テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
捕獲器の扉がしまった。
中に入っていたのは薄汚れた子猫。とても幼い顔をしている。ここの辺りの猫は全て避妊去勢手術してあるのでどこからから流れ着いたのだろう。捕獲器をしかけた原松瞳美(はらまつひとみ)は急いで動物病院へ連れて行った。
ノミダニ、栄養失調で、猫風邪のかかりかけ。それ以外はなにもなかった。
目は綺麗な黄色。キジ白という柄でずれたハチワレだった。28歳。独身の瞳は親友、小鳥遊羅蘭(たかなしららん)に連絡をした。羅蘭はすぐに来た。羅蘭は瞳より9歳年下。今は19歳。車の免許をとったばかりだ。
「羅蘭。名前つけてくれる?」「いいの?じゃあね…ほたる。」「ほたる?」「そ、そう。光がいいなって思って、光るのは、ランプとか電気とかあるけどそれで一番かわいいのはほたるかなって」「いいね!ありがとう!」羅蘭がほたると名付けた子猫は人が少し苦手だった。近づきすぎると小さく、「フーッ」と唸る。それでもさらに近づくと小さな手で猫パンチしてくる。小さく威力も弱いとは言え、引っかき傷ができるとひりひりする。するとその噂をどこから聞きつけたのか羅蘭がまた訪ねてきた。「ほたる、どう?」羅蘭が心配そうに聞くと、「うーん。まだ人は苦手かな」と瞳は答えた。「そっか…ねえ、ちょっと私に人馴訓練させてくれない?」「え?いいの?引っかかれるとああ見えても痛いよ?」瞳は心配そうに言ったあと、洋服をまくって腕を見せた。そこにはたくさんの小さな赤いミミズ腫れがあった「ほら。これ、全部ほたるにやられちゃって」「それは痛そうだね‥ま、でもちょっとまかせてよ」羅蘭はウィンクして見せた。
瞳が、いったい羅蘭はどうするのだろうとワクワクして見ていると、羅蘭はケージから少し離れた床で、ごろんと横になった。これには瞳も開いた口が塞がらなかった。「え?えっ?ら、羅蘭?」「どうしたの?ひーちゃん」羅蘭はこともなげに答えた。「何してるの?」「何してるのって寝っ転がってるの。この方が警戒しなくない?」羅蘭の言う通りだった。ほたるは毛づくろいをしはしめたのだ。「ほんとだ…羅蘭?保護活動してる?もしかして?」「…そだよ。犬猫両方だよ」「どうりですごいわけだ」
それから羅蘭とほたるは順調に仲良くなった。なんと一時間三十分でゴロゴロ甘えん坊に。瞳にも甘えるようになりました。それからの羅蘭のあだ名は、「猫魔女様」となりました。
それからほたるの人好きは上昇中。そしてこのほたるこそが瞳の今まで置きた大事件トップスリーを生み出すんですが、それはあとで。
初の譲渡会。二人が申し込んで来た。最初は、独身の女性。元々飼っていた子をなくし、新しい子を探していたという。
二人目は、同じく独身だが男性。前まで親が飼っていたが、一人暮らしを始め、飼おうと思ったらしい。
どちらもいい人だったため、瞳はさんざん悩んだ末、男性になった。
トライアルも終わり、正式譲渡となりましたが、瞳はずっとほたると一緒にいられるようになりました。理由は、ふたりとも独身。それで男性の保森屋小次郎(ほもりやこじろう)が瞳に一目惚れし、結婚に至りました。
ほたるはもう立派な大人の猫になりました。やんちゃで遊び好きなのはかわりませんが模様もはっきりでており、猫パンチの威力もとても強くなりました。
コメント
34件
ほたるっていいね!