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お母さんがいなくなった。
昨日まで私にご飯を作ってくれて、私の勉強を応援してくれたのに。
…少し安心している自分がいる気がしてお腹がぐるぐるする。
お父さんは探しに出ていたみたい。
お母さんがいないのはメモで知った。
お母さん。
私が帰ってきてからしばらく経ったけど。
やっぱり、許してくれなかったのかな。
なんだか上手くいかないことばかりだな。
私が耐えていればなにも変わらずこのまま…
このまま?
このまま何?
何もかも上手く言ってたの?
わからない…
胸が…冷たい。
ううん、痛い。
痛くて…冷たくて。
あれ…痛く、ない。
「う”…ッ」
びたびたとその場に全て吐いてしまった。
「あ…片付け、しなくちゃ…」
吐いたらぐるぐるとした感じもなくなった気がする。
「…吐瀉物も、味しないんだ」
入れたものも出したものも味がしない。
何かそれがすごく無意味に感じる。
なんだかもう、消えてしまおうか。
消えたい、それは昔にも思ってた。
でも今はなにか違う。
なにかすっきりしたのかな。
「海…行きたいな」
奏…さそったら来てくれるかな。
誘ってみよう。
雪[K。]
K[どうしたの?雪]
雪[海に行きたい]
K[海?]
雪[うん]
K[海、遠くない?]
雪[そうかも]
K[雪。大丈夫?]
雪[うん]
K[そっか]
K[うん。行こう]
K[海]
やっぱり奏は来てくれる。
雪[わかった]
雪[じゃあ12時に駅]
K[うん]
あと30分。
置き手紙とか、した方がいいのかな。
別に消えた後の事なんてどうでもいいか。
ああ、吐いた物の処理しなくちゃ。
「あれ…」
匂いも、しない?
私がわからないのは…味、だけ…だった。
「あはは…」
もう、とっくに限界は超えたと思ってたけど。
まだまだだったんだね。
「超えちゃったら、笑うなんて簡単なんだね…ッ」
「あははっ!」
今の私、すごく笑えてる。
楽しい。
楽しい。
「あれ、もう12時か」
「髪…いっか」
服は着替えよう。
「あれ、この服」
改めて見ると…この服すごくお洒落に見える。
「あはは、奏…いや、K」
「私、分かったよ」
「やっぱり生きてる意味なんてなかった!」
[_ふゆ]
[まふゆ!]
「…ミク?」
[うん…]
[まふゆ…セカイが…!]
「…今行くね」
「あ…まふゆ」
「奏…」
あれ、セカイ…
「海に、電車…橋、崖?」
「そうみたいだね…」
海、海はわかる。
でも…その他は。
「あれ、あそこ…人がいる」
____え?
「おかあ、さん…?」
お母さん、なんで?
どうして?
どうして橋の上、なんか…に
「あ…」
ゆらりと揺れて落ちていくおかあ、さん…
「違う」
「あれ…は」
若い頃の、お母さん…?
や…やだ…
冷たい…
違う。
違う。
熱い?
熱い、熱い。
苦しい…
「____ふゆ。」
「まふゆ!」
「…あ」
「海、海に行かなくちゃ」
「…まふ、ゆ…?」
「あは、あはは…そこにあるから」
「よかったね、わざわざ駅行かなくて」
「まふゆ…?」
「ミクは、消えれないのかな」
「ううん、消えれないじゃなくて」
「死ねないのかな」
「…っ!?」
「し、ぬ…?」
「しぬって、何…?」
「ずーっと寝たままで、起きない」
「素敵な状態」
「まふゆ…怖い…」
「怖い?」
「あはは!ミクも、理解できないんだ!」
「結局、私の事を理解してくれる人なんて…居なかった!」
「まふゆ!」
「何?奏」
「わかった。まふゆが死ぬなら私も死ぬ」
「あはは、本当?」
「うん。約束する」
「じゃあ、行こ?」
「うそ…」
「奏。やっと呪いが解けるんだね」
「…うん」
「こわい?」
「少し」
あはは
奏は、いつも優しいね。
「でも 」
「まふゆが、笑ってる」
「やっぱり救うだなんて間違ってた」
「奏。私は救われたよ」
「…そう」
「それなら、よかった」
足をやさしく撫でる波が心地いい。
「次の一歩で。全部終わるんだね」
「うん」
「まふゆ…手、温かいね 」
「奏も」
そうして私たちは、波の奥に消えた。