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唐突だが、中也は仕事人間だ。
それは今に始まった事じゃないが、付き合ったら恋人である私の為に、少しでも時間を割いてくれると、そう信じていた。
でも、私の思いとは裏腹に、中也は毎朝毎晩の仕事祭り、休みがないわけではないが、休みの時は大体自分の部屋で寝ているか、軽い買い物と持ち帰ってきた仕事をするだけで、全然私に構ってくれない!
…要は社畜だ。
自分が安らぎをえる場所。中也にとっては自分の居場所。それは私と暮らす家ではなく、昔、私が中也を招き入れた場所が、中也の帰るべき場所になっていた。
寂しい、虚しい、恋しい、愛しくて、好きで、堪らない。
あんな蛞蝓なんかに抱いて、叶ってしまった劣情は、今や戻る事を知らず、大きくなって暴れるばかり。
「中也…」
ふと、本当の意味では届かない言葉が頭に浮かび、口から彼の名前が零れ落ちる。
「呼んだか?」
私は、ビクッと大きく肩をゆらして勢いよく振り向いた。
「中也、なぜ君が…まだ仕事の筈じゃ…」
「…嗚呼、それがな、此奴を預かっちまって、」
中也が両手に抱えた四角い箱に布を掛けたようなものを私の胸の前まで持ってきてかけてあった布を取る。
「猫…」
「此奴をエリス嬢が…」
ーーーー
『チュウヤ!』
『嗚呼、エリス嬢どうかしましたか?』
『この子を預かって欲しいの!』
そう言って差し出されたのは。
『…猫、ですか?』
『えぇ!怪我してるみたいだから拾ったんだけれど』
『一週間は私もリンタロウとコウヨウと一緒にパーティとかで忙しくてお世話してあげられないの。』
『だから信頼のおけるチュウヤ、貴方に預けたらどうかってリンタロウがね。お願いしても良いかしら?』
『預かるのは別に構いませんが…俺もお世話できるかどうか…』
俺も、一応幹部だ、時間は作れるが、猫の飯があげられない時があるかもしれない。
『ふふっ其処は安心して頂戴!この一週間は緊急のもの以外なら、お休みか半休だから。』
ドヤッとした顔で告げられた。
『分かりました。一週間お任せください。』
ーーーー
「ってわけだ。」
「いや、意味がわからないよ。」
「取り敢えず、うちで預かるって事でいいんだよね…」
「嗚呼。」
「あ、そういえば、おかえり」
「!…おう」
そういいながら猫を籠からだすと、猫はすぐさま中也の足に擦り寄ってゴロゴロと喉を鳴らした。
「…随分と懐かれてるようだね。」
「何故かは知らんけどな。」
中也は足に擦り寄る猫の前足の後ろ側を抱えて、猫吸いをした。
その様子に何故か…いや、理由は分かりきっているが、胸がズキリと痛んだ。
「スゥーー…はぁ、たまんねぇ。」
「…君って猫好きだったの?」
声が震えないようにいつも通りに声を発する事は、もういつも通りだ。
「いや、こうすると癒されるって首領が言ってた。」
「そう」
ふと、中也が思いついたように口を開いた。
「久しぶりになんか作るか。」
「本当かい!?」
その言葉が嬉しくて、中也の方を見た。
「嗚呼、此奴の為にな。」
「…」
「ペットフードは食べないらしくてな。手作りしねぇといけねぇ」
また、胸がズキリと痛んで、訴えかけてくる。
なんで、どうして、と…
「どうせお前はもうどっかで食ってるんだろ?」
「…嗚呼、その通りさ」
嘘だ、本当はまだ、なにも食べてはない。
いつも、遅い時間に食事を作ってる。
でも、彼が、帰ってこないから、帰ってきてくれないから、自分の分だけ食べて、あとは何もなかったように、綺麗に洗って片付けて、料理も、自分で買ってきた食材も全部捨てるかしてた。
外食した証拠として、偽造のレシートを作って机に置いて。
「…やっぱり、気付いて無かったんだね。相棒なのに。」
「なんか言ったか?」
「嗚呼、いったさ、君は何故こんなにちっちゃいんだろうってね!」
「あ”ぁ??」
『惨めね…うふふっ』
急に響いた聞き慣れぬ声に周囲を見渡して、警戒する。
「どうした?」
「…いや、なんでもない。」
中也には聞こえなかったのか…
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翌日
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「行ってきます。」
自室で寝ていた中也の頬に片づけを落として、静かに家を出る。
今日は、緊急事態だから、遅刻しないようにと、社長直々に来るように指示されている。
「good morning!!!!」
そう、大声で言いながら扉を勢いよく開く。
