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何時も通りの仕事を終えた事に安堵しながらも、私はクタクタな身体に鞭を打ち、傘を差しながらも暗い夜道を 一人歩いていた。予報じゃ夕方には晴れるって言っていたのに__どうやら雨は収まる事は露知らず、徐々にその威力に力を得たらしい。


本日何度目か分からない溜息を吐きながらも、同僚の言っていた言葉を思い出す。


「そんな溜息吐いてちゃ幸せが逃げるよ~!ほら!笑顔笑顔!」


__余計なお世話だ。こちとら”彼氏居ない歴=年齢”を見事に貫いているただの会社員だ。” 今夜は彼氏とデートで~! “と嬉しそうに微笑みながら話していた同僚を思い出す。狡い。非常に狡いと思う。


そんな風に一人脳内で今日の出来事を思い出しながら歩いていれば、ふと路地裏の方から微かな”声”が聞こえる事に気がついた。


こんな夜中に一体何が、…?


ポケットに入っていたスマホを取り出せば、時刻は既に0時を回っている。

其の儘スマホのライト機能で辺りを照らしながらも声のする方へと進んでみる



ーーーー ジジジジ……



声、…?いや音だろうか、?

例えるならばそう、…”ラジオ”…みたいな…


徐々に大きくなる音に思わず固唾を

飲み込むも、進む足は止めずに路地裏へと

進んでいく。


気付けば路地裏の奥まで辿り着いた様

音の源は目の前に居る様で、恐る恐るそちらにライトを向ける。



___猫、…?か、…?



其処に居たのは丸い赤色の生き物だった。

赤色の耳の様な物が生え、その傍には小さな茶色の棒の様な物が伸びており、大きな__嫌少し大き過ぎる様に感じる目は焦点があってはいないが、顔は此方に向いているのでまあ私の存在は認識しているのだろう。

赤色の毛並みを逆立たせつつも、何処か元気なさ気に此方を威嚇している姿は実に可愛らしい。


…可愛らしいがこんな雨の中何故此処に?


パット見外傷は無さそうだが、こんな雨の中長時間居ては色々心配で、辺りはこんな場所路地裏だし、ノミ等がついていては危ないと、一時預かろうと蹲る赤色の生き物にそっと近づいてみる。


すればソレは驚いた様に体を跳ねさせるも、「ジジジジ…」と威嚇し乍も此方を

観察している様。少々無理矢理にはなってしまうが、威嚇する猫に一息に近寄り抱き上げると同時.思いっ切り顔やら腕やら引っ掻れれば痛みに思わず抱き抱える力を強めれば、「ビッ…!?」と、小さな音を立て、

大人しくなる。


その様子に申し訳なさを覚えつつ、痛みに顔を歪めつつ、小さな生き物を抱え直し、羽織っていたコートを脱げば、濡れぬ様にそっと上から生き物に被せてやった。

傘は閉じ腕に持ち手を掛け…


其の儘家へと向け足を進めた。

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