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花子くんの声が聞こえたが、霊力のない人は、怪異の声すら聞こえないので、推しの声を無視した。
推しと話せないなんて泣きそう⋯
「ごめん、寧々ちゃん」
私は、頭を下げて謝った。
「そんなことしても、今までやったことは取り消せないんですよ。先輩⋯」
「知ってる⋯知ってるよ。私だ⋯なんでもなです⋯」
私もそうだったな⋯謝られたことは一度もなかったけど⋯
――――――――――――――――――――春乃の前世の記憶――――――――――――――――――――――――――――――
「いたい⋯やめて⋯」
放課後、誰もいない教室で、私はいじめっ子から髪を引っ張られていた。
「やだよ〜」
「そうだ。このまま髪切らない?」
「いいね」
私は、自分の髪を切りたくなかった。寧々ちゃんの髪形と同じになるためにここまで伸ばしたから。
「やめてください!髪⋯髪だけは!」
「そうやったって無駄。もっと切りたくなるだけだからw」
「やだ⋯やめて!」
――ジョギンッ
「あ⋯」
自分の切られた髪が手のひらに落ちてきた。
「いや――――――!」
自分の記憶がなくなるまで叫んでいた。
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「こんなこともされてたんだろうな⋯」(小声)
「なにか言いましたか?」
光くんが聞いてきた。
「そんなこともあったな⋯って」
「どういう意味⋯」
「ごめんね⋯邪魔して。帰るよ⋯」
私は、廊下へ向かって歩き出した。
「ちょ⋯待って!」
――シーン
「は?」
光が廊下を見たときには、誰ひとりいなかった。
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「っ⋯うぅ⋯」
私は、一人で泣きながら家へ帰っていた。
「猫⋯?」
猫は、朝着いて行ったあの猫と同じ模様の猫だった。
「ああ、神様の護衛の⋯まず帰ろう⋯」
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「ただいま⋯」
返事は、一つもなかった。
「リビングに入ろう⋯」
私は、リビングに入り電気をつけた。
「手紙⋯?」
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香澄へ
今日から海外出張に行きます。まだ、帰る日が決まっていないけど、長くなりそうです。なので、1年間分の食費は食卓の上においておきます。元気にしててね
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「わざわざ手書きで⋯」
親がいないのは、心配しないようにする人が減ったということだ。まあ、良いんだけど⋯こういうときは、親がいたほうが良いんだよな⋯
「まず寝よう⋯」
そうだ⋯今は疲れてるし今日はもう寝よう⋯