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宿「嬉しそうだな小僧。」
虎「あったりまえじゃん!こんな広いところで闘えるんだもん!」
虎杖は高専を出た後、森奥の広い場所へと向かった。
高専にいても今懸賞金がかかっている虎杖はみんなに迷惑をかけるだけだ。
だから自分から行って諦めさせてやろうという作戦。
虎「おし!じゃあやるかー。」
虎杖はそう言って、目を閉じた。
虎「闇より出でて闇より黒くその穢れを禊ぎ祓え。」
帷を下ろすと、呪霊が群がってきた。
虎杖の帷は少し特徴的らしく、知っているものはみんな虎杖の帷と他の人の帳を見分けることができる。
虎「ひょえー。絶対これ俺のこと知らん呪霊もいるよね。」
宿「当たり前だ。せいぜいがんばれ。」
『ア”ア”ア”ァァァ』
虎「よっと。」
虎杖は群れ上がった低級呪霊を呪力のこもっていない足で蹴り上げた。
ーバフォォォォン‼︎‼︎ー
見事吹っ飛んだ呪霊達は怯えて逃げていった。
虎「あ、祓うの忘れてた。」
虎杖はそう呟いて後ろから襲い掛かろうとしていた呪霊を今度こそはと呪力を込めた拳を1発。
何十匹もいた低級呪霊をわずか1分で虎杖は祓った。
虎「ふぅー。」
宿「小僧」
虎「んー?」
虎杖はまた準備体操をしながら宿儺の呼びかけに答えた。
宿儺は一つ声のトーンを落として言った。
宿「来るぞ。」
虎杖は攻撃態勢をとってにやりと笑った。
虎「わーってるよ。」
バフォォォォン‼︎‼︎
虎「うおっ?!」
明らかに呪力がこもっていない。
というか呪力が、ない?
虎「フィジカルギフテッド、?!」
?「あぁー相変わらず気づくのはえーしすばしっこいな。」
もはもはとたちこもる煙から現れた人物は少し伏黒に似ていて、9割が筋肉なんじゃないかと思われるほどのマッチョだった。
虎「誰だよ」
謎の人物は偉そうな目で虎杖を見下して名を名乗った。
?「俺は甚爾だ。」
虎「…?」
虎杖にはその甚爾という奴はわざと自分の苗字を言わなかったように感じた。
明らかに年上だと思った虎杖は甚爾をさん付けすることにした。
虎「その、とーじさんも俺の懸賞金を狙ってきたわけ?」
甚爾は笑った。
甚「んなけねぇだろ。俺は賞金じゃなくて“お前等”目的だよ。」
虎「え、俺達?」
虎杖がきょとんとした顔をしていると、いきなり口が現れて宿儺が発言した。
宿「お前は禪院家の野郎か?」
甚「もう禪院じゃねぇよ。」
宿儺は少し黙った後、にやりと笑って呟いた。
宿「…そうか。」
虎「???」
まるで旧友のように会話をする2人、そしてその会話の内容に余計疑問が増えた虎杖はとりあえず気になっていたことを聞いた。
虎「で、とーじさんは俺の敵?味方?」
甚「どうだろうな。お前が俺のところに来てくれるんだったら闘わなくて済むが、拒否するんだったらお前さんの敵だな。」
虎杖は渋い顔をして考えた後、けろっとした顔で甚爾をまっすぐと見つめた。
虎「じゃあ敵だな。」