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『 俺の1番 』







俺には幼馴染のりうらという女の子がいる。

元気で周りからはとても好かれていて、本当に嫌われる要素がない女の子だった。

…まぁ、強いていえばいい子すぎて嫌われるくらい。


そんな彼女とは本当にずっと一緒だった。

幼稚園にいる時も帰る時も小学校に行く時も、たとえクラスが離れたとしても。

ずっとずーっと一緒にいた。

でもある日彼女は交通事故にあったんだ。

そんな彼女と俺のお話。





ある日、父さんは仕事で帰りが遅くて母さんと俺の2人きりで過ごしてた時のこと。

夜遅くにインターホンのなる音がして、母さんはモニターをチェックしたきり、大焦りでお迎えに行った。

誰なんだろうとわからずそのままリビングにいたらやってきたのは紛れもないりうらだった。


桃「…? なんでりうらがここにいんの?」

赤︎︎ ♀「…ぁ、あの親が帰ってこないからここにしばらく居させてもらうことは可能ですか?」


律儀にしっかりと挨拶をしてくれた。

俺の親とりうらの親は元々仲が良く、連絡先も交換していたから母さんは間なんてものはなく、速攻でOKしていた。


赤︎︎ ♀「ありがとうございます…!!」


りうらは外ではあーんなに明るいのにオフに乗ると少しだけ暗くなるんだよね。

本当は人見知りで初対面の人と話すなんて大の苦手で、俺の母さんですら少しかしこまっちゃうくらいだもんね。


なんて思いながらも俺の部屋にあるお気に入りの絵本を持ってきてりうらと一緒に読んだ。




あの日からしばらく経って俺達ももうすっかり立派になって小学生。

もちろんりうらとは離れる訳もなく同じ学校。

そこで初めて知った、小学校ってクラス替えがあることを。


桃「えー、りうらと離れる可能性があるってことー?」


なんて不満げに呟いたらりうらは大人っぽくくすくす笑ってこう返してくれた。


赤︎︎ ♀「別に離れちゃってもりうらとないくんが仲悪くなるわけじゃないでしょ!」


なんて言う彼女の姿は本当に美しくて、後ろに綺麗に咲いた桜を背景にするとほれはとても画になるものだった。


暫く彼女に見惚れているとそれぞれの親が俺達を呼び出す声が聞こえるから2人揃ってそれぞれの親の元へ走り出す。


それが俺たちの初めての入学式の思い出。



次に小学生6年生にあがった時のこと。

もうすぐで卒業というとき、りうらとはクラスが離れることなく過ごせてよかったなぁという気持ちと中学に入ったら避けられちゃうのかなぁっていう気持ちが混ざりあってなんとも言えない気持ちになってた。

