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「ねぇ、二人の話聞きたいな」
アキの車で移動中、後部席にデンジとパワー、助手席にはフユとアキが居る。フユは後ろを振り向いて微笑みながらデンジとパワーに問うた。
「話ィ?なんでもいいっすけど」「ワシもじゃ」「うーん…じゃあ、デビルハンターになった理由とか…」
うーん、と唸りながらデンジとパワーを見つめるフユにアキは苦言を呈す。
「フユ先輩、そんな奴らのデビルハンターになった理由なんてしょうもないですよ」「え?でも聞きたいじゃない」「…はぁ」
白旗を上げたアキに微笑むフユ。そして後ろにいるデンジがあっ、と言い、挙手をする。
「フユセンパァイ!」「はい、どうぞデンジくん」「オレはぁ、死にかけてたとこマキマさんに助けられてデビルハンターなりましたァ」
ほうほう、と頷くフユ。そこでパワーも手を挙げる。
「フユ!」「はいパワーちゃん」「…ワシは、大切なものを取り返すためにデビルハンターなった」
パワーの意外な理由にビックリしたのか、フユは暫し固まったままだった。
「…フユ?」「あっ、あぁ…なんでもない、ごめんね、」「しょうもない話してるうちに着きましたよ」「誰がしょうもない話じゃ!」
***
「…廃墟か。アキ、貰ってきた書類は?」「えっと…悪魔の名称は “火事の悪魔”。既に民間のデビルハンター数名が死んでます」
火事の悪魔、と聞いた途端フユの顔が曇る。だがその後、いつも通り…ではなく、うんうんと唸り始めた。
「火事かぁ…ややこいのが出てきたな」「知ってるんですか?」「昔に一回殺した」「つか、火事って火っすよね?フユセンパイだけで行けるんじゃないすか」
デンジの言葉にパワーが頷く。アキも確かに、と思いフユを見る。確かにフユの契約している悪魔は海の悪魔だ。しかしそんな簡単な訳もなく、フユは横に首を振る。
「アイツはそんなに単純じゃない」「やっぱりそう簡単には行きませんか」「…ん?おい、なんか焦げ臭いぞ」
パワーの一言に一同は空気を鼻から吸ってみる。確かに鼻腔に焦げ臭い匂いが届いた。少ししたあと、フユはハッとしたかのように奥へ走り出した。
「…やっ、ばい、しくった…」「…フユ先輩、詳しく」「…火事の悪魔の領域に入ったら私達は既に手中の中…火事の悪魔の好きなように出来る。
…アキ、死んだ民間デビルハンターの死因は?」「…全て、焼死です」
アキの言葉と同時に、下から炎が吹き上がる。それは一瞬にして燃え上がった。
「なんでこんなに一瞬で…!」「げほっ…海の悪魔が水を自在に操れるなら、火事は火を自由に操れる訳で…」
フユが咳き込みながら言った言葉を聞いて、アキ達も合点がいったようだった。そしてアキが顔を歪めながら、フユに問う。
「つまり、殆ど逃げられないと…?」「その、通りだけど…死ぬつもりはないよ」
フユはそう言うと、親指を少し噛みちぎる。血を床に垂らすと、黒い影がフユにまとわりついた。
“何を、望む?”「完全じゃなくていい…火事の悪魔の炎を一時的にでも消して」“仰せのままに”
フユと会話を交わしたあと、黒い影は炎を包み込んだ。影は一瞬にして水に変わり、炎を沈静化させた。
「…アキ、時間が無い。なにか案は?」「…パワーの血で壁を壊して出る、と言うのは?」
フユは横に首を振る。
「昔戦った時に試したことある。駄目だった」「とりあえず上に避難、ってのはどうすか?」「いい案だけど、土台が…」
フユが思い悩んでいると、パワーが大声で挙手をした。フユがどうしたの、と聞けば、パワーはドヤ顔をして腰に手を当てる。
「ワシが作ってやる!ワシも死にたくは無いからのぉ」
パワーがそう言うと、自身の血をフユ達と自分に付着させ、巻き付ける。血が上の淵に掛けると、跳躍して上へと到達した。
「ナイスだよ、パワーちゃん」「これくらい出来て当然じゃ!」「…あ、アキ。確認が遅くなったけどここに銃の悪魔の肉片は?」「入る前に確認しました。反応ありです」「よし来た。離れてて」
フユはポケットから取り出した果物ナイフで手首を切り、先程よりも多めの血を垂らす。そうすればまた黒い影がフユに巻き付く。
“短期間で呼び出すとは…何を望む、本宮フユ”「…この建物を水で覆って、火事の悪魔を引っ張り出して」“…承った”
黒い影はすぐ様 建物を覆い、水に変わる。そうすれば、青い炎がフユたちの前に現れる。
「ようやく姿を現してくれて嬉しいわ、火事」“お前は…海か…?”「アキ、今!」「コン!」
アキの言葉と共に狐の悪魔が現れ、火事の悪魔を喰う。火事の悪魔は言葉を発する間もなかった。アキが狐の悪魔に近づく。
「喰えるか?」“…嗚呼、少し不味いが良いとしよう”
狐の悪魔が煙を残して消えると、アキとデンジ、パワーは気が抜けたようにへたり混んだ。
「はぁ…死ぬかと思った」「アキ、悠長なこと言ってないで。肉片は拾ったし早く出るよ、長居したらややこしい事になる」
……To be continued