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「今、ダイエットしているから喜んで一緒に行くよ」
「頑張ってますね」
地味だった圭翼くんは長い前髪を切って、爽やかな人に変わった。
前よりずっとかっこよくなったと思う。
そして、暗かった声のトーンが明るくなり、素敵な顔で笑うようになった。
あと、色んなことを話していくうちに温厚篤実な人だということが分かった。
「最初は大人しい人なのかなって思いましたけど、本当の明香里ちゃんって明るくて、向上心がある人だったんですね」
「そうかな。初めて言われたよ」
「お洒落で髪も綺麗で……。
色んな人に話し掛けられるほど人気者になりましたね」
「褒めすぎだよ。……でも、前より今のほうが自分らしく生きているような気がする」
「俺も同じ気持ちです。
明香里ちゃんがいてくれたから、行動に移すことができました。
ひとりだったら、だらだらしてできなかっただろうなって」
「わたしは、圭翼くんのおかげで失恋から早く立ち直れた。
あの時、変わろうと思わなかったら、わたしはダメな自分を責めて、毎日泣いていただろうね。
さあ、散歩に行こう」
「もう立ち直ったんですか……。って、明香里ちゃん、待ってくださいよ」
圭翼くんに負けないようにわたしも努力していく。
過去の自分から、なりたい自分に変わるために……――
水曜日。大学の食堂に行って、窓際のテーブル席を見る。
すると、拓海くんだけではなく、和美も座っていた。
恐れることなく、ふたりのもとに行って笑顔を向ける。
「和美」
久しぶりに元親友の名前を呼ぶと、今度はちゃんと顔を見てくれた。
「前はずっと一緒にいてくれてありがとう。
和美のおかげで大切なことに気づけたよ」
「明香里……」
和美は動揺しているみたいだ。
それでも気にせず、わたしはチョコレートムースを二個、テーブルの上に置いた。
「拓海くん、前にチョコムースをくれたでしょ。そのお礼。和美と食べて」
「えっ? ……ありがたくいただくよ。
永野さん、急に明るくなって美人になったよな。びっくりしたよ。
そうだ。連絡先を交換してもっと仲良くなろう。
今度、デートに――」
「ごめん。気になる人ができたから」
すぐに断ると、和美と拓海くんはぽかんと口を開けた。
わたしは胸を張って前を向き、ふたりのもとから立ち去る。
告白して振られた時、心が折れそうなくらいつらかった。
でもそのおかげで、わたしは変われて、強くなれた。
一度折れた翼はもとに戻らないけど、きっとまた空を飛びたくなる。
次の恋に向かっていくように……――
「圭翼くん」
「探しましたよ。コンビニでコーヒーを買ってきたんですけど、明香里ちゃんと一緒に飲もうかなと思いまして。
調べたら、コーヒーはダイエットにいいらしいです」
「わぁー! 嬉しい。
……ねぇ、圭翼くん。
まだチャンスがあるかって話、今も変わってなかったりする?」
「それって、まさか……」
「もし変わってなかったら、真剣に考えたいなって」
―おわり―
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