夢見た世界まで_第2話
「ヴィーナス、貴方。めちゃくちゃ手際いいじゃない。助かったわ。」
「いえ!泊めてもらうんですからお手伝いぐらい当然ですよ、」
私はへにゃりと笑い、ビターさんとショコラさんについてお店の外へ行く。その時。ビターさんとショコラさんにお顔がそっくりな子を見かけた。と思ったら近づいてきた。
「ビターお兄ちゃん!お姉ちゃん!どうしたの!お店の外なんかに出て!!」
その子はガーナさんと言うらしい。
「ええ〜!可愛い名前だねえ」
とガーナさんは褒めてくれる。おおらかで可愛らしい雰囲気をまとった彼女は笑顔で話しかけてくれる。なんとも居心地が良かった。…家になんて帰りたくなくなるほど。次の日。目覚めるとショコラさんもビターさんもいない。
「え、」
私は困惑していた。どこに行ったのか。考えつく場所なんかない。慌てて布団から出て色々な場所を探すことにした。店の中に入ると普通にいた。
「しょ、ショコラさん!ビターさん!いらっしゃったんですか??隣の部屋に居ないから驚いてたんですよ!」
というと、
「ごめんなさいね。朝慌ててて手紙を残せなかったわ。」
と言った。私はその言葉を聞いて、下を向いた。今日は流石に帰らないと怒られる…。ショコラさんとビターさんに迷惑をかけるわけにも行かないから。
「…私、今日の夜に帰ります。」
「え」
「…そう」
2人とも困惑した様子だが、私が選り好みできる立ち位置では無い。2人に止められても帰るべきだ。
「ヴィーナス!見つけた!」
その時、お店に友達が入ってきた。
「心配してたんだよ?」
「…ロナルスにはわかんないでしょう。私がなんで家出したか!」
私はつい感情的になり友達のロナルスに怒鳴りかかっていた。そう。私は友達に家庭環境を相談していなかった。なぜかって?それは私が属しているのが陽キャグルだから。このグループに捨てられたら、友達なんて居なくなる。そんなのしんどい。だから辛い部分を隠すの。そうして自分を偽ってロナルス達とツルんできた。
「…ヴィーナスが話さなかったんでしょう!私達は友達なんだから!相談ぐらいしてよ、ヴィーナス!今回のことは警察事になってるんだよ!ヴィーナスのお母さんのボロが見つかって、家出として探されてる!」
と、涙目で語ってくれた。予想外だった。陽キャで病み系陰キャなんかツルまなそうなロナルスが気にかけ、泣いてくれている。
「…ごめん、でも!」
「どうして話してくれなかったの、?家庭環境最悪で毒親がいて、弟が大変なこととか!」
「…それは、、ロナルスに嫌われたく、なくて!」
私は涙を堪えながらロナルスに語りかける。
「嫌われたくないから、だよ。ロナルス達とずっといっしょに居たかったの」
と言って私はショコラさんたちを見た。ショコラさん達は私たち二人を見ている。
「ショコラさん、ビターさん、ありがとうございました。」
私はぺこりと頭を下げ、店を出る事にした。こんな別れは寂しいし、施設に行くのは怖いけど、。またカフェアビアントには来ようと思う。