「…どうしたんだいみんな?」
探偵社のみんながびっくりしたような、焦ったような視線を私に浴びせる。
「だ、太宰が…」
「太宰さんが!」
「「出社時間に出勤してる!!!」」
みんなで口を揃えて叫ぶ。
「みんな仲良いねぇ…流石に社長直々に言われたら私でも来るよ。」
「なるほど、社長直々にか…それなら納得です!!」
「敦くん?失礼じゃないかい?」
「国木田君…大丈夫かい?」
私が出社した頃から時間を確認してそれが正確な時間だと認識した国木田君は泡を吹いて倒れてしまった。
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数分後
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「本題だが、最近、猫になる薬というのが裏社会で取引されている。」
「猫になる薬、ですか?」
「嗚呼、その薬は服用した人物によってかなりの差が出るらしい。」
「例えばどうなるんだい?」
「例えば、口調のみが猫になったり、耳と尻尾が生えたり、完全に猫になったり、見た目だけが猫になったりだな。」
「それの何が問題なんですか?」
「考えてみろ、自分の飼ってる猫が、暗殺者やスパイだとしたら?」
「猫の姿でも、首を掻き切ったり、情報を入手したりなら、意識さえあればできるだろう。」
猫になる薬、か…
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『惨めね…うふふっ』
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昨日のあの声は…
「…ざい!、い!」
「太宰!!」
「どうしたの国木田君」
「どうしたのではない!」
「この猫になる薬は、完全にただの薬だ。つまり、お前にもその効果が発揮される可能性が高い。」
「気を付けろよ。解毒薬がなければ戻らないからな。」
「嗚呼、わかったよ。」
「それでは。対策と回収の為、の作戦を……
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太宰帰宅
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「ただいま」
どうせ帰ってこないであろう言葉をどうしても求めていつものように呟く。
「おかえり」
聞きたかった声、そして言葉が返された。そのことについ驚いてしまい、彼の名を呼んでしまった。
「!中也…」
「どうした?」
「いや、いつもいないから、驚いただけ。」
「…そうか」
「珍しいね。君いつもは疲れたって寝てるのに。」
「まぁ、首領から猫の世話頼まれてるからな。流石に起きてる。」
リビングへと戻っていく後ろ姿。
仕事人間…やっぱり私の事は考えてないのだね、全部、あの人の命令だからなんだね、私は、君とはもう、やっていける気がしなくなってきたよ。
恋は辛いね。
ずっと胸が痛むよ。
痛いのは嫌いなのだよ。
心がずっと晴れないのだよ。
今の君には、伝わらないのかな。
『うふふっやっぱり可哀想…貴方をちっとも分かってくれない彼氏なんて要らないんじゃないの?』
「…っっ」
目に少しだけ、涙が溜まった。
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またその翌日
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中也は相変わらず預かった猫を可愛がっていた。
その様子を見ている私はどんなに惨めだっただろう。
「…太宰、俺買い物行ってくるわ。此奴の飯の材料とか買ってくる。」
「私もついていっていい?」
「駄目だ、お前は此奴の世話だ。」
「えー…私あまり動物に好かれないのだけど…」
「見ているだけでいいから、な?」
「…しょうがないなぁ…」
私はなんだかんだ、中也の頼みに甘かった。
私が承諾すると、中也は直ぐに出かけていった。
「…ねぇ、君。」
暫くして、ふと、猫に話しかけてみる。
「…」
此方を見向きもせず、中也が片付けたばかりの洗濯物の中にダイブした。
「!ちょっと、痛っ」
止めようとして手を伸ばすも、いかにも触るなと言いたげに私の手を引っ掻いた。
『彼に放って置かれてる恋人との貴方は、私に嫉妬して、私を傷つけようとして反撃された…いいシナリオが思いついたわ。うふふっ』
突然目の前の猫が流暢に喋り出し、私は唖然とした。
「は…」
そうか、猫になる薬の服用者だったか!
