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翌日、新千歳空港から出て来た一行の数はいつも通りコユキ一人、と言う訳では無く結構な団体さんの様相を呈していたのである。
今回は過去の失敗を踏まえて、サタナキアとの戦闘を避ける為に、昔馴染みのバアルと四柱のレグバ、面白そうだと我儘(わがまま)を言い譲らなかったアスタロト、北海道旅行気分のトシ子、善悪の九名であった。
珍しくイーチや口白、ハミルカルが付いて来たがらなかった事は意外であったが、コユキに取ってそれより不可思議に感じたのは、二人の妹が快く送り出してくれた事であった、しかも笑顔で……
頑張って屈原(くつげん)まで詠唱したのだ、最後は笑顔で、そんな風に考えて無理をしていたのかもしれない。
コユキは強烈な寂しさを感じてしまっていたが、努めていつも通りを意識して言うのである。
「さて再びの北海道ね、帰りはアタシと善悪は居ないからね、お婆ちゃん、アスタとバアルちゃんの事頼むわよ? 甘やかさないようにね、んでサタンを魔核化した場合には忘れて帰らない様にすんのよ? スプラタマンユの皆もちゃんと点呼してよ? ラダの四人は現地解散するんでしょ?」
「あー、俺ちゃんとロットは東京までは一緒だからさ、フューチャーも新幹線の掛川までは一緒だろ? 現地解散はフェイトだけだから心配しなくて良いよ、俺らが気を付けてるからさ…… なあ、本当に良いのかよ? 思い直したんならまだ間に合うじゃん? 止めとけって!」
デスティニーの言葉に返したのは善悪だ。
「気持ちは有り難いでござるが、もう蒸し返すことは無いのでござるよ、一刻も早く悪魔達の力を結集して、世界中の魔力集積地を除染するのでござる! 待った無しなのでござるよ! おけい?」
「…………おけいじゃないけど分かったよ、ちぇっ、つまらないなぁ、はあぁー」
『…………』
ロット、フェイト、フューチャーの三柱も発言こそ無い物の揃って沈痛な面持ちである。
対してコユキの肉親にして善悪の師匠に当たるトシ子は、初めて訪れた北海道に興奮した様子で旅行ガイドなんか見ていやがる。
アスタロトとバアルも二人の弟妹の癖に欠伸をしていたり新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込んだり気楽な様子である。
三人ともワイン(サパ無し)の飲み過ぎで少しイカレてしまっているのかもしれないな、揃って年寄りだし……
コユキのツナギの胸ポケットから顔を出したオルクスが言う。
「チョクセツ、ムカウ、ノ?」
善悪は答えずにコユキに確認だ。
「コユキ殿どうするでござる? 途中で食べておきたい物とかある? ほら最後の晩餐的な奴とかさぁ?」
コユキはいつも通りの口調でいつもと違う事を言う。
「あー、もう良いんじゃない? 今日は戦いにもならないだろうし、もうすぐ消えちゃうのに勿体ないでしょ? 直接向かいましょうよ、皆は事が済んでからジンギスカンでもスープカレーでも海鮮祭りでも楽しんで頂戴ね、なははは」
「そっか、それもそうでござるな、んじゃ行こうか」
「行きましょう!」
食べ物が、いらない、だ、と……
馬鹿な、この流れでは私観察者の存在が消えてしまうのでは無いか?
並行世界のお話とか? ここまでループ以外に他作品をパクった要素は無かった筈だったが? はて?
私の記憶にある、幼い頃に見た祖父母は揃って丸々と太っていた筈だ、間違いないっ!
ふむ? まあ、考えても仕方が無い、観察を続ける事としよう。