俺の部屋に入ると、俺はベッドに転がった。
「あっー、つっかれた!人の悩み相談聞くのしんど!」
「響は、人の気持ちちゃんと考えられて偉いね」
「そんなんじゃないけど…あっ奏ちゃん、適当にくつろいでね」
「うん、ありがと」
奏ちゃんが部屋の隅に座る。
「…奏ちゃん、こっち来てよ。遠いよ」
「いいよ、ここで」
「俺がさみしいの!」
「わかったよ」
奏ちゃんが微笑む。
ベッドの下に座ると奏ちゃんが俺のほっぺを優しく掴んで言う。
「響は甘えん坊だね」
「甘えたらダメ?」
「いいよ、たくさん甘えて。あっ、そう言えば」
「なぁに?」
「響、なんか今日嫌なことあった?塾迎えに来た時元気なかったでしょ」
えっ。奏ちゃん、そんな細かいとこ見てくれてるの?
相沢先輩の話とかめっちゃ無関心だったのにw
意外と鋭いんだ…。
「なんにも。もう解決したよ」
「なにそれ響、気になるなぁ」
相沢先輩が彼氏に夢中なことはわかった。
だからまぁ奏ちゃんが狙われることはないだろう。
だけどもし、相沢先輩が女でなければ奏ちゃんに選ばれた可能性はあったのか。
俺は男であったというだけで運良く奏ちゃんの恋人になれたんじゃないかという卑屈。
そんなこと奏ちゃんに話したくなかったが。
「奏ちゃんはもし…もしさ、俺が女だったら好きになってくれた?」
「うん」
「えっ、即答!?」
「女でも男でも響は響でしょ。何も変わらないよ」
「だってさ、奏ちゃんの恋愛対象って男じゃないの?」
「男だから好きになるわけじゃないし、響が好きなだけだよ」
好きって何度言われても嬉しい言葉だな。
奏ちゃんと話していると穴の空いた胸が塞がっていく。
「逆に響のほうが心配だよ。もともとは女の子好きでしょ?いつか心変わりしないかなって」
「あるわけねぇ〜。奏ちゃんでも不安になるんだ…」
「そりゃそうだよ」
「奏ちゃん、俺のどこが好き?」
「えっ…可愛いとこと〜…可愛いとこ…」
「何それw可愛いしかないの?顔がってこと?」
「逆に響は俺のどこが好きなの?」
「え〜かっこいいとことー可愛いとことー…んー」
奏ちゃんがクスッと笑う。
「ねぇ、好きに理由なんてなくない?相手の性格とか冷静に見てここが好き、とか言えないよ。存在が好きだし、欠点すら愛しい」
「確かに俺も理由なんてない…多分奏ちゃんが女でも好きになってた…。藤村奏という人間が好き」
「嬉しいな」
と言うと奏ちゃんはベッドの下に座ったまま、俺に覆いかぶさりキスをした。
俺は奏ちゃんの首に手を回して言う。
「奏ちゃん、好き。大好き」
「響、それで悩んでたの?」
「まぁ…相沢先輩にけん制されたのもあるし、毎日会ってたら恋愛寿命縮むよとか言われた…」
「えーそんなことないよ。俺は響に毎日会っても飽きないもん」
「ホントに?俺重くない?」
「もっと重くても良いぐらい」
「あっ…奏ちゃんやっぱりかなりの変態だぁ」
「前は一人で過ごすの平気だったけど響と出会ってからの方がさ、一人だと寂しくて仕方なくなる」
「あっ、それは俺もそう」
奏ちゃんが俺の手を繋いで言う。
「だから響は何も心配しないで?」
俺はずっと奏ちゃんに守られていてわからなかった。
その時の奏ちゃんの孤独っていかほどだったのだろう?
「奏ちゃんもベッドで一緒に寝よ」
「今日は帰るよ?」
「じゃあちょっとだけ。ベッドでギュっとして」
帰してたまるか。
「ちょっとだけね」
奏ちゃんがベッドに入ってくると、俺の体に手を回して抱き締めた。
「響…やっぱりこんなことしたら帰りたくなくなるんだよ」
奏ちゃんは更に強く俺を抱き締めた。
「俺を置いて帰る気?奏ちゃん、泣くよ?」
「あーまたそうゆうこと言う…」
奏ちゃんが必殺・俺の涙目上目遣いに弱いのは知っている。
そのまま俺は奏ちゃんの唇に口付ける。
「奏ちゃん、口あけて」
「ダメ。帰れなくなるから」
俺は奏ちゃんの唇の間に親指を入れて、無理やり自分の舌をねじ込ませる。
「響っ…」
舌と舌が交わる。俺に陥落した奏ちゃんはしばらくキスした後にそのまま俺の首筋を舌でなぞる。
「奏ちゃん…そこ気持ちいい…ねぇ、最後までする?」
「ダメダメ!それはまだ…準備もしてないし」
こうゆう時に思うよな。
「あ〜俺が女だったら速攻で奏ちゃんを満足させてあげられるのに…」
「えっ響、そっち側なんだ」
「奏ちゃんはどっちがイイ?」
「響に痛い思いさせたくないって」
「やだやだ!俺は断然、奏ちゃんに挿れられたい!」
「響、可愛い顔でなんてこと言うんだよ…」
今度は奏ちゃんから俺にキスする。
俺は上にいる奏ちゃんのTシャツの中に手を入れ脱がせようとする。
「今日は、手でするだけだよ」
「いいよ…奏ちゃん、俺もう限界かも…」
奏ちゃんが激しく舌を入れたキスをしながら、俺の下半身に触れる。
「奏ちゃん…んっ」
「響、大好きだよ、本当に好き…」
その言葉が奏ちゃんの心の奥から出ている言葉だと思うと胸が熱くなった。
幸せだった。
好きな人に好きになってもらえる、
愛される。
両思いって奇跡だ。
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