そう頭で納得していると、その猫はいつの間にやら中也の愛用しているナイフを取り出してきて、器用に自分の体を傷つけた。
「なにしてっ!?」
『なにって、見ての通りシナリオを作ってるのよ。うふふっ』
「忘れ物してたんだが…だざ、い…は?」
そう言ってリビングの扉を開けた中也は私達を見て固まった。そして直ぐにハッとしたように猫に駆け寄る。
猫はいつのまにか、かなり弱った様な呼吸をして呻いていた。
嵌められた。そう気付いた時には遅かった。
「っテメェ!!なんでこんな事ッッ!!」
そう言って睨みつけてくる。小さな命を大事そうに抱えて。
「私はやってないっ!」
「お前以外に誰がやったんだよっ!!俺のナイフの隠し場所知ってんのはお前だけだろっっ!!」
「その猫が勝手にっっ!!」
「何言ってんだ!遂にあたまいかれたか?!!」
私達は、遂に保っていたバランスが崩れて、喧嘩してしまった。
「…だ、」
「あ”ぁ?んだよ!」
「もう嫌だッ!君なんか知らない!もう出て行くッ」
「はぁっ!?んでそうなんだよッ」
中也が焦ったように此方に伸ばしてきた手を弾いて、探偵社寮の部屋の鍵と外套を持って玄関から外に出る。
「だざっ」
中也の焦ったような声が聞こえたが、今更もう戻る気はない。
走って、走って、中華街の路地に入って呼吸を整える。
其処から歩いて、織田作の墓へ向かう。
すると、低い声が響き、数名のガタイの良い人物に囲まれる。
「太宰治だな?」
「…だとしたら、なんなんだい?」
「大人しく着いて来い、さもなくば…」
「断るよ。せめて麗しい女性であったなら喜んでついていっただろうけどね。」
言い終わって直ぐ、拳が飛んでくる。
「君達、何者なんだいッ?」
「…」
話す気はない、か…
男達の攻撃を間一髪避けるも、また直ぐに飛んできた拳を飛んで避け、着地点で男の頭を踏みつけて、また高く舞い上がる。
「よっと」
なんとか男達の包囲から抜け出して、路地で撒こうと、直ぐ其処の角をまがる。
「!?」
目の前に映ったのは、またまたとてもガタイの良い男達が目の前に立ちはだかる。
そして、後ろにはさっきの男達が待ち構えている。
一本道の路地で人数は相手の方が有利…これは、まずいね。
すると、蹴りや拳がそれぞれ私の体制を崩そうと飛んでくる。
人数差もあり、さっきから走りっぱなしだった私は、疲れが出てしまい、お腹と顔に数発くらってしまった。
「いっ」
頭に顔を歪める。
ダメージでよろけているうちに後ろから抱えるようにして首を絞められる。
「離せッッ!!」
必死に抵抗していると、またお腹を殴られる。
「いッッたぁ!」
すると、脇腹からバチッっと、電気が体にはしった。
「い”っ!!」
体から力が抜ける。
「…確保完了しました。」
電話で話す声が聞こえる。
その後直ぐに、意識を手放した。
ーーーーーーーーーーーー
猫に太宰が怪我させた事を謝罪しに、首領室を訪れる。
コンコンッ
「どうぞ」
「失礼します。首領。」
「中也君。どうしたのかね?君はまだ猫を預かってから一週間も経っていないだろう?」
「それが…」
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説明中
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「なるほどねぇ…太宰君がねぇ。」
「はい。本当にすみません。」
「…ねぇチュウヤ」
「はい…」
「本当にそれはダザイがやったの?」
「え、それはどういう…」
「そもそも貴方、ダザイが猫を傷つけているところを見てはいないでしょう?」
「はい…」
「それだけで犯人にするのはなぜ?4年前のの貴方なら、ダザイがやったかどうかをまず本人に聞いたり、調べたりするでしょう?」
「ですがっ太宰あの場では太宰しかナイフの場所は知らない筈っ!」
「…ねぇ、中也君」
「はい」
「私も後から気付いて言えなかったのだけれどね。」
「もしかしたらあの猫、最近裏社会で出回っている猫になる薬を服用している人間かもしれないんだよ。」
「は…?」
意外な言葉に呆気に取られてしまう。
でも、そんな中でも、話は続く。
「つまりね、本当は私達ポートマフィアの情報を抜こうとして、幹部である中也君が預かることになってしまったから、中也君が持っている情報だけでもと、家を探していたのかも知らないよ。」