でも彼女が笑顔でこちらに笑いかけてくれるのが嬉しくてそんなのすぐに忘れちゃうんだけどね。


赤︎︎ ♀「ないくん、中学校に行ってもずっと一緒だよね?」


ある日急にそう問われた。

小学六年生とは思えないその雰囲気は一瞬りうらじゃないんじゃないかと疑ったが目の前の彼女は紛れもなくりうらだ。

もちろん俺の回答は一択しかないわけで


桃「当たり前じゃん」


なんて言いながら勢いで手を握っちゃった。

そしたらりうらは顔を真っ赤っかにして離して!なんて言うからいつものりうらだな。なんて勝手に安心しちゃった。



そうして一気に卒業式、中学校入学式と来て中学校に慣れ始めた時のこと、事件は始まったんだ。


「大神さん最近来ないねー?」

「ねー!何かあったのかな……」


なんてヒソヒソと話している女子の声が耳に入ってくる。

そう、りうらはここ数週間前から1度も学校に来ていない。

なんなら俺でさえも顔を合わせていない。

心配になってりうらん家まで行ったこともあるが、りうらの親に適当にあしらわれておしまい。

俺、りうらにきらわれるようなこてしたってけなぁ。


なんてまだ呑気に考え事できてたのがこの頃だった。




りうらが学校に来なくなってから4ヶ月

夏休みも挟んで二学期がついに始まった。

夏休み明けに来てくれたりしないかなぁって考えたがやっぱりダメ、来なかったようで少し先生も元気無くしてた。


でもある日いつものように家に帰ったら母さんが驚くほど泣いてたんだ。


「りうらちゃんッ……入院したんだってッッ……!」


俺はしばらく何も考えられなかった。

入院?そんな素振り学校に来なくなる前までは見せてくれなかったじゃないか。

それに前家に行った時になにか事情を伝えてくれればよかったのに。

なんてりうら達のことを責めるようなことばかり考えてしまう。

……本当はわかってるさ、りうらが入院したことが信じられなくて相手のせいにしないとダメになっちゃうくらいメンタルに来てたことも全部。


その日から俺はりうらのお母さんに入院している病院を聞いて毎日お見舞いに行った。

綺麗で細かった腕には血液のなにかが刺さっていて血を補給しているっぽい。

オシャレが何より大好きだったはずなのに病院のあの服を着せられててオシャレとは言い難い状態に。

嗚呼、なにがあってこうなってしまったんだ。って毎日来る度に思ってしまう。


赤︎︎ ♀「あはは、また来てくれたの?」

赤︎︎ ♀「毎日来てくれてんじゃん笑」


って笑いかけてくれる。

その笑顔に不覚にも胸が擽ったくなるような感じになって思わず合わせていた目を逸らしてしまう。

そうすると不思議そうにこちらをのぞき込むような形でまた目を合わせようとしてくるから本当に罪深い女の子だ……


桃「調子は大丈夫? 」

赤︎︎ ♀「うん!めっちゃ元気! 」

赤︎︎ ♀「早く退院したいな〜」


なんて言う声は今にも消えてなくなってしまいそうにか細く、彼女の目線も下で本当に暗い気持ちになっているんだろうってすぐにわかった。

それも無理もない、好きだったはずのオシャレは封印されて、体には機会の何かを付けて食べ物も好きな物じゃなくて制限されたヤツを食べさせられる。

それに規則正しい生活を送らなきゃ行けないから休日も6時とかに起こされることよくあるよだなんてこの前笑って愚痴ってくれたな


桃「りうらが退院できたらパーティーだね。」

赤︎︎ ♀「ふふっ、まだ食事制限かかってるかもよ?」

桃「だったら健康的なパーティーにしよう!」


なんて言うと彼女はげらげらと笑い出すから心の底から安心したような気持ちになる。

…不意に頭を撫でたくなる衝動に駆られ、彼女の気に入ったヘアセットを崩さないように毛並みに沿って頭を撫でると彼女はぱぁーと明るく嬉しそうな顔を見せる。


赤♀「なぁに?りうらの頭撫でてもなにもないよ?」

桃「俺がしたいだけ」


昔から妹属性の彼女はこういう風に甘えるようなことが好きで、頭を撫でたり、…今はできないけど昔はハグしたりなんてしてたかな。流石に今はできないけどね。立派な中学生だし。

俺だって思春期な男子中学生だ、女子にボディータッチなんて恥ずかしいに決まってる。

…でもまぁ、俺はただただ幼馴染としてみているか?なんて聞かれたらそれはYesとは言えないんだけどね。


赤♀「ふふっ…ないくんの変なの」

桃「別にいいさ、変なもの扱いされたって」


俺が頭を撫でたくなったのは不意に、それもあるが、…今ここで手放したら居なくなりそうだったから。

なんて言ったら縁起が悪いかな。


今日はそこまでにして病室をあとにしようと立ち上がって病院の扉に手をかけた時。

ずっとその日は俺から声をかけたり行動を起こしていたりしていたのにこの時だけはりうらからだった。


赤♀「…りうらがずっとこのままでもないくんは一緒に居てくれるよね?」


不安そうに、声が震えていた。

…昔、言われた言葉を思い出す。

『 中学校に行ってもずっと一緒だよね? 』

卒業間近の小学6年生だったときのりうらの言葉。


桃「当たり前じゃん、ずっと側に居てあげる。」


なんて返して俺は病室を出た。

何故か最後に彼女の顔が見れず逃げるように出てきたあとの心臓はバクバクと鳴り続けていた。

なにも悪いことをしたわけじゃない、なんなんだろうこの気持ち。




俺はすっかり卒業し高校1年生。

そのクラスメイト表には何度も何度も、別クラスを探してもりうらの名はなかった。

そっか、あの子はずっと病院にいるから高校に入学できなかったのだろう。

ここは公立だし、すぐに上がれる高校だ。外れたっていうことも…りうらのことだしないだろう。

…早く治ってこっちに戻ってきて早く学校で笑い合いたい。


桃「……」


俺はその高校の入学式からずっと気持ちは暗いままだった。

…誰にも心配かけないように、最初の日から暗かったら絶対にいじめとかに合うに違いない、と考え最低限の明るい自分を装って最初の2ヶ月は過ごしていた。

それでもやはり俺は人間だ、普通の人間だ。

疲れた。なにもしたくない。人間関係が面倒くさい。

なんてそんなことばかりを考えるようになってしまった。


桃「…り、ぅら…」


それでも俺はりうらのお見舞いに行くことはやめなかった。



ガラガラッ…


赤♀「…! ないくん…!」

桃「りうら…!」


入院したときとは比べ物にならないくらいのやつれ具合。

ほっそりとして可愛い!なんて女子が言えるほど可愛い痩せ方していない。明らか不健康な痩せ方していて誰もが心配になる痩せ方している。

…そういえばりうらがここに入院した理由ってなんなんだろう?

