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応接室に戻ると、王子様達が心配そうに、何があったのか尋ねてくる。
そもそも、あいつらみたいなストリートチルドレンは、国が面倒みるべきなんじゃねーのか?
「あー…カエンとウチのダンジョンメンバーが街でストリートチルドレン4人も拾って来ちまって。ウチで引き取るよう、ごねられてるんです」
意味ありげに王子様を見ると、さすがに気まずいのか、目を逸らされた。
「この国って、孤児院とか無いんですか?」
ズバリと切り込むと、王子様は顔をしかめながら、こう説明してくれた。
「あるけど…数が圧倒的に少ないんだ。税金少なくて住みやすい代わりに、公共事業が手薄なわけ」
なるほど、国に金がないんだな。
「貿易や観光みたいな財政の柱が乏しいからさ、国もお金がなくて、何も出来ないの。代々の王も人がいいから、献上品とかも要求しないし、出店許可とかにもお金とらない」
王子様はそれが不満なようだ。街によく出掛けてるみたいだから、公共事業の必要性を肌で感じているんだろう。
…そうか、今腑に落ちた。
さっき練兵場の構想を聞いた時、王子様は「闘技場に出来るように」って言ってた。王子様はこの機に、金を稼ぐ手段を増やすつもりなんだな。
「アライン様、国には金が必要です。さっきの闘技場、本気で考えましょう」
えっ?と王子様が顔をあげる。
「国に金が出来れば、孤児院も建てられますよね」
この様子じゃ、今あいつらを孤児院に…ってわけにもいかないようだ。腹を決めるしかない。
「…ハク?」
丁度いいタイミングで、ゼロが応接室に入ってきた。
「ああ、ゼロ。どうしたいか、考えは纏まったか?」
「うん、やっぱり僕、4人ともウチで面倒みたい」
だろうな。
「俺は説得できそうか?」
「多分。受付フロアにあの子達の寝泊まり出来る部屋を作ろうと思うんだ。生活エリアに入れなきゃ大丈夫でしょ?」
もちろん、そこは最低限守って欲しいラインだ。
「で、ウチで働いて貰おうと思う」
ほう。働かざるもの食うべからず。
その考えは賛成だ。
「二人はカフェの洗い場。二人はオーダー係で、シルキー達に教育してもらう。住み込みでお小遣い付きなイメージ?」
金があれば、スリもしなくて済むという意味だろうか。リーダー格の少年はあの生活が長そうだ。そう簡単にいくかは分からないけどな…。
「で、毎日お仕事終わったら、ルリに行儀作法や読み書き計算を教えて貰おうと思って。ブラウも一緒に」
教育は大事だからね、とゼロは笑って言った。まぁそれだけ詰め込めば、余計な事を考える暇も無いだろう。
「そこまでは分かったし、いいと思う。だがな、俺が反対してる一番のポイントは、お前のガードの甘さだからな」
「えっ!?僕?」
自覚なしか…。世話の焼ける。
「相手が子供でも油断すんな。お前の命は、俺達全員の命だと自覚しろ。絶対一人で行動すんな。…以上だ」
本当はゼロだけじゃない。俺達皆、多分危機感が薄いんだ。普通のダンジョンなら、毎日が殺すか殺されるかの、命のやり取りで過ぎて行く。
俺達も今はまだオープンしてなくて、一部の協力者にしかダンジョンだと知られてないから平和だが、本当はオープンしたら、冒険者達に狙われる事もあり得る。
王室の練兵場を併設すれば、王室との連携が深いアピールにもなるし、俺達は多分もっと慎重に、危機感を持って行動すべきなんだ。
ゼロはシュンとして、「分かった…。自覚する」と呟いた。
「そんじゃルリとブラウに、あいつら風呂に入れて、ピカピカに磨くように言ってやれよ」
ゼロは跳ねるように「言ってくる!」と飛び出して行った。
やれやれ…。
振り返ると、王子様とユリウスが好き勝手な事を言って笑っていた。
「やっぱりユリウスみたいだな。俺様っぽい!」
「失礼な。私は必要時にはアライン様を立てております」
「必要な時だけだろ!」
ユリウスと一緒にされるとか、こっちも心外だよ!…怖いから言わないけど。
「お聞きになってたと思いますが、孤児院はムリみたいなんで、4人はウチで引き取ります。子供を働かせますけど、文句言わないでくださいね」
「分かってるよ、もう…!イヤミなヤツだな…」
王子様が憮然とした表情で承認してくれたところに、ゼロが楽しげに戻って来た。
「お待たせ~!」
「ヤケに楽しそうだな」
「あはは、お風呂に入れてやって、って言ったらルリが張り切っちゃって。受付フロアのシルキー用のお風呂、今叫び声が響いて大騒ぎだよ~。ルリ、最強だね!」
うわぁ、ご愁傷様…。あの生意気なガキも、ルリには逆らえまい。ピカピカになって出てくるがいい。