
若干不安を覚える
s)なに、どうしたの?
できるだけ優しい声で聞いた
r)んん〜…生きてるなぁって
生きてるな…???
そりゃ生きているが何故そんなことを思ったのか
どういう…こと?
そう聞くと莉犬はゆっくりと話し始める
r)最近ね、なんだか皆が居なくなっちゃう気がす
るの
俺、怖い
俺のお腹辺りに回してきた君の腕はぎゅっと力が入り強く抱き締めている
r)こうやってくっ付いてると
心臓の音とか喋ってる時の振動が伝わってくる
の
だから生きてるなぁって
近くにいるなって
安心する
悩んでいる素振りなどなかったから気づけなかったのがなんだか悔しい
でも溜め込みやすい莉犬がこうやって自分から
話してくれたことはとても嬉しかった
r)お願いだから、どっかにいかないでね…
君の手を強く握りしめる
s)大丈夫、絶対に離れたりしないよ