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7月13日(月)
蘭は、ずっと気づいていた。
教室の空気が変わったことに。
誰かがはっきり言ったわけじゃない。
でも、もう誰も否定できない空気ができていた。
「いじめが始まった」と、みんなが思い込んでいる空気。
先週の出来事はもう「噂」ではない。
かといって「事実」と呼ぶには、まだ曖昧なまま。
あれからこさめは毎日捺といるまに呼び出されているようだ。
その境界線の上に、全員が立っていた。
そしてその線を、らんだけがはっきり見ている。
言葉にならない焦りだけが、胸の中に残っていた。
『こさめの笑い方が、最近少し違う。』
それが思ったより嫌だった。
◇◇◇
休み時間
蘭は机に手をつく。
蘭「……このままじゃまずい」
誰に向けるでもない声だった。
こさめは被害を受けているように見える。
捺は追い詰められているように見える。
いるまは守ろうとしているように見える。
でも、その“見えるもの”同士が、どこかで噛み合っていない。
全員がそれぞれの正しさで動いていて、
そのせいで余計に壊れていく。
蘭は思う。
(止めないといけない)
でも、どう止めればいいのか分からない。
蘭「なあ、こさめ」
こさめが顔を上げる。
こさめ「っ、何?らんくん」
少しだけ警戒した声。
蘭は慎重に言葉を選ぶ。
蘭「なっちゃんといるまのことなんだけどさ」
こさめ「……うん」
空気がわずかに重くなる。
蘭「俺、先生に相談したほうがいいと思うんだよね」
その言葉に、こさめの表情が一瞬だけ固まる。
こさめ「いやっ、大丈夫だよ!」
すぐに返事が飛ぶ。
強いというより“そう言わなきゃいけない”ような速さだった。
こさめ「ちょっと喧嘩しただけだし」
「こさが変なこと言っちゃったから、それだけだよ」
言葉が軽くなるほど、無理が見えていく。
こさめ「すぐ元に戻るよ」
「だから、らんくんは気にしなくていいよ」
蘭は少しだけ黙る。
蘭「……うん」
そう言うしかなかった。
蘭「でも、辛くなったら言ってね」
こさめ「大丈夫だよ~」
こさめは笑う。
こさめ「らんくん、心配性だな~」
その笑顔は、いつもと同じようで少しだけ違っていた。
(本当に、大丈夫なのかな)
◇◇◇
放課後
尊琴「なぁ、すっちー」
須千「なぁに、みこちゃん」
教室の空気が少しだけ緩む。
尊琴「こさめちゃんの件、どう思う?」
須千が一瞬だけ間を置く。
須千「あー….あれはもう、いじめられてるよね」
その言葉は迷いがなかった。
尊琴「だよなぁ!」
尊琴の声が少し上がる。
尊琴「俺、こさめちゃん助けてあげたい!!」
須千は少しだけ首をかしげる。
須千「……助けるって、具体的にどうやって?」
尊琴「うぇえっ!?それは~えっと……」
尊琴の勢いが一瞬止まる。
須千「みこちゃん一人じゃ無理だよ」
須千は静かに言う。
現実を壊さない声だった。
尊琴「だ、だよなぁ……俺一人じゃ無理だよね!」
少し沈黙。
須千「だ~か~ら」
須千が軽く笑う。
須千「俺も協力するよ」
尊琴「えっ、いいの!?すっちー✨」
尊琴の顔が一気に明るくなる。
須千「いいに決まってるでしょ。心配だし」
尊琴「で、どうやって助けるん?」
須千は少し考えてから言う。
須千「まずは、こさめちゃんがどこでそういうことされてるか知りたいから、」
「今日、尾行しよう」
空気が一瞬だけ止まる。
尊琴「さっすがすっちー!頭いい!!」
須千「いや、そんなことないよ」
須千は軽く笑う。
その会話の奥で、こさめが廊下を歩いていた
尊琴「あっ、こさめちゃん出て行った!」
尊琴が立ち上がる。
尊琴「追いかけよ!」
そして、二人は動き出す。
その行動が“助け”なのか“加速”なのか、まだ誰も分かっていないまま。
next→♥300
コメント
8件
おはよう! ♡300にしといたよー! 思い出してんけどさ、めー受験勉強いける? まだ半年以上あるって思うかもしれんけど、正直直前の100日よりも半年前の方が大事やから全然無理して出さへんでもいいねんで? 無理しちゃだめやからな!
初コメ失礼します✋️更新ありがとうございます!ほんまにこのお話大好きで、内容とシチュも自分好みすぎました✨️めいさんのペースで投稿頑張ってください!!
第8話読み終わりました。「いじめが始まった空気」って表現、すごくリアルで胸が苦しかったです。誰も言わないけど全員がその線の上に立ってる——蘭の視点がずっと効いてて、特にこさめの「大丈夫だよ」が速すぎるところ、読んでて「うっ」となりました。そして尊琴と須千……善意が「尾行」って形になるところ、あれがどう転ぶのかすごく気になります。止めたいけど止め方がわからないもどかしさ、よく描けてますね。続きが待ち遠しいです。
白玉くん
67
66
ことみ
74