「…つまり、太宰が猫を傷つけたのではなく、猫自身が自傷した可能性があると?」
呆気に取られながら、腹の底が見えない首領を見つめる。
「可能性の話だけれどね。」
嘘だ。もう確信しているのが、首領の全てから読み取れる。
「そもそもの話、太宰君が自分に利益がない事をそれも自分の手でやるなんておかしいんだよ。」
確かに、太宰なら事故を装って怪我させる事もできた筈だ。
逆にそれをしなかった事に違和感が出てしまう。
「中也君。君は…否、私達は、まんまと敵の罠にかかったという訳だ。」
何をするかはわかるね、という顔で見つめられる。
「…早急に敵の組織を特定し、出回った薬も全て回収します。」
「それも大事だけど、太宰君に謝る事も、忘れないようにね」
「!はい」
そう返事をし、一礼をしてから、部屋を出る。
太宰はどうしているだろうか、会ったら、絶対に謝らないといけない。
「おや、中也ではないか。」
廊下の角を曲がると、声をかけられる。
「姐さん!」
「どうじゃ?彼奴といい休日を過ごせたか?」
「彼奴…?」
「太宰じゃよ。猫を預かっている間、太宰といつもより入れたのでないか?」
そう問いかけられて混乱する。何故、姐さんが太宰との事を気にするのだろうか、と。
「…え」
「お主は仕事人間じゃからの、猫を預らせる事を口実にしないと、なかなか長期の休みはとっておらんじゃろ?」
そう微笑みながら、数々の言葉を紡がれる。
「愛しい恋人を朝から晩まで、ずっと待っても帰ってこないのはなんとも虚しいからの、それが喧嘩や別れる原因になったりするのじゃよ…」
「わ、別れる…?」
なんとか言葉を返すが、出たのはその言葉だけだった。
「そうじゃよ。中也、お主ちゃんと太宰との時間を作って、一緒に過ごす事はしておらんかったじゃろう?」
「!」
「図星のようじゃな。そんな事では、太宰に嫌われてしまうぞ?」
嫌われる。そんな言葉に、つい反応してしまう。心当たりがあったからだ。
「あ、ねさん…もう、手遅れかも、しれません…」
焦りながら言葉を声に出す。
「…」
姐さんは無言になって、そして直ぐに、ため息を吐いた。
「何をしとるんじゃ、中也!今直ぐ探し出して謝らんかッ!」
息を思いっきり吸って怒鳴られる。
「でっでも仕事がッ」
「でも、じゃないわッ仕事ぐらい私に任せろッ!!」
すごい気迫で怒鳴られる。
「はっはい!!」
思わず、そう返事をした。
そして、太宰がいそうな場所へ、走って向かった。
彼奴の墓。
探偵社。
喫茶うずまき。
彼奴が自殺しに行く川。
探偵社寮。
その何処にも、彼奴は居なかった。
そして、探偵社には、誰も居なかった、事務員も、勿論調査員も…
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敵組織
ーーーーーーーー
…あれ、ここは何処だ…?
薄暗い、それに嫌な臭いがする。
「お目覚めか?太宰治さん」
「!?」
突然聞こえた声に誰だと返そうとしても、言葉に出来なかった。猿轡をかまされている。
「おーおー。あんまり暴れても後が怖いぜ?太宰治さん」
キッとそいつを睨みつける。
「怖いねー」
「まぁ、そんな威勢がいつまで続くか、なッ!」
鈍い音が暗く寂しい室内に響く。
殴られた。気づいたころには頭に悶えて居た。
怖い、声が出せない、暗い、助けて、中也…
「ッッ」
「いたいか?お前は痛いのが嫌いらしいなァ…目に入れるのも嫌なくらい、ボロボロにして中原中也の前に出してやるよ。」
「ッ!」
「お前ら、恋人同士なんだっけか?」
「なら、俺のモノにしても、彼奴を絶望させられるか?」
そう言って私の首を覆うように掴み、指先で首筋を撫でた。
「彼奴が来る前に、どうお前を壊そうか…考えるだけで楽しくなってくるなァ?」
中也、助けて…
そう頭で必死に念じるようにしていると、ドンッと男の後ろにあった扉が吹っ飛ぶ様にしてこじ開けられた。
「太宰さん!大丈夫ですかッッ!」
…あぁ助かった。その思いとは裏腹に、中也は助けに来てくれなかったのだと、悲しみ、裏切られた様な気持ちになった。
…どうせ、私にはもう興味などないんだろう…中也
ーーーーーーーー
一度、家に戻っても、猫を治療した包帯と、血がベッチャリと付着したままのナイフ、太宰が着ていた寝間着、それ以外には、家具が置かれているだけで、帰った時にいつも置かれてるあの薄茶色の長い外套は置かれていなかった。
