⚠️マジで内容のない話です(短い)
⚠️若干死ネタ、ホラー
⚠️全体的にわけのわからない展開です
⚠️病み要素多め
それでも良い方はどうぞ!
今日もいつものように、暮らしていく。
お腹が減ったらご飯を作って、
眠くなったらベッドで寝て、
最低限を這いつくばって、
代謝するだけの体を持て余して。
目が覚める。
あたりは明るい。
「ねえ、外見てよ、」
あ、晴れてる。
昨日までは、ザアザア、大粒の雨が窓を叩いてたのに。
ここ数日は湖ができちゃうんじゃないかってくらいの大雨だったけど、今日だけはバカみたいに晴れていた。
暖かく、でもどこか鋭い冬の日差しが心地良い。
今日は洗濯物、外に干せそう。
ぬるい空気がそこら中に立ち込める昼下がり、とうに飽きたつまらない味のレトルトのカレーでお腹を満たす。
ふわふわした眠気に包みこまれた僕の恋人は、
赴くままにリビングに横たわった。
お昼寝いいな、僕もしたいな、と思ってると、
「もとき」
と小さく名前を呼ばれる。
蚊の鳴くような声量だったけど、静かな部屋の中ではよく響いた。
「なあに?」
そばにしゃがみ込んで、顔をのぞき込む。
僕と目が合ったのを確認すると、にんまりと満足そうに笑う。
やわらかくて、それでいて、愛らしい笑顔。
ちゃんと顔をみると、ほんの少し痩せていたけど。
「だいすき、」
「…へ、」
「……ふふ、僕も」
久々に言われたかも、「大好き」って。
じんわり、心があったかくなった。
でも、なんでだろ。
なんで、言ってくれたんだろう。
幸せそうに目を細めて眠りに落ちるのを見届けると、名残惜しいけど、立ち上がってお皿を洗う決意をする。
「 」
あれ、何か言った?
今度はうまく聞き取れなかった。
でも、なんて?って聞き返す前に、こてっと頭が床にくっついちゃった。
それならば。
「ちょっとくらいならいいよね、」
勇気を出して、細い腕に触れてみる。
そーっと、起こさないように。
最近、なぜだか僕に触れられるのを嫌がるんだ。
だから当然、言葉だけじゃ物足りなくて、もう一度体に触れてみたいと思う。
いつもギターを掻き鳴らすのに使っている右手に指を絡ませて、優しく腕ごと持ち上げてみる。
「あ、あれ、」
ぽたり。
液体が伝う。
フローリングに、きれいな紅色の花が咲く。
「へっ、……なん、で、」
彼の右腕は、錆びついていた。
文字通り、錆びついていた。
鉄のような、血なまぐささが鼻を突く。
「あ、あぁ、そっかぁ、」
だけど、妙に、納得してる自分がいた。
「もう、ひどいよぉ、」
この「暮らし」には、終わりがない。
そう信じて、生きてきた。
でも違った。
実は、緩やかに、穏やかに狂ってた。
それにしても、なんて酷い奴なんだろう。
自分の体が、世界が、終わりを迎えようとしてるのをひた隠しにしてたなんて。
だまくらかしの罠にひっかかってたことも、なんだか、悲しい。
「おきてよぉ、」
体を揺する。
当たり前だけど、起きない。
死んだように生きる、植物人間。
君に当てはまる言葉はそれ。
実は、薄々感じていたのだ。
気づかないふりをしていただけ。
君の放つ「だいすき」は、
まぎれもなく遺言だった。
今日が気持ちの悪いくらい晴れの日だったのも、
まぎれもなく、「予兆」。
だーれもいない中、一人で佇む。
ここにあるのは、巨大な肉の塊。
あとは、もうすぐ消え失せる。
空っぽの冷蔵庫も、
もう何も映してくれないテレビも、
スペースを取るだけ取って何も収納してない棚も、
すべてが君を象徴してるみたい。
この空間は、まさに君そのものだった。
からっぽ。
なんにもない。
ついには僕の心さえも、からっぽに蝕まれる。
無性に怖くなって、縋り付いてみる。
これは、ただのポーズ。
君の体を抱きかかえて起こした時に感じる重み。
こんな僕だからかな?
