コメント
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これ、好きですぅ
「おーい、皆静かにしろー。」
あの日も、いつもと変わらない…そんなはずだった。どこにでもある普通の学校の風景…はたからみれば、そんな感じだったろう。だが、あの日だけは僕には違って見えたんだ…
僕は生まれつき変な音が聞こえる。本当はずっと前から気づいていた。この音は人の心の音だということを…僕の母は、ずっと働き詰めの生活を送っていた。そんな母に僕が手伝いをするよ!と声をかけると母はいつも優しい目を向けてきた。その時気づいたんだ。心の音がとても優しく響いたから…でも、これはいいことばかりを呼ぶわけじゃないんだ…僕は出会ってしまった…心の音が聞こえない君と。
「転入生を紹介するぞ、入ってこい。」
ざわつく教室。皆でどんな子が来るのか話している。そして君は…教室のドアを勢い良く開いてきた…まるで僕に新しい景色を見せようとでもするかのように、僕の目の前を照らす光なんだと告げるようだった。思い返してみれば、君は昔からそんな奴だったな。転入初日で教室のドアをガラッと開けたかと思うと、そのままずっこけてみんなの笑いものになった。でも君は何もなかったように、
「綾瀬真白です。今日から数ヶ月よろしくおねがいします。」
数日後
君は皆の中にすぐに馴染んでいた。僕とは違ってみんなと仲良くする君。でも、それ以上に心の音が聞こえなかった君…
僕にとって初めての人物で、僕の中には恐怖心が芽生えた。はっきりと言ってしまうのならば「怖い。」そう、怖いのだ。今まで当然だったことが当然じゃなくなってしまったことが…
僕は、君を怖がってしまった。僕の生活をすべてひっくり返す君が、どれほど大切な存在になるのか、僕は気づきもしなかった…