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ピピピッ
早朝、目覚ましの音が部屋に響く
時計を見ると、6:31と表示されている
今日はクリスマス
どうしてクリスマスまで学校に行かないといけないのだろう
クリスマスくらい、家でゆっくりしたいのだけど
…まあでも、学校の友達とそんな話をするのが楽しみな気持ちもある
年越し用のショーの相談もしたいと思い、まだあらすじ程度の脚本を手に取る
洗面所へ向かい顔を洗う
リビングからトーストのいい匂いがする
類母「あら類、おはよう」
母にそう言われたので自分もおはようと返す
類母「あ、そうだ」
何か思い出したように母そう言った
類母「今日、類が良ければ草薙さんちと一緒にクリスマスパーティーでもどうかって」
類「…おばさんたちと?」
僕はそう聞き返す
類母「えぇ、ちょうどよかったわ〜、パウンドケーキ分量間違えて作りすぎちゃったのよ」
類「そうか…」
トーストを温かいお茶で流し込み、鞄を持つ
類「楽しみにしてるって伝えておいて」
いってきます、と言い玄関を出た
いってらっしゃい、と母の声が聞こえた
ドアを開けると、長い癖毛の女の子がこちらを見た
寧々「おはよ、類」
幼馴染で、お隣さんの寧々だ
類「おはよう寧々、寒いね」
そうだね、と赤くなった鼻でこちらに笑いかけた
寧々「類、パーティーのこと聞いた?パーティーってほど豪華なわけでもないけど」
類「あぁ、聞いたよ。楽しみにしてる」
寧々「そう、よかった」
そのままほとんど無言で学校へ歩いて行く
雪こそ積もらないが、澄んだ空気が冷たく、本格的に冬なんだなと実感する
学校につき、またあとでと声をかけ、別れた
司「おお、類!おはよう!」
そう声をかけたのは、ショー仲間の司くんだ
類「おはよう司くん」
周りを見渡すと、手を繋ぐ男女の生徒が数組見られた
司「…?どうした類」
類「あっ、いや…いいなと思って」
きっとこの人たちは、自分の想いを伝えた、勇気のある人だ
僕にそんな勇気はなかった
司「ふむ…類にもそういう人がいるのか?」
類「おや、バレていると思っていたのに」
司くんにはとっくにバレていると思っていたが、どうやら違ったらしい
司「類は恋愛に興味がないように思えてな」
類「これでも、興味はあるんだよ」
司「ちなみに…相手が誰か教えてくれたり」
類「しないよ」
食い気味に答えた
もし僕が振られたりした時に、気を使わせたくない
司「む…そうか」
類「フフ、ところで司くん」
僕は時計を指差した
類「時間は大丈夫かい?」
時計の針は、8:56を指している
遅刻まで後4分だ
司「まずい!!走るぞ類〜〜!!!」
まったく、朝から元気なものだ
そんな司くんと、笑いながら走った
司「ま…間に合った!!」
「おい天馬〜うるせーぞ」
そう声をかけられ、すまんと返す司くん
今日も1日が始まる
いつもと同じようで、少し特別な一日が
昼休み
寧々と司くんと屋上でお弁当を食べていた
今日のみんなの話題は、クリスマスについてでもちきりだ
今年も彼女ができなかった
クリぼっち
そんなクラスメイトにリア充自慢をする生徒
そんな話題で、今日も楽しく昼食をとる
類「司くんは、今日はどうするんだい?」
頬張った唐揚げを飲み込み、司くんは答えた
司「今年のクリスマスは家族と、あと冬弥も一緒だな!」
寧々「へぇ…楽しそう。天馬さん元気?」
司「あぁ!」
類「フフ、みんな楽しそうでいいね」
寧々「あ、類。今日のパーティー終わってから、ちょっと話があるんだけど、いい?」
話?なんだろうと思いつつ、あまり軽く言ったので、ショーの相談かなと思った
2-A
類「寧々」
少し大きな声で呼ぶ
僕が来たからか、教室が少しざわつく
彰人「あ、神代センパイ」
杏「神代先輩〜!プレゼントくださーい!」
寧々のクラスメイト、東雲くんと白石くんがいち早く反応した
「お!監督の彼氏ですか?」
クラスメイトの1人がそんなことを僕に聞いた
類「あぁ、いや。僕らはただの幼馴染で」
「変人ツーじゃん!監督すげー!」
彰人「おいお前らうるせぇ」
騒ぐ生徒にそう言い放つ東雲くん
いいじゃん別にと笑う白石くん
寧々はちゃんと馴染めているようで、なんだか安心した
寧々「…あ、類?」
後ろから声がしたので振り向くと、寧々が立っていた
寧々「ごめん、待たせちゃった?すぐ準備するね」
ヒューヒューと茶化す生徒
否定する寧々
注意する生徒
面白いクラスだな
寧々は怒っているようで、どこか楽しそうだ
嬉しい
寧々があまり人見知りをしなくなって
でもどこか寂しいのは