この重みも冷たさも、「君」のものじゃなくてただの動物の亡骸のものだ、としか思えなかった。
錆は伝染して、首元まで鉄色に染め上げる。
不思議と、悲しくはない。
でも、わけもなく再び持ち上げてみた右腕が、重力に従って力なくだらりと地面に垂れたのを見ると、途端に僕の頭の中はやるせなさに支配されてゆく。
僕は、生まれて初めて、涙を流した。
いつも通りの冬、午睡の最中。
うららかな春の日はまだまだ遠い。
そんな中で君は、事切れてしまった。
僕のことを、ひとりぼっちにしながら。
「ねえ、」
今頃、君はどんな夢を見てる?
その中に僕はいる?
いてほしいような、
いてほしくないような。
少なくとも、穏やかな眠りであってほしい。
子猫のように丸まった君の隣に、僕も寝転ぶ。
固く閉じられた瞼を指でなぞったあとは、おんなじように目を閉じた。
このままここで、君の隣で朽ち果てたい。
ずるずる、深い眠りに引き込まれていくうちに、
君との暮らしの輪郭があいまいになった。
それらが溶けて、全部混ざって、
この日々たちを
「全部飲み干してしまいたい」
「忘れたくない」
そう、心から思った。
もし明日奇跡が起きて、僕と君がどっちも目を覚ますことができたのならば。
僕もちゃんと、「だいすき」って言いたいな。
「起きて」
「…あれ、…?」
また、目が覚める。
外は暗くなって、いつものように大雨が降っていた。
「夢…?」
「何のこと」
「ううん、なんでもない」
背中には、じっとりと汗をかいていた。
「それより、ご飯作ったから食べようよ」
「あれ、今日のご飯当番、若井だっけ?」
「いや、でも元貴爆睡してたし、起こすのも悪いかなって」
優しい。
いつも通りの若井だ。
「ごめ〜ん、ありがとう、」
「いいよ、ほら早く、食べよ」
夢とは違う、どこかぎこちなくて生硬な微笑。
かえって僕を安心させた。
夢だったんだ。
全部、夢だった。
さっきまでの世界は僕の見た妄想で、幻。
だから、
君の右手首に走る赤い線には、見て見ぬふりをした。
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いや、ほんとにわけわからないですよね、すみません…。
こういう、ふわふわした世界観で狂った現実から目を逸らしてるような、
なんかいろいろ誤魔化してるけどこれ結構やばくね??的なテイストが好きだったので挑戦してみたかった次第なんですけど。
完全に雰囲気ホラーですね。
真実は闇の中ですし。
でも逆にざっくりとした怖 い話こそ、一番嫌な感じしませんかね??
細かい考察とかは全部委ねる(丸投げ)しますよ。
結局、最後まで見て見ぬふりでしたね。
コメント
14件
綺麗で崩れてしまいそうなほど儚い世界観最高すぎます…! 夢オチで平和な日常で終わると思いきや、最後に不穏な空気で見える闇で終わるの好きです…!
究極「二人だけの世界」でしたね。 夢オチなのもいい意味で裏切られましたが、最終は夢オチでもないのか?と、畳み掛けるような展開で物語のスピード感と感情のスピード感のアンマッチに脳みそ持っていかれました💨 感服です✨
こういうほわほわしてるけど寂しくて悲しくてやるせない4ネタ大好きなんですよ😭言葉選びも天才ですね😳こういう回りくどくて儚い言葉選び私には出来ないから羨ましい☺️語彙力があって、でも少し考えさせられて読みやすかったです📕