なにもわからずずっとここに通ってきたが事故なのか?病気なのか?なんなのかわからない。

でも輸血…しているし、なんなんだろう?貧血でここまで長引くようなものなのだろうか…


桃「ねぇ、りうら。りうらはなんの理由で入院しているの?」

赤♀「……んー」


なんて聞くと考え込むような姿勢を取る。

聞いちゃまずいこと聞いちゃったかな…


桃「あ、嫌だったら答えなくていいよ…!俺がただただ気になっただけっていうか…」

赤♀「なんかね、正確にはあんまりわかってない…らしい?」

赤♀「白血病…詳しく言うと『 慢性リンパ性白血病 』っていうやつの可能性があるらしい…」

赤♀「けどこれってりうらくらいの年でなる可能性って低いらしいから無いとされていてわかってないんだよね…(笑)」


『 慢性リンパ性白血病 』

俺も少しだけ気になって病気について調べた時に出てきた。

確かにこの病気になるのは50代からくらいからがなりやすくて若い年齢の子たちはなりにくいって書かれてた。

…でも、慢性リンパ性白血病は進行が遅いから長期間に渡っての治療になるって聞いたことある。若い子たちは特に。

やっぱりそれなのかなぁ…


赤♀「でも、もしそれだったとしたらりうらラッキーじゃない?(笑)」

赤♀「りうらね、調べたんだけどその病気になるの1〜2%くらいだって言われてるんだって!」

桃「いやいや…ならないに越したことはないよ…(笑)」


今もしそれにかかっていなかったらりうらも普通の高校生としてまた同じ学校に通えたかもしれない。

それに義務教育も中学まるまる受けれてないのと同じくらいの欠席数。

これじゃあ高校にも上がれないんじゃない…??


赤♀「でもさ、病院に居てもないくんは毎日来てくれるからしんどいことも頑張れるんだ」

赤♀「…病院に居てよかったなんて思ったことはないけど変わらずないくんが会いに来てくれてるから嫌だなって病みそうになったことはないかな。」


まっすぐこちらを見てくる彼女は凛とした瞳をしていて美しかった。



彼女の病気はどんどん良くなっていった。

最近の医療技術というものは素晴らしいもので俺が高2になる頃にはもうほぼ完治したような状態だった。


桃「…りうら、立てる?」

赤♀「んしょ…っ、……あわっ!?」


どさどさ…と音を立てて俺の方へ倒れ込む彼女。

こりゃあリハビリっちゅーもんは大変なんだなぁ…なんて考えながらもサポートをして車椅子の方へ座らせる。

そりゃずっとベッドだったわけだし力も入らなくなるんだろうな。


桃「…頑張って治してこうな(頭撫」

赤♀「…!! うん…!」


目を輝かせてそう頷く彼女はいつまで妹属性なのだろう。




そこから数ヶ月。りうらは必死にリハビリを頑張ってようやく退院。

もう今から高校に行ったってだめだから家で家庭教師呼ぶなりなんなりして勉強するらしい。

彼女が数年ぶりに家に帰った時、めちゃくちゃ泣いていた。ついでに俺の家に来たときも。


赤♀「…ぅ”~~っ…泣」

桃「まだ泣いてんの…?笑」

赤♀「だってぇ…ッ!泣」

桃「いや理由はわかってるよ、わかってるけどね…?」


なんて言いながらまた頭を撫でてやる。

泣きやめ〜泣きやめ〜!

俺のすきなりうらの表情はそれじゃないよ、とびっきりの笑顔を見せてほしいな。


赤♀「…っ、ないくん…話したいことがある…っ”(微泣」

桃「ん?いいよ、いっぱい話そ。」

赤♀「そうじゃなくて…! 大事な話…(泣止」

桃「…? いいけど…母さんたちいるよ?」

赤♀「ぁ…、ごめんママとないくんのお母さんたち…出ていってもらっていい?」


なんて言うとみんなOKして4人とも出ていった。

…りうらと2人きり、…か…////

なんか慣れっこだと思ってたけど俺の家で2人きりなんて少しだけ照れるなぁ…笑


赤♀「あ、あのね、りうら勉強してないバカで運動もできないドジなりうらだけど…」

赤♀「…ぅ、な、なぃくんのことが…すき。」


素直に言葉を伝えてくれて、照れ隠しで笑ったり、泣き虫だったり、俺といるときは幸せそうにたくさん笑ってくれる。そんな彼女が俺の中で一番大好きで愛してる。



end





( 5000字あるにしては結構早く仕上げられた ‼️ 💪🏻🌟 )

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