なんでだろうね、寧々
帰り道
また会話はほとんどないが、気まずさがなく安心感が強い
この空気感が、僕は好きだ
寧々「じゃあ類、また後で」
類「あぁ、また」
寧々が家に入ったのを確認する
僕は続いて家に入った
類母「草薙さんお邪魔します〜」
寧々母「神代さん!お久しぶりです」
寧々父「あ、類くんちょっと待ってて、寧々呼んでくるから」
そう言って階段から寧々〜!!と大声で呼んだ
2階から今行く〜!!と言う声がした
夕食
メニューは某フライドチキンチェーン店のファミリーパックだ
寧々母「ちょっと類くんまた背伸びたんじゃない?」
寧々父「はは、ちょっと前まで俺の方がデカかったのにな!」
おじさんとおばさんがそんなことを話す
類母「寧々ちゃんよりちっちゃかったのにね〜…」
寧々「野菜食べないのになんでこんなに…」
類「成長に野菜は必要ないからね」
寧々「あるでしょバカ」
類父「そうだな類、俺だって野菜食べていないのにデカいからな!」
類母「お父さんは横にでしょ」
ははは、と笑い声が部屋を包む
こんなふうにしたのは何年ぶりだろう
寧々父「神代さん、年末も今日みたいにしませんか?どっちかの家に集まって」
類父「いいじゃないですか!なあ、母さん」
類母「えぇ!そちらが良ければぜひ!」
寧々「いいね、楽しそう」
寧々母「やだ、今度は料理頑張らなきゃ」
類「父さん、食べすぎないようにね」
類母「また横幅が大きくなっちゃう」
寧々母「類くんは細いわよね〜」
寧々父「寧々も細いよな」
類母「やだほんとじゃない!寧々ちゃんもたくさん食べてね」
寧々「い、いや…もう」
類「僕ももういいよ、おじさんおばさん、ごちそうさまでした」
寧々「わたしも、ごちそうさま」
手を合わせて、そう言い、寧々は僕の方を見た
寧々「わたしたち、類の家行ってていい?わたしたちいない方がいろいろ話せるでしょ」
類「そうだね、僕たちはちょっと」
類母「あら類、寧々ちゃん部屋に連れ込んで何するつもり?」
寧々父「いくら類くんでもまだ寧々を渡す気はないぞ」
寧々「ちょっと!変なこと言わないでよね」
苦笑いしながら、僕たちは草薙家を後にした
寧々「お邪魔しまーす」
類「適当に座ってて、飲み物持ってくるから」
寧々「ん、わかった」
僕が持ってきた麦茶を飲み、ちょっとしたお菓子をつまんでから寧々は話し始めた
寧々「これ、プレゼント」
そう言って渡してきたのは、小さな箱
類「…あけてもいいかい?」
寧々「ん、いいよ」
箱の中には、パールのピアスが入っていた
類「…ピアス?」
寧々「うん、類いつもピアスつけてるから」
あと、と寧々は続けた
寧々「パール、六月の誕生石だから」
類「へえ、調べてくれたんだね。ありがとう寧々」
寧々「後ででいいから、クリスマスのピアス、意味調べといて」
類「…?わかったよ」
そして僕は部屋の引き出しを開け、袋を寧々に渡した
類「僕からのクリスマスプレゼントだよ」
寧々「え、類もくれるの?」
類「気に入ってもらえるといいけれど」
寧々は袋の中を覗き、こちらを見た
寧々「マフラー?」
類「どう、かな」
寧々「…可愛い」
類「気に入ってもらえたみたいだね。よかったよ」
ふふ、と笑って
寧々「類の色だね」
と言った
…あぁ、ずるい
僕が選んだのは、紫と水色のチェック柄
なんとなく僕の色だと思って、それをプレゼントするなんて
気持ち悪いかもと思った
でも寧々は、こんなに嬉しそうに笑っている
それだけで、僕は
寧々が家に帰り、父母も帰ってきた
類母「寧々ちゃんに何もしなかった?」
類「僕をなんだと思って…」
そんな会話を母と交わす
類父「でも、プレゼント渡したんだよな?」
類「あぁ、うん」
類父「まあ、頑張れよ」
父はそう言って、僕の肩を叩いた
寝る前に、寧々の言葉を思い出した
『クリスマスのピアス、意味調べといて』
僕はスマホを手に取り
クリスマス ピアス 意味
と調べた
寧々からメッセージを受け取りました
『意味、調べてくれた?』
『そういうことだから』
『僕も同じ気持ちだよ』
寧々にメッセージを送信しました
あとがき
単発です
いろんなカップリングにハマってきましたが、類寧々がやっぱり1番ですね
クリスマスのピアスの意味はあえて伏せておきます
ぜひご自分で調べてみてくださいね
てか今年のクリスマスイベの類くん彼女目線すぎて死にました
類くんに限らず彰人くんもこはねちゃんもルカさんもあまりにも彼氏/彼女すぎますよね。私全員とデートした記憶あります
おそらく今年最後の投稿となります
よいクリスマスを、そして良いお年を
メリークリスマス!