さて、月日流れ、ここに監禁されて、かなりの時間が立ち、ひよりとも文通を経て仲良しになっていた。
肝心の脱出計画に関しては鍵はひよりが持ってくると言っていた。
ならば自身は玲を油断させ、体力を身につけるのがよいと判断した。
だが、足枷がある。
ひより曰く破壊したり抜くと通知が行くとのことだ。
ならば、簡単には来れない学校の時間がベストだ。
足枷はいきよいよく無理やり引き抜くことにした。
幸い、クッション部分がある。
怪我はしないだろう
この程度で済むなら御の字だ。
ひよりは申し訳なさそうな顔をしていたが優は人形のような見た目に反し、自身の外見に無頓着なので、別に気にしていなかった。
だが、まだ課題はある。
外の警備員である。
勿論優のことは知らないだろうが本条家に入ったとなると、かならず捕まえに来る。
ならば警備員にも協力者が必要だ。
とはいえお金もないし、買収は出来ない。
どうしたものか…
そこで考えたのがひよりの娘、静香のふりをすることだ。
元々将来ここで働く予定なので幼い頃から連れて行ってるとのこと。
静香は内気のため、あまり喋らない。
ならば、フリは容易いかも知れない。
だがしかし、ひよりの危険度が増す。
ひよりは…「いいの あなたの事は娘だと思うようになってしまった。 娘を助けるために命を貼るのは当然」と言い切った。
年にしても小柄な優を静香に似せるのは簡単であった。
優はただただ、嬉しかった。
歪な愛を受け止め、純粋な愛に飢えていた。
ただ、相手の気持ちを思いやるひよりの愛情はとても心に響いた。
もちろん、ひよりは優だから愛したのである。
他人を思いやり、人を慈しみ、自らを監禁した玲すら、心の奥底では愛している優だからこそ愛したのである。
優は元来人たらしであったのだ。
そんな優が危険な目にあわなかったのは玲が歪ながらも優を愛していたからだろう。
危険から優を遠ざけ続けてきた玲、しかし彼女は道を踏み外してしまった。
「お嬢様、貴方は愛し方をまちがえた」
ポツリとつぶやいた本音
その言葉は誰にも届かない
かく言う彼女も優に魅了され、道を踏み外した一人である。
本来ならばかげながらサポートするはずだった。
だがしかし、ひよりは優を愛してしまった。
そのため、自身や本来最も愛するべきな家族を危険に晒し、優を助けようとしている。
どの愛が正しいのだろう。
それは神すら分からない。
しかし、勝者はもう、決まっている。
勝者が正しいとすれば、正しいのは…?
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