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「いやいや、好きにならないかい?じゃないから!如何してそんな言葉が出てくる訳?此の人の頭大丈夫なの?」
「おーい。声に出てるよ。」
つい。
「先刻云っただろう?嫌がらせだよ。君に対してではなく、中也にね!」
何だ其れ。でも、嫌がらせって事は。
「つまり、貴方は其の、中也って人の事が嫌いで、其の人も貴方の事が嫌いで、嫌がらせをしたいのは判りました。でも、其の内容は理解出来ません。如何して貴方を好きにならないといけないんですか?えっと、太宰、さん?」
「·····君、私達の事知っている感じだったよね?」
「顔は覚えていますよ。名前は覚えていても、避けるために役に立ちませんから必要ないです」
「ふぅん。まあいいや。で、何だったっけ?」
「嫌がらせの内容について」
「君可愛いでしょ。多分、中也は君が好きだよ。一目惚れってやつ。屹度、告白もする。其の時君が、私の事が好きだと云ったら如何だろう」
其れは間違いなく。
「機嫌が悪くなるでしょうね」
「ほら、好い嫌がらせでしょう?」
成る程·····?
「ところで、中也さんって誰ですか?」
「ん?其れは・・・」
「おい、クソ太宰っ!何してやがる!そいつの管理は俺になっただろ!」
突然の怒鳴り声に驚いた。振り向けば、もう何度か見た帽子。
「あの帽子置き場が、中也。じゃあそう云う事だからよろしく!またね~」
「は!?」
それだけ?他に具体的な事は何も聞いていないのだけど?それに·····
「帽子置き場って、何?」
「あ?」
「な、何で貴方が機嫌悪くなるんですか。若しかして、貴方の事ですか?」
「ちっ。太宰と何話して、」
「ふーん。そうですか、貴方がそうなのですか」
確かに帽子を被っているけれど、置くとは少し違う気がする。兎に角、此の人が中也さんと云う人だろう。
「おい、何話してたんだって聞いて、」
そして、気になる事がもう一つ。
「先刻、私の事を管理、とか云ってましたけど如何云う意味です?」
「·····手前、人の話聞けってよく云われねえか」
「さぁ、如何でしょう?」
あれ?此の遣り取り、何処かで聞いた覚えがする。
·····私も人の事を云えないみたいだ。