そしてあれから数年‥‥
「やっぱりカッコいいわ、これ」
「似合ってるよ」
「先生とお揃いだ」
「ま、ダークスーツだからみんな似てるしな」
「良いじゃん、そこはお揃いで!」
先生が俺のネクタイを結んでくれる
このスーツ一式全て先生からのプレゼントだ
あの時の約束を果たしてくれた
「ヤバい‥‥緊張する」
「そんな玉か?気合い入れて行けよ」
「分かってるよ‥‥最初が肝心だよな」
「フフッ、お前なら大丈夫だよ」
「言われるたびに緊張するって!」
「ほら出来た。明日からは自分で結べよ?」
「やだぁ!先生に結んで貰わないと元気が出ないっ」
「言ってろよ」
ネクタイが結び終わり、俺たちは鏡の中の2人を覗き込む
「一旦カッコいいか?俺たち」
「キマり過ぎかもな」
笑いながらポーズを決める
「あ、やべっ‥‥俺忘れ物して来たわ」
「早く取ってこいよ。鍵閉めて外に居るぞ」
俺は先生の部屋を出て、すぐ隣の扉の鍵を開ける
少し前から先生の隣の部屋を借りて住んでいた
急いで中に入り、忘れ物を取ると部屋の鍵をかける
先生は戸締りをして外に立っていた
2人で下まで降り、駐車場を歩く
互いの車の前に立ち挨拶を交わす
「俺先行くね。頑張るから」
「あぁ、気を付けて行けよ」
先生はドアを開けたまま、車には乗らずに俺を見送ってくれている
出勤初日
緊張せずにはいられない
「ローレン君。今日から頑張って下さいね」
「はい!お世話になります。宜しくお願いします!」
「じゃあ壇上に行きますか」
「はい‥‥」
まだ不安はある
でも今日からここが俺の職場だ
階段を登る
壇上を歩きマイクの前に立つ
「本日付けで赴任して来ました、ローレンイロアスです!皆さんと一緒に素敵な学校生活を送っていける様頑張りますので宜しくお願いします」
懐かしい部屋
そこにはもちろん‥‥
「小柳先生っ!」
「‥‥なんだよ」
「俺カッコよかった?」
「良かったよ」
「ホント?嬉しいっ!」
「おい!抱きつくなよっ!学校ではするなって言ったよな?」
「‥‥本当にいつも真面目なんだから」
俺は猛勉強を続けて教員免許を取得した
そして私立だったこの高校に俺は戻って来た
小柳先生と一緒に働くために
「まったく‥‥お前は心に従順に生きてるよな」
「ロウにだけ一途だから俺」
「生徒たちにも一途になってくれよ」
「それはもちろんですとも。その分ロウへの想いが格上げされるだけだから」
「はいはい、分かりましたよ。それと学校では名前で呼ぶなって言ったよな?」
「‥‥先生っていつまでも俺の先生なんだよな」
「それも悪くないだろ?」
「悪くないよ。だって何もかも教えてくれたもんね、先生!」
「‥‥言い方が悪いな本当に」
俺は俺の人生を変えてくれた先生とまたこの場所で一緒に生きていく
窓から吹き込む春風を感じながら‥‥
END.
コメント
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先生だ~(´。✪ω✪。`) え~この2人のイチャイチャ好き~