ふと、モゾモゾと散らばった服の中で猫が寝ている事に気づいた。
猫は俺が帰ってきているのに気づいて、足に擦り寄って、抱っこしてというかのように、足に縋りついた。
「悪いな、今は、そんな気分じゃねぇ…」
「…太宰、テメェは一体何処に…」
すると、電子音が静かな部屋に響いた。
プルルルルップルルピッ
スマートフォンがなったので、手に取り、誰かを確認して、出る。
相手は姐さんだ。
「中也。太宰には謝れたか?」
さっきの勢いが嘘みたいに穏やかな口調で問いかけられた。
「見つかりませんでした…」
太宰の事を分かっているようで、全く分かって居なかった事に、自分が馬鹿馬鹿しく思える。
「そうか…すまぬな中也、例の薬を作っている組織は見つけたんじゃが、殲滅までは行けんかった…先に探偵社が突入して、組織の全員をお縄にかけおった。」
「いえ、大丈夫です。」
「それからな、探偵社の名探偵殿からの伝言じゃ。『太宰は僕らが救出した。だから、素敵帽子君は太宰を探偵社まで迎えにきてよね〜』との事じゃ。」
電話が切れて直ぐ、探偵社に走って向かった。
ーーーーーーーー
探偵社
ーーーーーーーー
「…来たね」
ドタドタッ
「名探偵ッッ!!!」
焦って必死なりながら叫ぶ。
「医務室にいるよ」
それを聞いて、転げる様に医務室に入る。
「太宰ッッ!!」
「!…中也」
ベッドで上半身を起こしている太宰が呆気に取られた様に此方を見る。
「素敵帽子君、後は自分でなんとかしなね〜僕たちがここまでしてあげたんだから!」
そう言って名探偵は、探偵社から出ようと、入り口のドアを開ける。
「えっ乱歩さん!?ちょっと待って下さっ、わっ」
それを焦って止めようとする太宰に思いっきり抱きつき、勢いそのままで、ベッドに二人で倒れ込む。
そのうちに、名探偵は外へ出て、何処かへ行ってしまった。
「…太宰、悪かった。お前を信じてやれなくて、寂しい思いさせて…本当にごめんな。」
「…いいよ、別に、君がもう私に興味ないことなんか、分かって、たし…」
「ッッ!!」
太宰の声に、悲しみが滲んで、声が震えている。太宰の言葉に声に、胸が痛くなる。
太宰の顔の横に片手を置いて、もう片方の手で、太宰の頬を手でなでる。
「太宰ッ!俺は、お前の事、ちゃんと好きだ、愛してる…!」
「っ!でも、でも中也っ助けに来て、くれなかったっ助けてって、ずっと…思ってたのにっ!!」
太宰が泣きながら訴えかけてくる。
「中也に、構ってほし、かった、のにッッ…!ちゅっうや、もりさんの命令聞くばっかで、全然帰ってきてくれなくてっ」
「やっと帰って、休みだと思ったら、寝てたり、猫の面倒ばっかり見てッ…中也のバカッなめくじッッ…」
ポカポカと弱い力で、胸を叩かれる。
「…悪い、俺、仕事の事ばっかで、お前を放ったらかしにして、その上、お前を守れねぇなんて、思いをさせたな…」
「っ!…うんッッ!」
目から涙を流しながら、俺の首に手を回して、俺を抱きしめる。
「じゃあ、太宰、帰ろうぜ?」
太宰を抱え起こして、太宰の目を見て手を差し出す。
「嗚呼!」
一瞬驚いたように目を見開いて、直ぐに差し出した俺の手に手を重ねて、恋人繋ぎをした。
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二人で仲良く帰宅
ーーーーーーーー
「「ただいま!」」
それからは二人で一緒にご飯を食べて、お風呂に入って、共に時間を過ごした。
「…そういえば、あの猫はどうしたの?」
俺の腕に太宰の腕を絡ませながら、若干上目遣いで聞いてきた。
「あぁ彼奴か。スパイだって事が完全に判明したからな、殺した。」
「…そういえばよ。」
「なんだい?」
「誘拐された時、何された?全部言え、」
無意識に圧が太宰にかかる。
「えっと…私誘拐された時、沢山殴られて…嫌な事されそうになった…」
俺にギュッと抱きついてくる。
「…何処触られた?手当はしたか?」
「大丈夫!ちょっと触られたくらいだし、手当は与謝野さんにしてもらったから!」
「…そうか、良かった。」
軽く唇を重ねて、暫くの間、ハグをして居た。
今度はもう、離れさせねぇし、離してやらねぇ。
ーーーーーーーーーーーー
この後日談をいつかのせる。
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